『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  7

2009-07-28 15:18:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 このときのトラキアの領主ポリメストルは、敗色の濃いトロイの地への軍の派遣については乗り気ではなかったが、先王の願いもあり、不承不承、援軍を派遣したのである。トラキア軍は敗北した。ポリメストルは怒った。どうしてくれようと思案した。トラキアに預かりの身であるトロイのプリアモスの子息の一人であるポリュドロスのことに考えが及んだ。『奴を始末する。』 ポリュドロスには、毎月、トロイから大枚の金銀が送られてくる、また、彼の持っている財にも目をつけた。心を決めたポリメストルは迷わなかった。彼の持っている金銀と財の全てを奪い、殺害した。その首をアガメムノンに送り、アガメムノンと手を結んだのである。
 アエネアスは、少年時代の一時期、トラキアで過ごし、文武を身につけた。トロイとギリシア連合軍が戦端を開いてのち、トロイに帰るまえの一時期、ポリュドロスと過ごした日もあった。
 アエネアスは、彼が生きていてくれることを願っていた。この期待が裏切られることはないであろうと、心の片隅で思っていたのである。