hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Stephen Merchant in Tooth Fairy

2013年11月29日 | 映画
Tooth Fairy? そんなもんいるか!

と、子供の前で発言して妖精たちから罰を与えられる男の話。

Stephen Merchant が好きなので、映画を見る前から今日の記事のタイトルを決めていたのですが、Dwayne Johnson のカッコ良さ大発見作品に早がわり。
しかも私が、あら?彼、かなりカッコよくない?と思ったのは上の写真にある通り、チュチュに身を包んでいる彼。妖精だけではなく子供が夢を持つことを完全否定した罰として、tooth fairy として2週間任務に着くことになったためこんな姿に。足も意外とすらっとしていて綺麗だったり。

主人公の彼の職業はプロホッケープレイヤー。実力はイマイチなもんで道化師的に存在でチームに居座ってる状態。周りの扱いと自分自身に対するイラつきから、夢見る子供達についはっきり誰でも夢を追っていいわけではないと言い放ち傷つけたりする。
職場での新旧交代劇、 恋人の女性と彼女の子供達との様子など、通常の生活もしながら何の前触れもなく tooth fairy としても出動しなければならない。

彼が tooth fairy としてしっかりお勤めができるかを指導&監督するのがスティーブン。
最初はぶつかりながらも、お互いの良さを認め合い、最後はかたい友情で結ばれるって展開です。
スティーブンがこんなにたっぷり出ている映画を見たのは初めてで、なんというか、、、、思った以上に強烈な見た目ですね、彼。

娘は彼のこのアップの映像にゾワっときたみたいで、「うわ、怖い!」(多分気持ち悪いって意味を含んでいると思う、、、)と身を縮めていました。ピッタリの配役なんですけどね。

スティーブンもドウェインもよかったのですが、一番グッとくる演技を見せたのは恋人のティーンになりかけの息子君。ふてくされた態度(私は普段から見慣れてますが(笑)はもちろん、ちらっとみせる反発しきれないところや、その他色々な場面でいい味出していました。

内容もそこそこ楽しめます。 3 out of 5

ところで、私が一番気になるのはこの動画。fairyoke で検索して見てみてください。
スティーブンの音痴っぷりはわざとなのかどうか、、、、

スティーブンの知名度が今どのくらいなのかはよく知らないのですが、ただいま連ドラで主役張ってます!
タイトルは「Hello, ladies!」。元々は彼のスタンダップコメディのタイトルだったのですが、そのまま本人のもてないぶりのエピソードを発展させたドラマです。プロデューサーもライターも監督もスティーヴンってことで。

正直言って面白いかはかなり微妙。
あまりにも痛すぎて見ているのが辛すぎる、ってのが本音です。
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Hold tight

2013年11月28日 | 洋書


私にしては珍しくクライムサスペンスを読みました。人気作家 Harlan Coben の作品です。

Tia and Mike never thought they would spy on their kids. But their 16 year-old son Adam has been unusually distant lately, after the suiside of his classmate. So they install a sophisticated spy program on Adam's computer.

裏表紙のあらすじがこんな感じでキャッチーだったので買ってきたのに数年全く手に取ることなし、だったのですが、今読んだからこそ楽しめた作品でした。
コンピューターにガジェットを仕込むのはやり過ぎとしても、何らかの形で子供のサイバーアクティビティはモニターしたいという親の気持ちってわかります。
例えば Facebook ですが、公式には子供は13歳からなんですよ。子供達のクラスメートのほとんどは親も承諾して年齢を偽って随分小さいうちから登録していますが、うちはルールはルール。Facebook もダメだし、YouTube のアカウントも欲しがっているけど持たせていません。
ただし、スカイプやゲーム関係は他人とコンタクトをとらないように何度も伝えていますが、どこまで守っているのかグレイな面も。
Facebook は13歳になったので本人が始めたければ始めてもいいとは言っているのですが、その際はよそのお宅同様親とも友達になることが条件、、、、、とは言ってみたものの、いちいちヤツと友達のやりとりを見たくもないというのが本音。どうしたらいいものやら。

話は本に戻りますが、この両親はただ単に子離れできないとか神経質だとか子供を束縛気味なのではなく、夢中だったスポーツを辞めたのも含め本当に様子がおかしく、声をかけてもまるでダメで、何かトラブルに巻き込まれているのではないか、と予感してのことでした。
どんな理由があるにせよ子供のプライバシーに踏み込むことに対しての賛否はここでは挙げませんが、この両親は罪の意識を持ってその上で実行しています。一つだけ言えるのは、約束していたにもかかわらず家に帰って来ず、妹を放ったらかしにした時に携帯のGPSを使って居場所を突き止めたのは、ありなんじゃない?と私は思ったことです。この件について本書では親も罪の意識があるし周りも批判的です。
みなさんはどう思いますか?

