高校の卒業式を間近に控えたある日に家出をした幼馴染のマーゴを探して奔走するクエンティンとその仲間たちの青春物語。
高校に入ってからは派手なグループに属しているマーゴと本人曰くロー・カーストに属するクエンティンは疎遠だったのにもかかわらず、マーゴはクエンティンにいくつかのヒントを与えて消えてしまった。
僕に探してもらいたがっているサインだ、と考えたクエンティンは何よりもマーゴの捜索に躍起になる。
マーゴはなぜ姿を消したのか?
クエンティンたちは彼女を見つけ出せるのか?
The Fault in Our Stars の作者ジョン・グリーンだったので期待していたのですが、思っていたよりずっと普通のティーン小説でした。特に子供たちが探偵ごっこみたいなことをするタイプの小説が苦手な私は、なかなかストーリーに入っていけず。
だって大人なんだもん、私(笑)
良かった点は、マーゴが手がかりとして残すホイットマンの詩がとても効果的に使われていることや、テーマかな。
多分だけれど、この小説が含んでいるメッセージは、自分は自分、人は人、というところをしっかり捉えようということじゃないかと思います。そしてそのことが現代を生きる若者たちがとても必要としているメッセージだと思うのです。
友達がこうだから、友達が、友達が、ってもちろん誰もが言っていましたよ、子供の時は。
ただ今は昔以上に20代、30代の人々までが、いつまでも「友達が、友達が、友達なのに、友達なんだから」と適度な距離を保てず、最近では「友達」の存在が、社交だけじゃ済まなくなって、「自分と同化」しようとしている傾向にあるような気がしています。それゆえにトラブルも多くなります。話題のママ友がどうこうっていうのも要するにそういうことでしょ?
この作品の中では、マーゴの捜索に執着しすぎたクエンティンが、自分と同じくらい真剣にマーゴのことを考えていないじゃないか!と友人たちに怒りをぶつけるのですが、親友たちにはっきりと自分と同じ考えや気持ちを期待するのは間違えている、と言われて気づきます。女同士や大人だとなかなか言いづらいものですが、男の子同士だと意外と感じよく伝わりました。
もう一つのメッセージは、いつも一緒に過ごしていても自分の知っている相手が全てではないということ。
これをいつでも忘れることのないように。
そんなの当たり前だよ、と思っていても案外できていないものですよ。
6 out of 10
私はkindle本と youtube にアップされている音声を頼りにして読みました。じゃないと無理だったと思う・・・
最後に一つ英語について。
本には出てきませんが、ちょっと悪い言葉を教えてしまいます。
クエンティンにとって特別な女性であるマーゴですが、一般的にはdrama queen で attention seeker. この「注意を引きたいがために面倒くさいことを引き起こすような人物」のことを、attention whore なんて言ったりもします。
まさにマーゴは私にとってはそう。最後にはようやく彼女の気持ちも理解できるところはあったのですけどね。
親しい間柄、というよりは、口の悪い人たちの集まりの時にのみ使えます。