hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

The Power

2018年05月19日 | 洋書
 女性が優位に立つ世界になれば現在よりも平和な世界が築かれるだろうか? 
 世界中の女性がスーパーパワーを手に入れ、世の中の様子が劇的に変わっていくフィクション。

 9 out of 10

 すっごく面白かったです。
 私は時々書いているのですが、差別をなくすことと優遇することの違いをもっと社会が認識するべきだと常々思っているので、個人レベルで意識することが大切(できていないのが現実だとしても)、極端な「運動」や「活動」には関心が薄い方です。
 そもそも日々の生活を送るのが精いっぱいの私のような者にとっては、社会に関心を向ける余裕がないと感じています。無知なのに声高に意見を述べるのもどうかと思うし。なんて言い訳かな?
 知識階級の方や経済的に余裕のある方、反対に目の前にある現実から目を背けることが許されている人にその分野はお任せ。
 私のようなこういう姿勢の人が世の中を停滞させているのかもしれませんね。
 中でもフェミニズム運動に関しては一番「いきすぎ」を感じることが多かったり。
 昨今の Me too、最初に声を上げた人の勇気はすごいと思うし、ほかの人たちも声を上げやすくなったところは本当に良い流れだとは思うんです。
 でも授賞式で黒のドレスを着て・・・みたいなことになると、ん?となるわけです。今回は実際ハリウッドが、ショービズが舞台の話から始まったのですが、だとしても政治と芸術を分けて欲しい。影響力のある人々が行動が起こすことが大切だとはわかるのですが、こういうところがひっかかったりするのです。
 そんなわけでこの作品への関心もどちらかというと薄かったのですが、本当に読んでよかったです。
 特に「女性軽視」が引き起こしたニュースが日本から次々と入ってくるこの時期に読んだため、その興味深さは倍増です。
 気持ちの悪いセクハラ発言をした政治家が擁護され、被害者の方を批判する姿勢。
 未成年に性的行為を行ったのにお酒の問題にすり替えたり、これまた被害者を批判する世間の声。
 世間の声どころか、私が先ほど言った「知識階級の人間」(橋下徹など)が番組で守られるべき子供を批判、知的レベルはどうなのか知らないけれど間違いなく「経済的に余裕のある人」のデヴィ夫人が被害者を批判、個人個人が意見を持つのは勝手としても、それを番組として放送するテレビ業界が一番最低。
 すべてが女性軽視の思想から派生する発言。
 人任せ、なんて言いながらもカッカしながらニュースを見ていた私にはこの作品の内容は、正直スカッとする場面がたくさん。残酷なシーンもあり、男だから女だからとかそんなこと関係なく、「人間の本質は変わらない」というネガティブな側面がたくさんあるにも関わらず、それでも気分が落ち込むことなく意欲的に読めたのは、今現実の世界がこの作品の世界よりより残酷だと感じているかもしれないです。
 ただただ、面白い、興味深い、というだけではなく本当に考えたいことがたくさん詰まっている作品といえるでしょう。
 今読むと倍楽しめる作品としてお勧めします。


 話は作品から離れて日本のニュースの話に完全に変わりますが、日本は未成年に対する性犯罪に対しての意識がとても低いようです。
 個人個人が持ってしまう感情についてはとやかく言いませんが、それを商売としているのがまかり通っているのがおかしいと思うのです。
 小学生などをアイドルとして売ってお金に変えていることには特に何も言いません。よく親を批判している声も見かけますが、それは疑問です。親はただただ子供の夢を応援しているだけだと思います。ただ、その商法が「性的対象として」だったりすると話は別です。親はそこは「仕方ない、夢のためだもの」と考えてはいけない。それこそ女性軽視が根付いているからこその発想に違いありません。そこの線引きはちゃんとするべきでしょう。 
 ファン心理は頑張っている子供を応援しているという気持ちなのはよいのですが、甲子園で頑張っている球児を応援したい気持ちと同じだと思うし、それはそれでいいのですが、父性にすり替えている意見を見てゾッとしました。そういう商法で売っているアイドルグループがいるとか。
 気持ち悪い。ファンが、というよりは洗脳してそれを商売としている人たちが気持ち悪い。なぜ許されているの?

 冒頭の方で私は市井の人間は個人レベルで意識をしていくのが大切、運動や活動などを通して発言して世間を変えていくのは知識階級の人間や著名人にお任せ、と書きましたが、最近のニュースや情報番組を見たり、この本を読んだ後にはなんだか任せていられない気もしますね。
 そんなわけで熱く語りました。
 終わり。
 
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13 Reasons Why

2018年05月07日 | 洋書
 ドラマが話題になっていた頃に娘が欲しがったので購入した本です。
 ところが、ドラマは楽しんだ(?)娘も本の方には気持ちが入っていきません。ずいぶん前から少し読んでは投げ出し少し読んでは投げ出し。
 読み始めてわかりました。
 とても読みづらいし、なかなか惹きつけられません。音源も利用しているのですが、ナレーションは問題なく良いのにやはり気持ちが入っていかないんですよね。
 自殺した女子高生がカセットテープに遺書を録音し、自分を苦しめた人全員に送りつける、という何ともいやらしい設定がとってもいいんですけどね。
 
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 娘は結局投げ出したままですが、私はなんとか最後まで読みました。最後はとてもいい終わり方です。最後になって初めてこの作品の良さがわかるという感じです。
 
 6 out of 10

 ドラマはクリップを見まくりましたが、とても魅力的な出演者でドラマティックで人気があるのが分かる気がします。

 
 
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kitchens of the great midwest

2018年05月06日 | 洋書
 最後の最後まで全く興味を引きつけられなかったので、内容もさっぱり頭に入ってきませんでした。
 感想はなし。

 ただ一つ言いたい。 
 主人公の女性が学生の時にデートに行くのだけれど、無理して高いレストランに連れて行ってくれた boyfriend-to-be に全く気も遣わず、高いメニューばかりをオーダーした挙句、「財布は忘れた」といって一切払う気もなかったこと、それでもってなお男の子の置いたチップが全然足りていない、お店の人を馬鹿にしていると文句をつける、っていうのはどうなのよ?と。
 男性の作家がなんとも思っていない風だし、相手の男の子もそのことはちょっとはひっかかったものの、特に気にせずアプローチも続けるし、ありなんでしょうかねぇ?
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