hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

The Invention of Lying

2013年07月30日 | 映画
 嘘というものが全く存在しない世界。人々は嘘をつくことを知らないで生活している。
 彼らの社会は、全てが目に見える真実のみで成り立っているのです。そんなわけで、宗教も神の存在もありません。
 主人公男性は映画制作会社の脚本家ですが、なにぶんフィクションが存在しないので、映画もすべて史実に基づいているもの、もしくはドキュメンタリー、作り話一つないどころか盛り上げるセリフも出てこないトークショーなど。
 そんな世界の中で、ある日一人の男がつい嘘をつくことを覚えてしまい、、、、、という話です。

 この映画は面白かったですねー。
 設定と言おうか発想がユニークで、予想外に徹底していてボロが出てこないんですよ。
 とにかく冒頭から人々が本音だけで話をするのですが、そのため思ったことをガンガン口にする。その失礼極まりないところや、ハチャメチャぶりに「嘘だらけの世界」で暮らしている私たちは面白みを発見する、、、、、っていうのは冗談ですが、とにかく楽しめます。セリフの一つ一つが、使い古しの王道的笑を誘うものから、オリジナリティのあるものまであって、笑えます。
 私が特に気に入っているのは、ヒロインがこれから生まれる自分の子供のために、不細工なパートナーはいや、私はこんなにいい女なんだから、out of your league ですからね!とガンガン言い放つところですとか、主人公が職場を去る時に秘書の女性が、あんたのことは本当に嫌いだったからいなくなって清々するわ、どうせあんたみたいな人に次の仕事なんて見つかりっこないけど、せいぜい頑張れば?的なことを悪びれもなく言っちゃったりするところですね。いや、別に、こういうことを言ってスカッとしたい!と日頃から思っているわけじゃないですけどね。
 あと、カメオが豪華です。フィリップ・シーモア・ホフマンがかなりのチョイ役、こういうこと喜んでするんだ?と思ったエドワード・ノートン、リッキーと言えば彼、のスティーブ・マーチャント。あとは豪華かどうかはともかく誰がやってもよさそうな所にベイトマンとかね。

 4 out of 5
 
 一つだけ気になったのは、「嘘をつかないこと」と「特に言わないこと」と「何でも話してしまうこと」は別の問題じゃないかなぁなんて思うんですが、みんなズケズケと言いたい放題なんですよね。
 とにかく人々が rude にもの言いますが、基本的にハートウォーミングなストーリー。
 日本のアマゾンで探せなかったのですがお薦めします。


「Dinner for Schmucks」
 
 出世のために、人として正しくないとわかっていることをしようとし、苦悩する男の話。
 
と言っても、かなりのドタバタコメディであります。
 
 こちらは、丁寧に作られていると思うし、面白いといえば面白いのですが、メインキャラクターのとにかく鬱陶しいキャラに辟易しました。
 面白いキャラも多かったし、確かに笑どころはたくさんありましたが、やり過ぎ感が拭えない。もうちょっと抑えてくれればもっと楽しめたんですけでねぇ。
 メインの一人が作るシルバニアン・ファミリー的な人形が素敵でした。

 3 out of 5
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黄色いアイツを愛して七年目

2013年07月23日 | テレビ
 ご無沙汰しています。
 こちら猛暑が続いております、って、猛暑というのは、三十度前後ですが、、、、(笑)
 映画もたっぷり観ていますし本も読んでいますが、まずは近況報告をば。

 我が家では息子の学校がすでに終了して、彼は特に予定もなくゴロゴロしています。
 ほぼ一日、携帯で音楽を聴いているか、ギターを弾いているか、マインクラフトというインターネットのゲームをしているか、友達とスカイプで話しているか。一日中スカイプのコールがあるにはあるのですが、話していると言っても、うちの子は、yeah, ok, good, cool, fine, no, all right こんだけしか話していなく、相手が喋ってるんですけどね。
そして、

 スポンジボブですよ

 

 上記の時間以外はスポンジボブのテレビを観ています。
 あの子がスポンジボブにハマったのは六歳の時です。その頃に作ったスポンジボブのケーキの写真を以前載せました。なかなかの力作だったでしょ?
 1歳半でトーマス、四歳前後にパワーレンジャー、そして六歳から12歳の今に至るまでナルトも好きではありますが、スポンジボブへの気持ちは薄れていないんです。
 ちなみにベッドカバーもスポンジボブのを持っています。本人が買ってくれと頼んできたわけではないですが。
 枕カバーはそのままスポンジボブの顔なので、スポンジボブと頬を寄せ合って眠ることになるんですよ、想像して見てください。

 この間、同じクラスの子のお母さんが、「うちの子、スポンジボブを夢中になって見始めちゃって勉強しなくなった」と言うので、「うちもものすごく観てるよ。うちの場合は、

 スポンジボブ歴7年目

だけどね。」と言うと、「今まで観ていなかったのになんで今更見ているのかと思ったら、クラスで流行ってるとか言ってさぁ」って、中学一年生のクラスでスポンジボブが流行ってるって何よ?
 「まさか、みんなで『昨日の夜のスポンジボブ見た?』『見た見た、めっちゃ面白かったよねー』とか言ってるとか?」
 「たぶんそうだと思うよ・・・・」まさか!

