『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  44

2012-01-10 09:06:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『この第二船の竜骨にひびが入っていた。帆柱の根元の前部分にだ。この裂け目の原因は、エノスの浜に向かっている途中、レムノス島の海域でのことだ。敵船と洋上で遭遇し、海戦を展開したときに出来たと考えられる。『衝角』も損傷しているが、これは補修は考えなくともいいと思われる。この竜骨の損傷については、もう修理にかかった。修理さえ終えれば、充分に外海を航行できる。だが、万が一だ。最悪の事態を考えたときを考慮して、事に当たるべきであると判断した。各船に乗せる人数を調整して事に当たろうと思うが、君たちの意向はどうだ』
 一同は顔を見合わせた。オキテスが口を開いた。
 『俺が点検した、第四船及び改造交易船の二隻については、何等の異常はない。お前の言う、各船の乗船人数の調整はいいと思う。それから、オロンテスの担当の積荷のこともある。乗船人数の調整はやろう』
 『軍団長、いかがですか』
 『君らの言っていることを理解した。調整はやろう。君らは、忙しいのだろう。夕めしのあとに結論について話し合おう。案は作っておく。ところでパリヌルス、お前、案を作る時間があるのか。あるのならここに残れ』
 『判りました。やりましょう。オロンテス、君への注文だ。お前が担当している第五船、第六船に積み込む荷物の予定量を書いてきてほしい』
 一同は場を開いた。