とても繊細な心を持つ青年の恋愛物語。移民の子として、若い黒人男性として生きる息苦しさもテーマの一つ。
丁寧に丁寧にその心の内を描写してある作品です。
著者は作家活動のほかに写真家としても活動している20代の男性で、この作品がデビュー作。主人公の青年はほぼ作者本人。
詩的な描写や比喩が多く全体的に美しいけれど、ドロっとした感情の渦みたいのも含まれていて、こういうのを「純文学」って言うんじゃなかったっけ?とちょっとしばらく読んでいなかったような懐かしさを感じました。
8 out of 10
内容的には若い時に読んでたらもっともっとグッと来たと思うもので(19歳のうちの娘の評価は満点)、読者によっては、私が10代で夏目漱石の「こころ」を読んだ時の様に心揺さぶられるような作品かもしれないと思いました。文体の美しさで言えば、なんとなく Ali Smith を読んだ時の様な感覚。
一番印象的なのは、この作家が色々な物事をしっかり言語化できること。
それは絵画だったり音楽だったり文学だったりに触れた時の感想だったり、事実だったり感情だったり様々なのだけど、私のような凡人が「どう言っていいかわからないけど」とか「上手く言えないけど」「表現しがたいけど」となるか、もしくは単純に、良かった悪かった、好きだった好きじゃなかった、素晴らしかった、面白かった、興味深かった、と本当は色々感じてるけどそんな感じに終わらせてしまうようなこと全てをしっかり言葉にできているんですよね。
私にとっての難点は、作家本人のナレーションのオーディオが「詩の朗読」のようで、文体的にも内容的にもそれがマッチしているのは間違いないのですが、そのフラットさがだいぶ苦手だったこと。それと、珍しい second person narrative で書かれていることが大きな特徴で、それには色々な意図と効果があるそうですが、私にはただただ読みづらいだけで、シンプルに一人称で書いて欲しかったと思わずにはいられませんでした。
昨今溢れる映像化を意識したドラマチックな作品に飽き飽きしていて、言葉の美しい文学作品を求めている方にお薦め。
丁寧に丁寧にその心の内を描写してある作品です。
著者は作家活動のほかに写真家としても活動している20代の男性で、この作品がデビュー作。主人公の青年はほぼ作者本人。
詩的な描写や比喩が多く全体的に美しいけれど、ドロっとした感情の渦みたいのも含まれていて、こういうのを「純文学」って言うんじゃなかったっけ?とちょっとしばらく読んでいなかったような懐かしさを感じました。
8 out of 10
内容的には若い時に読んでたらもっともっとグッと来たと思うもので(19歳のうちの娘の評価は満点)、読者によっては、私が10代で夏目漱石の「こころ」を読んだ時の様に心揺さぶられるような作品かもしれないと思いました。文体の美しさで言えば、なんとなく Ali Smith を読んだ時の様な感覚。
一番印象的なのは、この作家が色々な物事をしっかり言語化できること。
それは絵画だったり音楽だったり文学だったりに触れた時の感想だったり、事実だったり感情だったり様々なのだけど、私のような凡人が「どう言っていいかわからないけど」とか「上手く言えないけど」「表現しがたいけど」となるか、もしくは単純に、良かった悪かった、好きだった好きじゃなかった、素晴らしかった、面白かった、興味深かった、と本当は色々感じてるけどそんな感じに終わらせてしまうようなこと全てをしっかり言葉にできているんですよね。
私にとっての難点は、作家本人のナレーションのオーディオが「詩の朗読」のようで、文体的にも内容的にもそれがマッチしているのは間違いないのですが、そのフラットさがだいぶ苦手だったこと。それと、珍しい second person narrative で書かれていることが大きな特徴で、それには色々な意図と効果があるそうですが、私にはただただ読みづらいだけで、シンプルに一人称で書いて欲しかったと思わずにはいられませんでした。
昨今溢れる映像化を意識したドラマチックな作品に飽き飽きしていて、言葉の美しい文学作品を求めている方にお薦め。