地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと 32

2010年11月29日 | Weblog
【32日目】7/27(火) Barbadelo → Gonzar
6:00起床。
外は真っ暗で霧が立ち込めている。
暗闇の中、懐中電灯を手にした巡礼者たちが次々とアルベルゲ前を通り過ぎて行く。
今日もスィナと私は、ほぼ最終出発だった。


今日はスィナの誕生日なのでおめでとうを言う。
昨夜のうちにプレゼントを渡しておいたが、スィナは「明日まで取っておく」と言って開封していなかった。
クリスたちとディナーをした時以来、ずっとリュックに隠し持っていたポプリの袋をようやく手渡せて、少し荷物が軽くなった(ような気がする)。


やはり、Sarria以降、格段に巡礼者の数が多いと感じる。
小一時間ほど歩くとバルが出て来たので、朝食のために立ち寄る。
私たちとは別にアルベルゲを出発したルー、今朝Sarriaを出てすでに追いついてきたマークも参加。







ここからPortomarínまではマーク、ルーも交えて4人で歩く。

霧はまだ晴れない。











Portomarínまでの約20km、ときおり休憩を挟みつつ、楽しく歩く。








途中、Santiagoまであと100kmを示す標識が出てきたが、あまりに落書きが汚かったのでそこでは写真を撮らず、次に出て来た99kmの標識と一緒に記念撮影。
いよいよ2ケタとなり、Santiagoが近づいてきたことを実感する。









美しい川が見えてくると、そこはPortomarín。




橋を渡って町へ入る。
前を進むのは、途中で再会したオランダ人のJJ。
強烈なキャラ炸裂の人物で、後々まで語り草になる。





橋を渡り終えたら階段が待ち受けている…。





町へ入るとJJはさっさとどこかへ行ってしまったので、残る4人はひとまず町の中心部でランチすることにした。
昨日Sarriaでクレデンシャルを買うことができなかったので、ここの教会で新しいものを購入。

聖年バージョンの表紙でかわいい。
たったの1.5ユーロ。





教会前でランチをし、今日はこの町に留まるというマークを残し、ルー、スィナと3人で再び歩きはじめる。
スィナはここでようやく安いサングラスを購入。

今度は小さな橋を渡って、カミーノは先へと続いて行く。





ここからは上り坂。
暑くて疲れるので何度も休憩しながら、ようやくGonzarという小さな町に到着。

カミーノ沿いに現れた公営アルベルゲに行ってみると、すでにJJが到着していた。
あいにくベッドの空きはあと1台のみ。

次に少し道を下ったところにある私営アルベルゲに行ってみたものの、満床。
さて、困ったぞ。
次の町まではおよそ4.5km。
たいした距離でもないが、暑くて疲れているので、正直歩くのはしんどく、途方に暮れる。
巡礼始って以来、初めての危機である。


とりあえず公営アルベルゲのベッドは1つ押さえてしまおうということで、ルーが急いでチェックインしに行く。

無事に最後のベッドを確保し、それから3人で対策を練る。
誰か1人がここに宿泊し、残る2人は次の町まで歩くというオプションが考えられるが、お互い遠慮して譲り合うので、解決しない。

ダメもとで公営アルベルゲの床に寝させてもらえないか聞いてみたが、案の定冷たく断られる。
次の町のアルベルゲに空きがあるかどうか、電話で聞いてもらいたかったが、そういう親切行為もなし。
ただ、事務的に断られて終わり。



ところで今日はスィナの誕生日。
野宿しないかもしれないという危機的状況においても、なぜかスィナは超のん気で、公営アルベルゲ前のバルと、私営アルベルゲのバルのメニューを見比べて、「今日のバースデーディナーはこっちの方がいいわね」とか言ってる。

今それどころじゃないんですけど
そもそも3人そろってディナーできる保証がないんですけど、今日は!
もうこっちはぐったり疲れて公営アルベルゲ前のベンチで途方に暮れて座っているのみ。
あ~、あと4.5kmはきついわ~!


そこでルーが一計を案じ、私営アルベルゲでなんとか空いているスペースに2名寝させてもらえないか交渉して来てくれた。

すると、私営の方は融通がきくので、わりと簡単にOKが出た。
ダイニングエリアに置いてある2台のソファを使ってもいいということで、通常の半分の5ユーロで話がついた。
こういう時にルーのスペイン語力が役立つ。
そしてルーの機転に感謝。


これでようやく3人分の寝場所を確保することができ、ほっと一安心。
ベッドを確保できた時はすでに17:00。
今日はすでに26kmぐらい歩いているので、この時間からさらに歩くのは辛すぎるし、到着先のベッドの確保も不透明だ。
あ~、本当に救われた。
神様、ルー、ありがとう。


早速スィナと私で私営アルベルゲに宿泊代金を支払ったが、スィナが席を外している時にルーがやってきて、「ねえ、今日はスィナの誕生日だから、公営アルベルゲのベッドを譲ろうと思うの」と。
それはいい考えだ。
せっかくの誕生日なのに、ソファで寝るのはかわいそうだし。

黙ってこっそり入れ替わろうか、それとも正直にアルベルゲに申し出ようかと相談されたので、公営の方はともかく、私営の方にだけ伝えればいいんじゃないかと答えた。
「彼女の方がずい分年上だから」とか「お誕生日だから」とか理由をつけてベッドを譲りたい旨申し出れば、問題ないだろう。
公営の方は人も多いし、そもそもオスピタレラが冷たかったので、別に知らせなくてもいいんじゃないかということで話がついた。


