hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Rules for Virgins

2018年01月28日 | 洋書
 あまりにも本を買い漁って読まないでいると、その本がどういう内容の本なのか、どうしてその本を欲しいと思ったのか、読もうと思ったころには全く分からなくなっていることが結構な頻度であります。みなさんはどうですか?
 紙の本なら棚から出して裏表紙の内容を読み直してから読み始めるのですが、kindleの場合「たしかこんな内容だったかも」と想像するだけで読み始めて「うん?」と思ってしまうケースが多いです。
 先日は「たしかすれ違いの夫婦の再生物語だった気がする」と思い読みだした作品が、毛沢東時代の音楽家のフィクションでした。ちょうどその頃のメモワールを読み終わったばかりの時に立て続けに文化大革命ものだった偶然。ちょっと驚きました。重たい内容続きも嫌だしどうしようかと迷いながら途中まで読みましたが、どっちにしろ難しすぎて挫折しました。
 そして今回のこの本。
 有名な作家の本が無料だったからダウンロードしたことには間違いないのですが、なぜにこれを?
 小説ですらなかったのですよ。
 小説の一部分の抜粋。
 中国の高級娼婦のタイトル通りのルールブックです。
 どのように処女を高値で買ってもらうか、どのように多数の男性を夢中にさせるか、どれだけ高価なプレゼントを買わせるか、夜の技術についての指南書でありました。
 なかなか興味が保てなくkindleによると2時間以内に読み切れる中身なのにまぁ今日までかかりました。
 感想も特にないです。

 先ほど述べた挫折した作品はこちら。
 
 今よく表紙を見ると音楽がらみの話だからと興味を持ったらしいことがわかります。
 
 それから評判が良いし軽く読めそうなので選んだこちらの作品。
 
 半分以上読んで挫折です。ロマンティックコメディはやっぱり性に合わないようです。
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The Great Passage by Shion Miura & 映画「船を編む」 

2018年01月01日 | 洋書
 出版社で新しい辞書作りに情熱をかける人々の物語。
 日本の小説を英訳したものを音源とキンドルで読みました。
 やはり「言葉が主役」の作品、日本語で読みたかったなぁ。
 英文からも柔らかさと固さがうまく融合した文章加減の良いユーモアやなどが伝わってくるので翻訳者が実によく日本と日本語を理解しているかはうかがえます。ナレーションも聴きやすい英語はもとより日本のテレビの二重放送のように活舌の良い美しい日本語も混ざっていて素晴らしいできなんですよ。
 でも日本語で読み返したい作品です。

 

 映画の方は原作と比較をしなければ、あれはあれでいい作品だろうなと思いました。職場の雰囲気とか小道具とかいい感じでした。
 主役のマジメ君のキャラクター作りが私の好みじゃなかったんですよね。
 最近多いと思うのですが、無口でおとなし目の男性が主人公の原作だと、映像化すると極端に変人風に描かれたり、少し問題があるように描かれることがほとんどのように気がします。もっと言ってしまうと、社会全体が好きなことに没頭する口下手な人間にレッテルを張りたがっているような。
 まぁ私の意見は置いておいて。
 部内の男たちは言葉が大好きで没頭して他が見えなくなるタイプばかり。そこに一人だけいる潤滑油のような西岡役をオダギリジョーが演じているのがすっごく良かったです。やっぱりオダギリジョー最高。


 
 
 多分ですが、こうして本を読んで私のレビューなんかまで読んでくれている方は、いつでも「言葉」を意識している方々だと思います。
 私も本当に色々気になります。日本語でも英語でも。
 私も「ら」抜き言葉には気をつけるまでは至らないのは自覚しているのですが、基本的には流行りの言葉を使うことは昔からあまり好きではありません。でも前にも言ったのですが率先してそういう言葉を話していそうなキャラなもので、実際は使っていないのですが「使っていないこと」に誰にも気づかれません。
 何でもかんでも略して話すこともものすごく気に障ります。クレカって何よ?ワーママ?はぁ?って感じです(笑)なんでそんな風に話さないといけないわけ?
 略語だけではありません。いい大人が若い子たちの言葉や造語に引っ張られているのも心配です。ディスる、とか使う必要ある?
 言葉の誤用も気になります。使ってしまうけれど、「全然」の後に肯定文とかね。
 イントネーションも気になります。日本語全体のイントネーションがものすごく変わってきていると思います。バラエティ番組が増えたテレビの影響でしょう。

 さて、上に書いたことは私個人の意見なわけですが、この意見を前面に押し出してしまうとこの作品の良さを掴めていないことになるのですよ(笑)
 作中の登場人物たちが精魂込めて作り上げた辞書「大渡海」は、「言葉は生き物」だから変化は当たり前、流行っている言葉もどんどん取り入れていこうというコンセプトの基に作られていくのです。
 そのため「言葉採取」に出かけます。おじいさん教授が合コンに出かけたり、女子高生が集まる時間にマックに行ったり。
 真面目で没頭するタイプが、言葉に真剣に向き合い、正しい言葉を伝えたいと思いつつも柔軟さも忘れずに。改訂する度に新しい言葉もどんどん入れていく予定なんです。
 そんなわけでこんなところで私が頑固に「だめだだめだ」と鼻息荒くしても意味がないのです。
 言葉は生きているのですから。

 6 out of 10

 この夏日本でたくさんの友人に会いましたが、私の周りの人たちは誰一人変な略語を使ったりおかしな言葉を入れてきたりしませんでした。
 普段から使っていないのか、私には伝わらないと思い気をつけていたのか、私に怒られるのが嫌だから気をつけていたのかはわかりません(笑)
 なので一般の多くの人の言葉が変わってきているわけではないのかもしれませんね。テレビやネットに影響を受けやすいタイプの人に多いのかもしれません。
 言葉を「乱れてきている」ととるか「変わっていっている」ととるか。
 Half empty or half full?
ものは考え様。肯定的で柔軟でありたいとは思うけど・・・・・この作品を読んでからずっと考えています。
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