 私たち夫婦も何度「え?また見てるの?このエピソード何回も見たことあるでしょ!」とことあるごとに言っていますが、何度見ても何度見ても面白いらしくて兄妹二人でゲラゲラ笑っています。
 なんなんでしょうねー

 近況報告、というよりは、スポンジボブの話でした。
 
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薔薇、バラ、ばら、ついでに家族もバラバラ

2013年07月06日 | テレビ
こんにちは。
 今こちらは最高のお天気に恵まれています。やっとだよ、やっと(涙)
 バラがあちらこちらで咲き誇っています。上の写真は数日前に天気がいまいちの時にリージェンツパークのクイーンズガーデンというバラ園で撮った写真。
 実は今日も晴天の中はるばる行ってきたのですが、載せられる写真がないのが残念。
 下の方の写真はご近所の公園で散歩中に撮ったものです。

 バラ繋がりで、英国バラ戦争のドラマ The White Queen にハマっています。
 
  歴史ものではありますが、難しいことのないドロドロのメロドラマです。
 ヨーク派(白薔薇)
 ランカシャー側だった夫が殺された未亡人エリザベス。息子たちと家族を守るには勝利して国王になったヨーク派のエドワードにとりいるしかない。自慢の美貌と色気でエドワードを虜にし、common ながら女王に君臨する。
 エリザベスも美しいですが、その母親がめちゃめちゃ綺麗です。面白いのがこのお二人、なにか困難に面したり願い事があるときは黒魔術を使います。
 エドワードはジェレミーアイアンの息子だそうです。見た目は好みではないのですが、声がジュード・ロウ似。なかなか雰囲気のいい良さ気な役者です。
 ランカシャー派(赤薔薇)
 マーガレットは王位をエドワードにとられ幽閉されているが、息子ヘンリー(後のヘンリー7世)に王位が継承されるように、反旗を翻す機会を虎視眈々と狙っている。
 今のところ、政略結婚をした愛を感じない男と暮らし、王位継承権のある息子とは引き離されている。息子の方は母親に対する bond を全く感じていない。
 マーガレットはお祈りをする時に「エドワード、死ね!」と結構露骨に言ったりするので、共感できずに困ってしまいます。

 そこにウォーイックというエドワードの側近が絡んでくる。エドワードが王ではあるものの実際国政の行方はウォーイック次第という状態。その代わりトラブルの元も彼のような・・・・娘を王家に継がせてなんとか血の繋がりをもとうとするが、エリザベスに邪魔され失敗。怒り狂った彼はついにエドワードの弟ジョージを王に仕立てる計画を立てるがこれも失敗。
 後にランカシャーに寝返る予定。

 自ら策をめぐらしてエドワードを手に入れたエリザベスでしたが、結婚生活は思いのほか愛情に溢れた幸せなものに。娘ばかりを産み続けてもエドワードはいつでも笑顔で迎え入れます。誰かさんとは大違いですねぇ。
 一方、父親の策略を従順に受け止め、エドワードの弟ジョージと結婚したウォーイックの娘イザベルは、冷たい夫と愛情のない結婚生活を余儀なくされます。
 この二人の女性の対比と、それを目の当たりにしているイザベルの妹アン(のちの王妃)の運命なんかも物語の主要な部分でしょう。たぶんね。

 家族がバラバラなのは我が家ではなく、エドワードと弟のジョージが対立するところ、マーガレットが夫との距離を縮めようともせず、それでいて息子との距離も縮めることもできない、などなどチューダー時代の一族の話でした。

 歴史的には最後はこれ以上の内乱を避けるため、ヨーク側のリチャード三世とランカシャー側(に寝返った)ウォーイックの娘が結婚してなんとなく治まった感じです。そんなわけで、うちの娘はこのバラを Tudor Rose と呼びました。

 物足りないのはチューダーズに比べて、お色気シーンが中途半端。やっぱりあれはジョナサン・リース・マイヤーのエロ顔ありきだったわけですねー。
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The Hide

2013年07月04日 | 映画
 「お気軽映画日記」の Jonathan さんがバードウオッチングを題材とした映画のレビューを書かれたので、私もそれにタイアップしてバードウオッチングがテーマのお気に入りの映画を紹介します。
 ただし、Jonathan さんの方の「The Big Year」はほのぼの系アメリカンだったようですが、私の方はかなりダークなブリティッシュです。ブリティッシュ映画の中でもとびきりダークですよ、内容も画面も。

 バードウオッチングが趣味の男ロイが、ベストスポットに小屋を借りて、数日間どっしり構えてバードウオッチングをしているところへ、悪者なにおいプンプンの男が転がり込んでくる。
 もともと社交が苦手なロイが命を脅かされながら、高圧的な若いその男と会話をする密室劇。

 会話の内容や駆け引きが面白い作品。興味もないのになんとなく、ロイの鳥の話につられていく悪人になりきない青年のキャラクターもいいですし、ロイの怯えながらも邪魔をされたイラつきを隠しきれないところや、なんとか相手の機嫌を損ねないように振る舞いながらも立場的に弱者になりきれていない不思議な感じもいい。 どちらの俳優も売れっ子ではないけれど、いい演技をするんですよ。
 本当に何か派手なことが起こることもなく、じーっと会話と沈黙が続くのですが、それでいてドキドキ。二人の会話やその映像からいつ何が起こってもおかしくない雰囲気が出ているから。
 そして途中から、、、、、、うわー、言えない。言ったら楽しみが半減してしまう。
 密室会話劇が好き、ダークなスリラーが好き、英国映画の静かながらひねった展開が好き、という方にぜお薦めします。
 
 4 Out of 5
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