で、ルーが私営アルベルゲにて、「さっきチェックイン手続きした女性だけど、年齢も高いので私が交代してあげたい」と申し出たら、こちらもあっさりOK。
誕生日うんぬんと言い訳しなくても問題なかった。


スィナが席に戻ってきた時、ルーが言ったことは、「今日はあなたの誕生日だからベッドを譲りたいって言ったら、あっさりOKもらえたわよ。ベッドは私からの誕生日プレゼントと思って、今日は公営アルベルゲで寝て」だった。
もちろんスィナは大喜びでオファーを受けた。

さすが、年のことを言ってOKもらったとは言わないのがルーのすばらしさ。
私だったら「あんた年食ってるから、若者と交代するのOK出たわよ」とか言ってしまいそうだ。
ほんとに若いのによくできた娘さんだわ~、とおばさんは感心するのであった。



私営アルベルゲのソファは、夜9時までは公共スペースなので使えないけど、それ以降はベッド代わりに使ってくれて良いとのこと。
全然問題ないです!
ソファで眠れるだけで幸せ。
しかも、シャワーも洗濯もできるので、何も不満はない。


シャワー室が2つ空いたので、ルーと同時にシャワーを浴びていると、出て来たルーが「ねえ、シャワー室内に椅子があったわよね!」と。
実は今日、道々スィナが「もう年取ってるから、長距離を歩いた後に立ってシャワー浴びるのしんどいわ。椅子でもあればいいのに」と冗談を言ってたのだった。

実は私が使った方のシャワー室には椅子はなかったけど、ルーが使った方は壁に折り畳み式の椅子がついていたらしい。
これは絶対スィナに報告せねば!


しばらくしてスィナとディナーで合流するために、公営アルベルゲ前へ向かう。
するとアルベルゲから出て来たスィナは、大柄なドイツ人の女の子を伴っていた。
またドイツ人捕まえたんですか…。

スィナによると、今までのアルベルゲと違い、ベッドルームに入って行ったら他の巡礼者の反応がみな冷たく、ろくに挨拶もなかったので寂しい思いをしたという。
その後、洗濯場所に行ったところこのドイツ人のベティと出会い、意気投合したそうだ。

せっかくなので、ベティも交え4人でスィナのバースデーディナー。
ベティは学校の先生をしているらしい。
大柄で金髪で、いかにもドイツ人といった風貌をしている。

巡礼中、一度パワーが切れて歩けなくなった時に、お医者さんでマグネシウムの錠剤を処方され、それが効果てきめんだったそうだ。
「何をおいてもマグネシウムよ!」と力説。
そうか、これからはアクエリアスを意識して飲もう。


そして話題は、オランダ人のJJのことに。
ベティも今日のアルベルゲでJJと会ったらしく、「なんか彼、強烈な個性よね~」と。
ベティ曰く、レディの前なのにJJは「暑いからここにも風を入れなきゃ」と言って、短パンの裾をつかんで股ぐらに空気を送り始めたとか。
「あり得な~い!」と女4人で盛り上がる。


ところでスィナとベティによると、公営アルベルゲに日本人女性2人が泊まっているとのこと。
お、久しぶりに聞く日本人の存在。




食後、私営アルベルゲのバルに戻り、JJも誘ってスィナの誕生日のお祝いをした。





そこで噂の日本人に遭遇。
ちょうど私と同じぐらいかちょっと若い目の娘さんとお母さんのペアだった。
日本人は若く見えるので、スィナとベティは友達同士2人だと思っていたらしいが、私があとで「母娘だったよ」と告げるとびっくりしていた。

お母さんは長野県で民宿をされているそうだ。
そして娘さんは、ご主人が東京でスペイン料理レストランをしているので、道々料理の写真を撮りながらSarriaからSantiagoまでの100kmの巡礼を楽しんでいる。
あ~、久しぶりの日本人との会話だったなあ。


さて、お茶も済み、スィナと明日の出発の待ち合わせ時間を確認し、それぞれのアルベルゲへ。

ルーと私は、てっきり2人きりでソファが置いてあるダイニングを広々独占できると思っていたら、なんとオスピタレラがさらに巡礼者を招き入れていた!
スペイン人男女5人組が加わり、計7名に。

う~む、仕方がない。
寝る場所に困っているのはお互い様だもの。


彼らはマットレスを与えられ、床とダイニングテーブルの上にも寝る。
(ご飯を食べるテーブルの上に平気でマットレスを敷いて寝るのが西洋人的である。)

お陰で部屋は足の踏み場もないぐらいとなり、乾き切ってない洗濯物とか荷物の置き場にも気を使い、不便極まりなかった。
でもしょうがない。


ソファは大小2つあり、当然私はルーに大きい方を譲ったのだけど、ルーはしきりに「ソファが小さすぎて窮屈じゃない?なんなら私はマットレスを敷いて床に寝るから、ユウコは大きいほうのソファに寝れば?」と心配してくれたけど、私は小さい方のソファで全然オッケーだった。
君が思っているよりも小さいソファは大きく、私の体は小さいのだよ。


夜は案の定スペイン人5人がやかましかった…。
一応声をヒソヒソ静めてはくれてるのだけど、とにかくスペイン語って口数が多い。
たいした内容はしゃべってないんだけど、「なんでたったそれだけの会話にそんだけ単語が必要かね?」って思うぐらい、口が回転しまくっている。

はぁ~。(ためいき)
今夜も耳栓を装着。

















本日の歩行距離:約26km
本日の歩数:40,201歩