hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

War and Peace ドラマ

2016年01月30日 | テレビ
 以前に漫画でですけど読んだことがあったし、ドラマとなると時代物があまり得意ではないし暗くて長そうだと思ったのであまり興味を示していなかったのですが、主役がなんとポール・ダノだというので「これは見なくては!絶対に面白いに決まってる!」と思い直して今日の午後一気に四話観ました。
 さすがポール・ダノ、主人公のイメージにぴったり寄せてきます。
 漫画では主人公ピエールは純真でとてもいい人なのだけれど、ナイーブすぎて甘いというか、頼りないし、いじけているし、でも突然正義感からカッとなることもあったりの不安定な男で、魅力がないとは言わないけれど微妙なキャラだったのだけれど、ポールが演じるとそれもまた良い感じに成り立ってくるんですよね、不思議と。同じですよ、おろおろしているしいじけているし。でも魅力のある素敵な人物なのが十分伝わってくる。
 ほぼ全員がブリティッシュキャストなのに主人公だけがアメリカ人という面白いキャスティングですが、アメリカ人だということを忘れてしまうくらいそつのないアクセントで話すところにますます惚れ込みます。

 え?ポールの話はそれくらいにして内容はどうなのよって?
 面白いです。完全にソープオペラですからね。ピエールが絡んでくるところは多少人情もの的な雰囲気が出ますが、そのほかは家族のいざこざ少々と主に恋愛です。アンナカレーニナに引き続きトルストイづいていますが、こちらのほうがメッセージが伝わってくるし、なんと言っても主人公が善人なので観ていて心地よいです。



 それに女性陣の衣装が本当に素敵。基本的にロシアの社交界の人々の話なので、ほぼ全員がいつもいい格好しているの。男性陣もなかなか。軍服までなんだかセンスがいい。ポールはちょっとダメかなー、そこんところは。洋服に着せられている感じです。
 キャストも全員魅力的だし、続きも楽しみです。
 
 ポールはこの人と並ぶのは避けたほうがいいような気もするね(笑)
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Homeland season5

2016年01月29日 | テレビ
3月に娘と二人ベルリンに旅行します。
息子は来月学校のトリップでスペインのアリカンテに行く予定なのでベルリンはお留守番。
行き先は娘のチョイスなので私はあまり興味がわきません。
そこでモチベーションを上げるため、近いうちベルリンを舞台にした映画でも観ようかと思っていたら、溜め録りしていた Homelandを観たら舞台がベルリンになっているではありませんか。
前シリーズでは中東を舞台にしていたのが、今回は悪者がこぞってベルリンに移動(涙)



ベルリンでサリンを使ったテロを計画しているという、なんとも嫌な感じの設定。
映りますよ、ベルリンの街並みが。
でもね、こういうんじゃないの、私が求めていたのは!
なんかもっとロマンチックな雰囲気で主人公カップルがベルリンの街をデートして歩いてるような、なんかそういうのを見たかった、、、、、
パリの事もあったし「失敗したかなぁ、、、」と既に不安になっていたのに、Homeland を観た後はかなり憂鬱、、、

本題に入りますが、どのドラマでも共通だと思うのですが、シリーズが進むとなんだか無理矢理こじらしていてイライラすることだらけ。今回も「なんで?」「勘の働く人はいないわけ?」「なんでそんな簡単に騙されるかなぁ、プロなのに」とそんな展開ばかり。
その分盛り上がって面白いことには間違いないんですけどね。それにしても相変わらずメインキャラクターたち人でなしばかり。その割にやけにムズリム側に善人を登場させるというなんだかいやらしい一面も。
それにムズリムにロシアも絡めてきて、コールドウォー健在?アメリカのロシアへの考えがにじみ出ちゃっています。
ちなみに去年の秋、娘が今日はうちのお母さんの誕生日だと言うと、友達に「今日はプーチンも誕生日だよ」と教えてもらったそう。政治に疎い娘は「彼は善い人?」と訊いたら友達に not really と答えられたそうです。
この時代プーチンと同じ誕生日ってすごく嫌かも。変えられないけどさ。
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Anna Karenina 映画

2016年01月26日 | 映画
 かの有名なトルストイの名作。
 子供の頃に映画を見て、そのラストに衝撃を受けた作品です。
 原作は長編の前半部分をちらっと読んだだけなので、雰囲気を掴めないままだったし何をもってしてこの作品が名作として長きに渡り人々に愛されてきたのかがわからずここまできていたのですが、この映画でもよくわからなかったです。
 そもそものテーマとメッセージは何なんでしょうか。



 この映画だと、好きでもない相手と結婚して日々の生活を窮屈に感じているところ、あるきっかけで一目惚れして運命の相手を見つけ、結婚生活も子供もすべて捨てる覚悟はあるものの社交界からは抹殺されるのは面白くない、あー、世の中間違っていない?自分の気持ちに正直に生きることのどこが悪いの?とイラついてるうちに、すべてを捨てて選んだ恋人に新しい若い恋人ができ絶望して汽車に飛び込む「激しい愛の物語」ってところ。でもきっとそういうことじゃないじゃないのかな、本来。



 裏切られる旦那を悪く描いていないから余計伝わってこない。っていうか、ハゲでもジュード・ロウ!どうしたって旦那寄りで観ちゃうよー!!彼が発する言葉の方が響いてくる。しかも妻が不貞をはたらいてできた娘を自分が育てているっていうのがラストシーン。
 一体どっち寄りなの、この作品。込められたメッセージは何??ますます不可解。

