『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  217

2010-05-24 06:03:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ねえ~、貴方、どうしていらっしゃるの。私、貴方に抱かれたい。貴方と私の愛し子、アスカニウスはどうしていますか。ね~え、聞いて私の声を、、、。貴方は、広い太洋を渡り、最後にたどり着くのはトロイを遠く離れた西の国ヘスペリア(イタリアのこと)です。そこにたどり着く苦労を避けることはできません。そこは大地を耕す人のいる豊かな国です。大きな河が流れています。貴方は、そこに一国を建設します。貴方は、私に代わる王妃を得ます。アスカニウスをつれて、そこへ向かって、、、、。貴方の大切な使命は、苦難ののち、必ず叶います』
 『クレウーサっ!』 彼は、霧の彼方へ消え去ろうとしている彼女を大声で呼んだ。
 『統領っ!』 これは夢の中の声ではなかった。
 彼の耳元で声がする。目を開けたアエネアスは、アレテスとギアスの顔を目の前に見た。
 『統領、大きな声を出されましたが』
 アレテスは、心配そうにアエネアスに声をかけた。
 『う~ん、夢だった。訪問者があった。ヘクトルが来て、クレウーサが来た。二人とも何かを言って霧の中に消えた。夜明けはまだだな、二人とも休んでくれ。大きな声を出して起こしてしまったな。すまなかった』
 彼は手短かに謝った。身体全体が汗でぐっしょりであった。股間に異変を感じたアエネアスは手を伸ばした。そこはぬめった液体でぬれていた。