『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  75

2011-05-10 07:12:54 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼は前置きをした。
 『奴とは、交易人のテカリオンのことですが、このテカリオンと私とは『おい』『お前』の間柄なのです。知り合ったのは今から14~15年前のことです。彼が交易人として、まだ、独り立ちしていなかった頃からの付き合いなのです。それやこれやで、交易船から砦の浜へ彼らを舟艇に乗せて運んだのです。あの舟艇では身体を水にぬらすことなく浜にあがることができること、航走が軽快なこと、そして、船足の速いこと、この3点がすごく気に入ったらしく、私たちの使用している艇を売れと言うんです。当然、私は断ったのですが、それが出来んのなら、年内にこの浜にもう一度来るから、新しいのを造って俺に売れと言うのです。私はたかをくくって、どうせ一艇ぐらいならと思ったのですが、いやいやどうして3~4艇造れと言うのです。そこで私は3艇なら造ってやらないではないと答えたのです。そこで奴は私に言うのです。どうせ時間とヒマをもてあそんでいるのだろうと言うのです。3艇を造れというのです。まあ~、それを二つ返事で引き受けたような次第なのです』
 『う~ん、そのテカリオンという交易人もなかなかの者らしい。そこでパリヌルス、訊ねるが、造船の段取りをつけたのか』
 『それは、いま、イリオネスとオロンテスに話し合っていますが、昨日の今日です。これは先ず統領に話しをして、意向を確かめてからとなっているのです』