親の予感は当たっていて、息子は親が考えるよりはるかに大きい問題を抱えている、というよりもっと、大きな事件に関わっていたのですが、ここに殺人事件やその他の犯罪が絡んできます。
この両親の他に、

息子が何の前触れもなく自殺をして、真実をつきとめたい母親と、残された子供達のために前に進みたい父親、という違う方向を見てしまっている夫婦。

教師の心ない一言で一気に学校生活が地獄と化した11歳の少女と父親。

罪の意識を感じているその教師と、精神の弱い夫を必死で庇う妻。

など、いろいろな形で悩み苦しんでいる人々が登場します。そしてどの人物もとても生身の人間性があって面白いんですよ。それぞれの心情がよく書き込まれているし、作者の意見もしっかり投影されています。
私はここに出てくる親全員に結構共感してしまいましたし、ダメな夫を持つ奥さんは決まってムキになって夫を庇う辺りも実際よく聞く話だし、なにかと楽しめる要素がいっぱいでした。
上で紹介した人物の他に、面白いぐらい徹底的に家庭を持ちながら働く女性に理解を示さない独身女性の上司の存在や、男性社会の職場で孤軍奮闘女性もいたり、色々盛り込んであるのですが、それほどしつこさを感じない辺りも良かったです。

初めて図書館のデジタル図書?を利用して、聴きながら読み、400ページを超える作品ですが、3日で読み終えました。英語もとても簡単ですし、私が聴いた朗読もかなり聴きやすいものでした。特に外国人向けではないのに少しゆっくり過ぎたので、かえって必要以上に時間がかかったかな。できる限り本も一緒に読みましたが、この朗読なら耳の悪い私でも問題なくオーディオだけでもいけた感じでした。

8 out of 10 Harlan Coben 作品の中では評価の低い方みたいですが、個人的に気になるテーマだったこと、それに作者の視点や意見に多いに賛同したので高評価。

このタイトルの Hold tight というのは「子供を見失わない」ことの大切さと、その反対にいつまでもそばから離さないわけにはいかない、という親の葛藤を象徴しているのではないでしょうか。

でも距離をもとうという気持ちがあっても難しい~というのが私の現実。このまま開き直ってもうしばらく Hold Tight ?!
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A Sky Full of Kindness

2013年11月21日 | 洋書


卵を産み、幸せいっぱいの夫婦。
Daddy-to-be は喜びを歌にして町中に報告します。



近所の小鳥たちがお祝いに駆けつけます。自分のことのように喜ぶ隣人?たちは、よかれと思って色々とアドバイスするのですが、mum-to-be は急に母親になることに、そして子供をこの世に迎え入れることに不安になってしまいます。
Mum-to-be は 夢のお告げに従って、不安を取り除くための旅に出、そこでいろいろな出会いや経験を通して強くなっていきます。



こんなストーリーが全部美しい切り絵になっている絵本です。
この作品のスゴイところは、イラストだけではなく、文字も全部切り抜かれているんです。
ストーリーも優しくてあたたかいんです。
これから赤ちゃんを出産される方にはもちろんのこと、英語を読む方へのプレゼントにお勧めです。



とっても気に入ったので、作家のウェブサイトをみると、なんと次の日までロンドンのギャラリーに彼の作品が展示されているとのこと。
慌てて行ってきましたよ!
本でも分かるのですが、ピッタリ台紙に貼ってあるわけではないので、浮いて飛び出していたりもして、その影もなかなかいい感じなんですよね。その製作過程を想像すると本当に脱帽してしまう素晴らしい切り絵の数々でした。
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Masters of Sex と春画展

2013年11月18日 | テレビ
「やだなぁ、お母さん、変なもの録画して、、、、」と言ったのは録画されている作品のリストを見た息子。
「なにを言ってんの!このドラマはねぇ、あんたの考えてるようなイヤラシイ番組じゃないのよ。

