『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  71

2011-05-02 07:04:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 砦の浜は、朝の水浴びで人々が行き交っていた。アエネアスもユールスをつれて渚へと歩を運んでいた。
 『統領、おはようございます。昨夕の鹿、とてもおいしくいただきました。久しぶりのご馳走でした』
 『おっ、おはよう。そうかそうか、苦労して持ち帰った甲斐があったというものだ』
 『統領、おはようございます。夕べはご馳走さまでした。鹿を食べて、腹の虫が腰を抜かしていました』
 『おはよう。腹の虫が腰を抜かしたか。まだ、腰を抜かしたままか』
 『いいえ、腹の虫も私と一緒に起きた次第です。おっ、ユールスおはよう。父上と一緒はいいだろう』
 『おはようございます』
 行き交う人と朝に交わす挨拶は、昨夕の食事のことであった。皆が久々に口にした鹿肉をほめた。
 『おっ、ギアス、おはよう。夕べの鹿はどうだった』
 『おはようございます。いやあ~、旨かったですね。もう肉に油がのってきていましたね。口にした小鹿、やわらかくて旨かったですね。アゴを手で支えて食べました』
 『ギアス、朝めしは皆で食べよう。オロンテスにそのように伝えてくれ。また、イリオネス、アレテスに言って、広間に集まるようにしてくれ。交易の結果、打ち合わせ事項があると思う。準備を頼む』
 『判りました』
 ギアスは砦に向かった。