 結論。これは美しい舞台装置と登場人物たちの衣装や装飾品などを楽しむ映画。内容については深く考えないほうがいい。
 演出もとても凝っていて芸術的。
 唯一脇のカップルのぎこちない恋愛がカワイイのが良かったかな。

 

 3 out of 5 なんか思いのほか悩んだ。二日ほどひきづった、、、、
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The Nightingale

2016年01月13日 | 洋書
 第二次世界大戦時にナチスに侵略されたフランスを舞台に、別の形で生きるために戦った姉妹の話。
 姉は家族の平和のためにひたすら耐え待つという戦い方を選び、妹はフランスの勝利のために積極的に活動に関わることを選ぶ。

 とてもドラマティックで退屈することなく読み進みます。ページターナーです。
 英語も簡単で、私の場合は audiobook を中心に、時々本を読むという感じでした。
 ただ、面白いのは確かなのですが、よい作品だと思うか、好きか、というと答えはノーです。
 二人の女性のどちらにも共感できなかったこともありますが、とにかく戦時下で思いつく悲劇的な出来事を全部詰め込んだようなところが嫌です。主人公の心情描写の部分にしても、何度も究極の選択を迫られ苦しんで悩んでいる風だけどなんだかそうでもないじゃないの?と感じてしまう。伝わってこないんですよね。
 随分評判の良い作品ですが、戦争を設定とした小説もここまでエンタメ化されるとちょっと・・・・
 
 7 out of 10   

 良い作品だとは思いませんし特にお薦めしませんが、大河ドラマ的で娯楽小説として成功しているので少し高めの評価です。
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The Woman in Black

2016年01月04日 | 洋書
今年最初の一冊は正統派ゴシックホラーのこの作品。
以前映画を観たのですが、原作は違うと聞いていたので気になっていたのです。

思っていた以上に映画とは違っていました。 ストーリー展開自体は予想もつくし、怨念の背景も日本人の私たちにはわかりやすいものです。
でも人気があるのはなぜか。
私は心情描写が秀でていると感じました。主人公の一人語りで最初から最後まで行くのですが、その時その時の状況を語りその時々に湧き上がった感情を語っていく、その表現力が、なんだかとてもいい。
同様に情景描写も雰囲気があって美しい。
ただ、語彙は前半相当難しいです。見たことも聞いたこともない形容詞がバンバン出てきます。
例えば、私がいつも難しい難しいと言っているマキュアンの作品に出てくる知らない単語だと、特に知らないままでもその後必要としない感じなのでそれほど気にならないのですが、この作品に出てくる単語は知っておいた方がいいような気がする後々使えそうな言葉が多いんですよね。そうなると余計わからないことに不安を感じる、って気持ちわかりますか?
それで、とにかく形容する語が多いのですが、それでいて気取りすぎていないし、しつこくない。
正直いうと、半分くらいまでは文章の良さは感じていましたが、内容的には映画の方が面白かったりする?なんて思っていたんですけど、残り3章でがっちり掴まれました。
作中主人公も言っているのですが、自分の心臓の音が何よりも大きく聞こえたり、鼻がツーンとなったり。
最後は予想通りとはいえ怖さと良書を読めた喜びでゾワゾワしてしまい、終わった途端に熱いお風呂に入りました。
大好きです。

10out of 10

今年はこれ以上気にいる本はないだろうなぁと新年早々確信しました。
この本が気になる方は私の映画のレビューは読まないように気をつけてくださいね。


さて、映画の方のscenery や小道具がとても雰囲気が出ていたので動画をかけながしながら本を読んだのですが、霧の中で何かが起こるシーンや町の人たちのいかにも何かを隠している感じとかすっごくよくて、サクサク読み進んでいく助けになったのですが、記憶していた以上に怖くってビックリ!
映画の撮影に使われた marsh、作品と同じ様に天気が悪くて霧のある日に行ってみたい。
霧はともかく天気の悪い日を狙うのは簡単なんで、こちら。そうそう、読んでいた今日も雨降って暗くて寒くてね、、、、そのことも盛り上げたのかもしれませんね。



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The Sappires

2016年01月03日 | 映画
 あけましておめでとうございます

 今年も早速 Goodreads の challenge に26冊読みます宣言をしましたよ。
 映画は週1本くらいのペースで観たいですねぇ。

 2016年最初の作品はクリス・オダウト主演?の「The Sapphires」です。

 オーストラリアのアボリジニの三姉妹は美声の持ち主で積極的だけれど、黒人差別の強い時代のため町の小さなコンテストですら相手にされない状態。
 ある日知り合った飲んだくれの怪しい白人の音楽関係者を強引にマネージャーもどきにして、戦地ベトナムで兵士を勇気づけるために派遣されるエンターテイナーのオーディションを受けに行くことに。
 選ばれて意気揚々とベトナム入りしたガールズたちだったが、そこは生死と隣り合わせの戦地、夢と現実の厳しさに直面する。



 実話を基に作られ作品で、なかなか良かったです。音楽も励まされる兵士たちと一緒に楽しめました。
 でも、なんかちょっと物足りなかったかなぁ。
 
 3 out of 5

 クリス・オダウトってダメ男だけどハートがいいって役をやったら最高!
 
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