セックスを大真面目に医学的、科学的に研究した一人の男の物語

なんだから。」
とはいうものの、露出もすごいですし、それらしいシーン満載ではあります。男女の行為ではなく、どんな時どんなタイミングで快楽の絶頂に達するのか、という実験をしているシーンがかなりを占めます。
例えば上の写真、あんな真面目な顔をしていますが、治験対象に名乗りでた女性に一人でさせて喘ぎ声を聞いていたりします、、、
主人公のビルは、産婦人科医で、このことを解明ししっかり理解することによって、不妊治療その他の産科医療に役立てようという案を打ちたて、それの裏付けに躍起になっているのです。
多くの悩める妊婦を救った神のような存在と尊敬されながら、その実、子供を切望している妻との間に子供ができず悩んでもいます。ついに妻が妊娠すると今度は父親になる不安を抱えたり、、、、
なんて書くと、愛すべき主人公っぽいですが、実はいまいち「いい人」とは言えないキャラクター。奥さんがとっても綺麗な女優さんなのですが、役柄も良く、夫に対してすごく理解があるんですよ。それなのにビルはなんというか気難しくて冷たいし、思いやりが感じられない!不器用だから、、、、なんて甘やかしたくないんですよ、私は!(笑)そのくせ助手をやっている姉御肌でバリバリした感じというか生意気な女性に惹かれていってるんですよねぇ、、、、彼女もやっぱり魅力的ではあるのですが、、、、
マイケル・シーンが好きだから見始め、最初の数回は今一歩面白さがわかりませんでしたが、回が進んできて少しずつ面白くなってきて、今では夢中です。笑あり涙あり。
それより何より、オープニングの映像がとんでもない!えっとかなり卑猥な感じなんですけど、よかったら見てみてください。masters of sex opening credits で出てきます。

で、昨日なんですけどBritish Museum で開催されている春画展も見て来ました。


完全に予習不足でした、、、、、、

この絵のようにちょっと着物がはだけた男女が抱き合ってる絵なんだと思っていたもんで、、、、
気づかなかったんですけど、 今まできっと見たことなかったんだと思いますぅ、、、、ビックリしまくりでした。予想以上に膨大なコレクションでどれもこれも強烈なのですが、特に北斎のタコの絵なんかショックで、、、、知らない方は要チェック。正直、美しいですし、よく調べると会話も面白い。
どれも卑猥ながらも美しく、コミカルだったり歴史の勉強になったり、無知からのスタートだったので思った以上に楽しんだのですが、やはりさすがの私も知っている北斎と喜多川歌麿の絵が頭一つ抜けて素敵でした。
絵だけではなく、道具も展示してあったのですが、一つ笑っちゃうくらい Masters of Sex の制作側と同じセンスの置物が。その名も松茸を背負う女。世の中には似た感性の人がいるもんだと思いました。
興味のある方は春画とタイプして画像を見てみてください。私、そこに出てくるほとんどの絵を昨日一枚一枚丁寧に眺めてきました、、、、、、ホント、すごい充実のコレクションでしたから。

そっかぁ、、、、、春画ってあそこまでだったか、、、、、、勉強になりました、、、、、
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久々のかっこいい役の彼に毎週目がハート

2013年11月15日 | テレビ
「刑事のまなざし」、見てます。すっごく面白いです。毎週泣いてます。
何と言っても、

椎名桔平がかっこいい!!!

ずっとなんていうか、クセのある役やチャラい役ばかりだったし、演技もやり過ぎっぽいのが多くてがっかりでしたが、ひっさびさに普通の人役で、カッコいい!!
公務員だし大したものは着ていないんだろうけど、スーツ姿もキマッテル!
って、それだけ書きたかったんです。
以上。
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Finding Emma

2013年11月11日 | 洋書


まったくもって学習能力がありません、私。
Kindleで安くなっていて人気のあった本に飛びついてしまいました。

娘が誘拐された家族と、その子を育てている夫婦の物語。

って、この間読んで散々文句つけたばっかりじゃないですか、っていうの!
しかも今度は出だしがかなりヒドイ。
シロウトが感情で書きなぐっているような文章で一章終わるんです。最初の数ページでドッと疲れました。
やっちゃったなぁ、、、、子供ができて家庭に入ったけど何もしないでいるのは嫌、JKローリングみたいに私も書いてみようかしら、なんて思い立っちゃったんでしょうねぇ、、、、、どうするの、これ?
しかも、今回は完全に母親の過失からだし、子供の方も3歳で言葉も達者なのに行動パターンが不自然。
でもでも、買っちゃったんだもん、意地でも読み通してやる!と思い深く考えずに読み通して行くうちにそう悪くもなくなってきました。
色々と不自然すぎるためどちらにも肩入れせずに読めたことがかえってよかったかも。

5 out of 10 そうは言っても最後は号泣です。

実はこれ、シリーズ物なんです。2,3巻は誘拐(?)した側の老夫婦の物語で、4巻目が娘が戻ってきた後の家族の再生の物語なんだと思います。特に気にならないので読む予定なしです。
以前に話題になっていた本や気になっていた本が安くなっている場合を除いて、安くて評判がいいからということでKindle本に飛びつくのは絶対絶対やめようと固く決心しました。
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The Winter Ghosts

