『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  65

2009-10-16 08:34:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスは、慎重に言葉を選んで話を続けた。
 『判ったな。イリオネス、パリヌルスにオキテス、カピュス、君ら四人は、予定した戦場を視察している。変化に対応できる態勢で布陣して挑むのだ。戦端の開き方だが、敵が先に仕掛けてくるようにするのだ。後の先をとる攻撃思考だ。布陣は真夜中に敷く。戦闘の開始は、薄明のころから、陽の出にかけてだ。敵の作戦の虚を衝く戦闘行動で攻める。敵は、戦闘開始時点では自分たちが有利な位置にいると思うはずだ。それを瞬時に逆転する、それが我々の攻撃手法だ。敵に伏兵のあることを知られてはならない。我々の方が敵より寡勢であり、命がけの臆病さを演出して敵を我々の思う壺に誘導する。この敵を叩き潰す。以上だ。イリオネス、アレテス、パリヌルス、隊長たちを集めて指令を発せよ。戦いは始まっている。今日は、敵の間者がうろつくぞ。我々の戦仕度を悟らせるな。』
 小一時間に渡った打ち合わせは終わった。
 『あ~あ、それから、午後の話し合いは、俺と市民たちとの対話だ。君らの出席は必要ない、また、浜頭たちには、俺から話を通しておく。以上だ。』
 会議を終えたアエネアスは、従者を一人連れて、馬でエノスの砦に出向いた。
 ラミドトスの船団は、このときはまだ、トロイの船だまりに停泊していた。