『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  55

2009-10-02 10:35:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 小船の上の5人は、茜の夕陽に照らされている。アエネアスは、漁師になりきっていた。二人が櫂を操り、残る三人は。船から竿を突き出し糸をたれている。まさに原始的な釣り仕掛けである。何の工夫もしていない竿、太い糸、不細工な針、でかい餌、現代の釣り人だったら、首を傾げるような、釣りの仕掛けであった。よく釣れた。釣れるに任せて、魚を釣り上げた。彼らは、漁獲という作業に目を見開いた。
 彼らの小船がエノスの浜を出て3時間、夏の宵の薄い闇が迫ってきている頃、目標の地点に着いた。長い海岸線は、途中で途切れはしたが、砂浜が続いていた。上陸に関しては、いい条件の浜である。パリヌルス、オキテスが二人の考えた通りの砂浜であった。ここから10キロくらい、東へ行けばタヅラの湖の浜で、砂浜の条件が上陸には不向きなのである。アエネアスは、浜をひと目見て、彼ら二人の目の確かさに舌を巻いた。
 『パリヌルス、浜にあがろう。』
 『それはよろしいですが、敵の目に注意しないといけません。充分に気をつけてください。あがってみましょう。』
 5人は、連れ立って、浜にあがった。