Sebastian Faulks という作家の作品を一度は読んでみたいとずっと思っていました。
気になっていたのは、Human Traces と Birdsong ですが、図書館で投げ売り(日本円で15円くらい)していたので、A week in December をオーディオと共に読みました。
ロンドンに住む人々の日常を描いた作品。
現在のロンドンらしく、色々なステイタスの人々、文化的背景の違う人々が登場します。
何の関係もない感じの人々がどこかしらで繋がっていきます。
私にとってはタイムリーな内容でありました。
私が昨今のニュースで一番気になっているのは、英国生まれ英国育ちのティーンたちが次々と自ら IS に加入しようと国外へ出ていることです。
最近17歳の男の子たちはトルコで保護(?)されましたが、その少し前に出た15歳の女の子たち三人はまだ確認がされていないようです。
我が子と変わらない年齢の子が一体どんなきっかけで、どんな思いでそういった行動に出てしまうのか。
これまでもニュース、ドキュメンタリーや映画などでイスラム教徒の若者たちが原理主義集団に魅せられていく様子を見てきました。この作品の主要人物の一人ハッサンもそういった若者で、コーランの純粋な教えを別の解釈をしていく原理主義グループの考えには納得は行かないものの自分の信念を貫くためにはそういった方向から攻めていくのもありかもしれない考え始め、じきに完全に傾倒していってしまいます。
息子の変化を感じながらもなすすべもない母親の気持ち、ここは大切だから息子とじっくり話さなければと努力する父親の様子、などが描かれているところが一番私の気をひきました。心配し不安に思いながらもハッサンの考えや気持ちを変えさせるところには至りません。
ハッサンには両親のほかにも真っ直ぐに向かい合ってくれる女友達もいます。この彼女の話し方が一番魅力的です。かなり直接的にものを言うのですが、それでいて抑えつけたり説き伏せたりするのではなく、ハッサン本人が考えて答えを出すように誘導するような感じなのです。とはいえ彼女の声は残念ながら彼の心を揺さぶりはしますが、深いところに届きません。
イスラム国家の長期展望のためには小さな犠牲は仕方が無い。親を悲しませること、自分を思ってくれる友人を裏切ること。仕方がないんだ。ハッサンは迷いを吹っ切るために何度かそう呟きます。
はたしてコーランの本当に意味しているイスラムとは、信仰なのか政治なのか。
そのほかにも興味深い人物もいます。
「もう何もいらないから、夫の笑う姿を見てみたい」と願う妻。
何様か知らないけど、売れ線の本についてボロクソに批判ばかりするちょっと pathetic な評論家(え?どこかの誰かも素人のくせに似たようなもんじゃないかって?ハハハ)。
この辺りが私の気になった人物。その他も一人一人を丁寧に描写してあるのですが、もうハッサンとその周囲の人々、そしてテロの行方が気になってそれどころじゃなくなってしまいました。タイムリーだったからこそバランス良く読めなかった次第であります。
評価なし。
気になっていたのは、Human Traces と Birdsong ですが、図書館で投げ売り(日本円で15円くらい)していたので、A week in December をオーディオと共に読みました。
ロンドンに住む人々の日常を描いた作品。
現在のロンドンらしく、色々なステイタスの人々、文化的背景の違う人々が登場します。
何の関係もない感じの人々がどこかしらで繋がっていきます。
私にとってはタイムリーな内容でありました。
私が昨今のニュースで一番気になっているのは、英国生まれ英国育ちのティーンたちが次々と自ら IS に加入しようと国外へ出ていることです。
最近17歳の男の子たちはトルコで保護(?)されましたが、その少し前に出た15歳の女の子たち三人はまだ確認がされていないようです。
我が子と変わらない年齢の子が一体どんなきっかけで、どんな思いでそういった行動に出てしまうのか。
これまでもニュース、ドキュメンタリーや映画などでイスラム教徒の若者たちが原理主義集団に魅せられていく様子を見てきました。この作品の主要人物の一人ハッサンもそういった若者で、コーランの純粋な教えを別の解釈をしていく原理主義グループの考えには納得は行かないものの自分の信念を貫くためにはそういった方向から攻めていくのもありかもしれない考え始め、じきに完全に傾倒していってしまいます。
息子の変化を感じながらもなすすべもない母親の気持ち、ここは大切だから息子とじっくり話さなければと努力する父親の様子、などが描かれているところが一番私の気をひきました。心配し不安に思いながらもハッサンの考えや気持ちを変えさせるところには至りません。
ハッサンには両親のほかにも真っ直ぐに向かい合ってくれる女友達もいます。この彼女の話し方が一番魅力的です。かなり直接的にものを言うのですが、それでいて抑えつけたり説き伏せたりするのではなく、ハッサン本人が考えて答えを出すように誘導するような感じなのです。とはいえ彼女の声は残念ながら彼の心を揺さぶりはしますが、深いところに届きません。
イスラム国家の長期展望のためには小さな犠牲は仕方が無い。親を悲しませること、自分を思ってくれる友人を裏切ること。仕方がないんだ。ハッサンは迷いを吹っ切るために何度かそう呟きます。
はたしてコーランの本当に意味しているイスラムとは、信仰なのか政治なのか。
そのほかにも興味深い人物もいます。
「もう何もいらないから、夫の笑う姿を見てみたい」と願う妻。
何様か知らないけど、売れ線の本についてボロクソに批判ばかりするちょっと pathetic な評論家(え?どこかの誰かも素人のくせに似たようなもんじゃないかって?ハハハ)。
この辺りが私の気になった人物。その他も一人一人を丁寧に描写してあるのですが、もうハッサンとその周囲の人々、そしてテロの行方が気になってそれどころじゃなくなってしまいました。タイムリーだったからこそバランス良く読めなかった次第であります。
評価なし。