hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Running with scissors.

2022年08月25日 | 洋書
 自伝小説。
 何年も前に映画のトレイラーを観て、気になって原作を読んでみたのですが、まさに Truth is stranger than fiction といった内容です。
 テンポよくどんどん読み進むのですが、正直奇天烈なエピソード満載で途中から食傷気味になります。
 それにフィクションじゃない分、きれいで心温まるエンディングもなければ、特に気分の悪いエンディングが用意されているわけでもありません。
 主人公少年(作者)の一人称の語りなので、彼がどんな風に感じどんな風に状況を受け入れていったのかが丁寧に表現されているのが作品の魅力だと思います。
 以下、英語表現の抜粋、なるほどと思った描写の抜粋など。
 
My whole life is already mapped out for me. 日本語の様にレイルが敷かれているっていう言い方をするのかと思っていたのですが、こういうんですね。

To love somebody who doesn't deserve it. Because they are all you have. Because any attention is better than no attention.  これなんですよね、共依存の人の考え方って。つらい状況について話を聞いていると、抜け出させてあげたくて色々アドバイスしても、全然聞く耳持たずって感じで・・・・

had an actual knack for it. (意味:If you have a knack for doing something, you do it well) 使ってみたい

swelting summer night この夏いっぱい使うチャンスがあったけど、知るのが少し遅すぎた

My face became like the heating coil on the stove, and trembled with hatred. And then just as suddenly, I felt absolutely nothing. It was like a door quickly opened, showing me what horrible feelings I had inside, and then slammed shut again so I wouldn't have to actually face them. In many ways I felt I was living the life of a doctor in the ER. I was learning to block out all emotions in order to deal with the situation.  いやの事があった時の対処の仕方、これよくわかります。この様にカッとなることはないですが、ドアを閉めて心を殺すことで何とかやり過ごすってところ、よくわかります。実際今そんな状況。

Don't you ever just feel like we're chasing something? Something bigger. I don't know, it's like something that only you and I can see. Like we're running, running, running, running? Yeah, we are running alright. Running with scissors.
 キャッチーで良いタイトルだなぁと思っていたのですが、実際読んだ後の方がいまいちこのタイトルに込められていることが理解できませんでした。これが一番残念なところです。

 評価は 5 out of 10 

 サクサク読めたし面白いと言えば面白いのですが、時間が無駄だったなぁとも感じちゃってます。 
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The Handmaid's Tale

2022年08月18日 | 洋書
 相性悪すぎて最後まで読んだのに何にも頭に入ってこなかったので、内容についての感想はほぼなしです。
 だいぶ粘って何度も何度も聴き読みしたんですけどね、一切気持ちが入りませんでした。
 実はドラマも数話で挫折したので、全てにおいて好みじゃなかったんだと思います。
 この作品については何年も前から知っていてとても興味を持っていたのですが、昨今のディストピア作品ブームの先駆けだと思っていたんです、ハンガーゲームの大人バージョン的な感じに思っていたのですが、ずいぶん昔に書かれているんですもんね、1985年なんですって。そこに驚きました。
 女性軽視の風潮について世界が注目し始めたのって、なんだかもっと後だったような気がするんですよ。それまでは見て見ぬ振りが多かったというか。
 そこにこんなにオリジナリティのある設定で切り込んでいった、っていうことに感心してしまいます。
 なんですが、本当にあわなかったですねぇ・・・・残念。

 この作品は高校生の卒業試験の英文学の課題本になっています。
 そんなわけで、うちの娘も去年じっくり読んだのですが、全く好きになれなかったようです。
 私たち二人の共通の感想は
 ①登場人物の誰一人のパーソナリティに魅力を感じられない
 ②descriptionが冗長
 ということです。
 私はいつものことですが、心情描写が細かいのは好きですが、情景描写がしつこいのが好きではないので、いくら娯楽がなく生気のない生活をしているからといって、部屋のラグの説明に何行も書く必要はないのでは?から始まり、色々と「要らないなぁ」「これ必要?」という描写が多い苦手なタイプの作家だと思いました。娘によると、この作家のほかの作品ではこのdescriptionの嫌な感じが無かったらしいので、やはり先に書いたように、この設定の主人公の置かれている状況ならではの表現だったのかもしれません。
 ③オーディオブックがあまり良くない
 これがですね、すっごいダルい感じでどうしても好きになれなかったんですよね。ドラマの主人公、エリザベス・モスが読んでいるみたいなんですけど。
 抑揚がないからかなーとも思ったんですが、ちゃんとあるんですよ、よく聴くと。なので何が原因かはわかりませんが、とにかく相性が悪かったとしか言いようがありません。
 
 評価はなし
 
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Convenience Store Woman

2022年08月07日 | 洋書
「コンビニ人間」の英語版です。
 本当は日本語で読みたかったのですが、もう何年も日本に帰ることができず、英語で読むことになりました。
 すっごく面白かったです。
 キャラクターに個性があって、なかなかほかにはない気がします。あんまり奇をてらっていたら嫌なんですが、ギリギリ大丈夫な感じだったかな(笑)
 一人とんでもないキャラクターがいて、ほんと「こいつ最低じゃん!」って思うんですけど、いるんですよ、現実的に。無理やり事実を曲げて誰かを自分より下に見ることでしか自分の価値を見出せない人って。

 それにしても職業差別ってすごいですよね。日本だけではなくこちらも顕著です。
 しかもちょうどこのタイミングで私自身が会社員を辞めて、「お店の店員」になろうとしていたので、多少の覚悟はしているもののちょっと「ここまでの扱いされるの?」とショックを受けたし感情移入できちゃったし。
 自分では昔から職業差別に対してものすごいアンチだと思っていますし、職種で人をジャッジしないように気をつけているつもりですが、他人に対してそういう思いが伝っているかどうかはだいぶ疑わしいと不安に思います。
 それで実際今「お店の店員」をしているのですが、あれですね、馬鹿にした態度をとってくる人も多少いますが、それより気になるのは逆に「お店の店員さんにさえ礼儀正しい自分」が大好きでにじみ出ちゃっている人が多いこと。私はこっちの方にもやッとします。

 主人公は特に結婚したいとも恋人が欲しいとも思っていないのですし、コンビニの仕事がとても性に合っているようです。
 自分に合う仕事に就けていて、職場で認められているだけで私にとってはずいぶん立派に見えますけどね。

 8 out of 10
 
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