風は、南南西から来ている。船は、でっかい横帆に風をはらみ、やや右に傾いで波を蹴っている。レムノス島の北端の岬は、左手前方に、そして、右手の彼方にイムロス島を望める地点にさしかかっていた。
パリヌルスの休んでいる傍らに来て、彼の膝頭を、こつこつと二度軽く叩いた。操舵の差配を担当しているルドンである。
『おうっ!何だ。』
『船長。あと少しでレムノス岬の線に達します。進路をどれくらい東に振りましょうか。北北東に進路を振ったら、風は、まともに船を押します。船足が速くなりますが、、、、。』
『よしっ!判った。船首をイムロスの西沖に向かわせろ。そして、サモトラケの東沖を目指せ。雲を見ろ。雲の流れはどうだ。早いか。』
ルドンは、空を仰ぎ見た。雲は無かった。
『雲はありません。』
『よし。ルドン、サモトラケの東沖を通る頃から、海が荒れてくると思え、ぬかるでないぞ、ルドン!俺は、もう少し休んでから確かめる。任せたぞ!』
『判りました。船長。』
パリヌルスの休んでいる傍らに来て、彼の膝頭を、こつこつと二度軽く叩いた。操舵の差配を担当しているルドンである。
『おうっ!何だ。』
『船長。あと少しでレムノス岬の線に達します。進路をどれくらい東に振りましょうか。北北東に進路を振ったら、風は、まともに船を押します。船足が速くなりますが、、、、。』
『よしっ!判った。船首をイムロスの西沖に向かわせろ。そして、サモトラケの東沖を目指せ。雲を見ろ。雲の流れはどうだ。早いか。』
ルドンは、空を仰ぎ見た。雲は無かった。
『雲はありません。』
『よし。ルドン、サモトラケの東沖を通る頃から、海が荒れてくると思え、ぬかるでないぞ、ルドン!俺は、もう少し休んでから確かめる。任せたぞ!』
『判りました。船長。』