『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  50

2012-01-17 08:49:22 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 船出のときが決まった。船出を明後日に控えた朝が砦の浜に訪れた。
 陽が昇る、起き出して来る者たちの顔は緊張していた。
 パリヌルスは、船長及び副長に招集の伝令を走らせた。一同の顔が揃った。それを確認したオキテスは、イリオネスを呼びに出向いた。
 『軍団長、一同揃いました。まいりましょう』
 『おうっ!揃ったか。行こう。広場か、浜か』
 イリオネスには、気合いが入っていた。
 『浜です』
 浜について、一同がいる場所に来たイリオネスは、一同の顔を見て開口一番、口をついて出た言葉は、
 『船出のときが決まったぞ!』
 彼は、一同を円座に座らせた。その中央に立つイリオネス。パリヌルスら三人も立ったままである。
 『諸君っ!船出のときが決まった。我々は、明後日、陽の出とともに、この浜より船出する。建国の途につく。いいな。準備万端、本日中に完了せよ。至上命令だ。なお、各船に乗る乗船人数を一部変更した。パリヌルス、オキテスより聞いて、隊編成を整えよ。以上だ』
 彼が言い終えるや否や、一同が立ち上がり、突如、鬨の声に似た喊声をあげた。
 『ウオッ!ウオッ!ウオッ!』
 『よしっ!諸君、作業についてくれ』
 彼らは、パリヌルス、オキテスの指示に従って乗員人数の調整をしたあと、今日の作業を順次テキパキと処理していった。