アエネアスは広間に姿を見せた。
『あっ、統領、おはようございます。朝食の準備が出来ました。もう皆が来ると思います。今朝のパンは念入りに火加減を見て焼き上げました。うまさに自信です』
『おっ、オロンテスおはよう。昨夕はえらく世話をかけたな』
『いえ、とんでもありません』
『あのような食事の場はお前でないとうまくいかない。お前のおかげで皆がとても旨いといって喜んでくれる。ありがたいことだ』
『そのように言っていただいて私はすごくうれしい。ところで、いかがですか。パンに余分がありますが』
『そうか、余分があるか、あればひとつもらおう。狩にでている間、焼きあがったばかりのパンを口に出来なったからな』
『どうぞ!』
受け取るやいなや、さっそく口に運んだ。
『うまい!これはうまい、オロンテス、ありがとう』
入り口に皆が顔を見せた。
『おはようございます』『おはよう』
皆が朝の挨拶を交わして席についた。一同が起立して
『統領、おはようございます。夕べは大変ご馳走様でした』
『おう、皆、おはよう。礼には及ばんよ。さあ~、朝めしを始めよう。この焼きあがったパンの香りで腹が声を上げている』
『さあ~、皆、いただこう』
一同、一斉に焼きあがったいい香りを放つパンを口に運んだ。
皆が『うまい、うまい』 を連発してパンをほおばった。
『夕べの鹿は旨かったな。あのような旨い鹿が食べられるのなら、統領、これからも、ちょくちょく狩に出かけられてよろしくお願いします』
『お前ら何を言うか、あの鹿は天からの頂き物だ。旨かったか。そうであろう。俺も大変に旨かった』
皆は、いろいろと話を交わしながら朝飯を終えた。