2013年11月09日 | 洋書


図書館のお古のハードカバーを購入して冬になるまで温めてきました。 ハードカバーの本を読むのもたまにはいいですね。

物語はフレディというイギリス人の男性がフランスの古書専門店に一通の古い手紙を持ち込むところから始まります。地方で使われていた昔の言語で書かれたその手紙に書かれていることを訳して欲しい、との依頼。
その手紙の出処が気になり店主がたずねたところから、フレディの不思議な体験話が始まります。

作家はケイト・モスという名で、数年前に「ラビリンス」という作品が大人気だったのですが、歴史小説でただでさえ難しいだろうに、きっと「何処かのパーティガールと混同されないように、高尚な内容と難しい語をオンパレードさせて読者層を選んでいそう」というイメージを勝手に膨らませ敬遠していました。
ところが全然。
この作品に至っては難しい言葉はほぼ無いに等しく、それでいて表現や描写が美しい。
主人公は心に大きな傷を抱えているのですが、その辺の心情描写も素直でストレートでありながら柔らかさもあるのです。傷の深さや事の重さは充分伝わってくるけど、かといってのしかかってくる感はなく、静かに響いてくる感じでしょうか。

8 out of 10

しっとりしていて、物悲しいながらも清々しい気分で読み終われる作品です。
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A screaming man

2013年11月05日 | 映画
内戦に苦しむアフリカのチャドを舞台にした父と息子の物語。
元水泳選手のアダムは、二十歳の息子とともに外資系の高級ホテルのプールでライフガード兼コーチの仕事をしている。青春をスイミングに捧げてきた彼は、一生をプールで過ごすことに喜びを感じている。
ところがある日、ホテル側が人員削減に乗り出し、プールに二人も要らないという決断を下した。
個人面談において、勤務態度がいまいちな息子が解雇になると思ったアダムは息子をかばう発言をし、なんとか息子も共に残してもらおうとしたが、ホテル側が選んだのは息子の方であった。アダムは解雇にはならず、ホテルの門番に収まるがどうにもやるせない。
そんな中地元のチーフからは内戦関連の集会にも出ず、金銭的にも協力しない事を咎められ、、、、
窮地に陥ったアダムは息子を軍に送ることに同意する。何も知らされず父に助けを求めながら家から連れ去られる息子。自室に隠れたままの父。
息子の入隊後、アダムはプールの仕事に復帰することができたが、、、、、、

父親の息子に対する様々な思いを静かに映し出した作品。
内に熱いものを秘めながら物静かな主人公と若くてハツラツとした息子、小さな少年までが兵士として戦い尊い命を落としている激しい戦地とまだ反乱軍の手の届いていない地の物静かな風景のコントラストが、より一層作品を引き立てています。

4 out of 5
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It's kind of a funny story

2013年11月03日 | 映画

前から気になっていた作品でしたが、期待以上によかったです。

優秀な生徒が集まる名門校に通う何の取り柄もない自分。同級生や友達に対して感じる劣等感、好きな女の子に関する悩み、親からの期待に対するプレッシャー、将来への不安。
いろいろなことに上手く対応しきれなく、不安に押し潰されそうになったり、どうしようもなく悲しくなったり。とにかく自分が不安定だと思った16歳の主人公は、自ら病院に飛び込む。
このままでは自殺してしまうかも、薬で何とかしてもらいたい、と思った彼の思惑に反し、精神科病棟に送り込まれる。
そこでの期間限定5日間の生活を通して、少年の心の変化と成長を描いた作品。

病棟には主人公クレイグが思い描いていたような自分と同じくらい「軽め」な症状の患者はほぼいなく、それぞれがかなりな問題を抱えている。それでもその辺りの患者の様子をやりすぎ感のない抑え気味に演出しているところに好感ももてたし、そしてスタッフか患者かに関わらず散りばめられている素敵な名台詞にもグッときたりなんかして。
所々グレッグの妄想シーンが入り代わり映えのしない院内のセッティングに彩りが加わったり、イラストレーションが入ったりと映像にも工夫がありますし、音楽にもこだわっているっぽい(なんとなくそう思っただけ)。
そして何より、今まで「なんなのこの人ー、、、」と思っていたザックなんちゃらかんちゃらがすっごく素敵な存在感を醸し出していたことに感激。だってねぇ、彼の出演作はほとんど見たことがなく、彼がホストするトーク番組っぽいのを見たことがあるくらいなんですけど、もう最悪なイメージだったんですよね。それなのにこの作品であんな難しい役をあんな風に演じることができるなんて、、、、、

5 out of 5

悩める男の子の話は最近結構な数見ていてどれもそれなりに良かったのですが、こちらは中でも秀作だと思いました。ぜひ機会があったら鑑賞してみてください。
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