シンプルなのに力強く心をグイッと掴んでくる作品。
フランスの戦争にわけもわからず借り出されているセネガル人の若い兵士。
自国のためでもなし、何が原因で何のために戦っているのかもわからず、言葉も通じない白い肌と青い目をした人々のために、敵だという同じような白い肌と青い目をした人々をただただ殺すために戦地に送り込まれている。
一緒に入隊した幼馴染が敵にやられ、内臓がお腹から飛び出している状態でただひたすら死を待っている。
苦しい彼は主人公に何度も懇願する。殺してくれ、この苦しみから解放してくれ、と。
実の兄弟以上の彼を手にかけるなどできるわけがない。帰還した時に彼の親に合わす顔がなくなる、主人公は友をそのまま苦しみ続けさせ、やがて友は息絶える。
あの場合人間として正しかったのはどちらの行為か。愛する者を苦しみから解放してあげるため殺すべきだったのではないか。主人公は行き場のない思いを抱えながら戦いにのめり込んでいく。
たったの150ページでシンプルな文だけで、戦争の残酷さ、兵士たちが這いずり回っている泥のひんやりさや返り血の匂い、陣営のある森の音や空気が伝わってくるところが素晴らしい。こういうの好み。
娘が「大学でタダでもらった。まあまあ良かったから読むならどうぞ」と本棚に置いていった本。
全くノーマークだったのに読み出したら衝撃的で、調べたら2021年の国際ブッカー賞受賞作でした。
フランス語からの翻訳作品。タイトルは英訳者のセンス。すごく素敵。原題より良いのでは?
8 out of 10
フランスの戦争にわけもわからず借り出されているセネガル人の若い兵士。
自国のためでもなし、何が原因で何のために戦っているのかもわからず、言葉も通じない白い肌と青い目をした人々のために、敵だという同じような白い肌と青い目をした人々をただただ殺すために戦地に送り込まれている。
一緒に入隊した幼馴染が敵にやられ、内臓がお腹から飛び出している状態でただひたすら死を待っている。
苦しい彼は主人公に何度も懇願する。殺してくれ、この苦しみから解放してくれ、と。
実の兄弟以上の彼を手にかけるなどできるわけがない。帰還した時に彼の親に合わす顔がなくなる、主人公は友をそのまま苦しみ続けさせ、やがて友は息絶える。
あの場合人間として正しかったのはどちらの行為か。愛する者を苦しみから解放してあげるため殺すべきだったのではないか。主人公は行き場のない思いを抱えながら戦いにのめり込んでいく。
たったの150ページでシンプルな文だけで、戦争の残酷さ、兵士たちが這いずり回っている泥のひんやりさや返り血の匂い、陣営のある森の音や空気が伝わってくるところが素晴らしい。こういうの好み。
娘が「大学でタダでもらった。まあまあ良かったから読むならどうぞ」と本棚に置いていった本。
全くノーマークだったのに読み出したら衝撃的で、調べたら2021年の国際ブッカー賞受賞作でした。
フランス語からの翻訳作品。タイトルは英訳者のセンス。すごく素敵。原題より良いのでは?
8 out of 10