アエネアスは、昼過ぎまでに帰る予定でエノスの砦に向かった。引き連れている従者は、軍団の中でも屈強の若者のギアスである。浜頭に依頼して借りた馬は栗毛の若い雌馬である。この時代、もうすでにトラキアでは、軍団が騎馬の部隊で編成されているくらいに、馬の使用が進んでいた。目指す砦には程なく着いた。
門衛に領主への取次ぎを申し入れた。館の中に姿を消した門衛が、一人の老臣と思われる者を伴って近づいてきた。アエネアスは、老臣に問いただされた。再び待たされるアエネアス。再び現れた二人。
『アエネアス殿。私は、領主の側近のゼレカスです。領主の許に案内いたします。従者の同伴はかまいませんが、ご両人の帯剣を門衛にお預け願いたい。』
アエネアスは、側近の言葉に従った。館の壁面には蔦が這い茂り、なかなかのおもむきがあった。廊下を奥へ進む、部屋の戸口に領主が立っていた。
『アエネアスと言われたな。通られよ。』
彼は、アエネアスを部屋へ招じ入れた。四人は、丸いテーブルを囲んで席についた。
『アエネアス殿。先日の浜での事については耳にしておる。貴方がたは、我々が招いた客人ではない。心していただきたい。』
次に、側近がアエネアスに質した。
『今日、こちらに見えた、そのご用件は何でしょうか。私は、このエノスの砦の領主 エノゼリアス の側近の一人です。お見知りおきを。』
門衛に領主への取次ぎを申し入れた。館の中に姿を消した門衛が、一人の老臣と思われる者を伴って近づいてきた。アエネアスは、老臣に問いただされた。再び待たされるアエネアス。再び現れた二人。
『アエネアス殿。私は、領主の側近のゼレカスです。領主の許に案内いたします。従者の同伴はかまいませんが、ご両人の帯剣を門衛にお預け願いたい。』
アエネアスは、側近の言葉に従った。館の壁面には蔦が這い茂り、なかなかのおもむきがあった。廊下を奥へ進む、部屋の戸口に領主が立っていた。
『アエネアスと言われたな。通られよ。』
彼は、アエネアスを部屋へ招じ入れた。四人は、丸いテーブルを囲んで席についた。
『アエネアス殿。先日の浜での事については耳にしておる。貴方がたは、我々が招いた客人ではない。心していただきたい。』
次に、側近がアエネアスに質した。
『今日、こちらに見えた、そのご用件は何でしょうか。私は、このエノスの砦の領主 エノゼリアス の側近の一人です。お見知りおきを。』
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