彼らは、見知らぬ土地、異国の島に停泊の場所を得て一夜を過ごした。
夜の明けきらない薄明の中を舟艇が、大きな砂利の浜近くの浅瀬に船上の者たちを運んでいる。彼らの日常の活動は、半年を過ごしたエノスの生活が基準であった。異国の地にあっても癖になっている朝行事を事情の許すかぎり欠かすことはなかった。
『おいっ、風が少々暖かく感じないか』
『そうかな、言われて見ればそのようでもある』
『海の水も温かく感じられる』
『おっ、そうかそうか』
彼らの会話はたわいなかった。そのような会話が交わされているところへアエネアスの一行が姿を見せた。
陽が昇って、夜の明けきった島を海上から眺めて
『この島には一木一草も見当たらないようだな。そのうえ、建物もこの辺りに見えないが。耳にはしていたが島として姿が荒涼としている。イリオネスどう思う』
『はい、言われるとおりです。私も岩石だけが目立つこの海岸を見て、驚いているところです。昨夜、停泊の場所を探すのに、オキテスたちが難儀したであろうと考えていたところです』
『そうであろうと俺も察している』
船に数人の者たちを残して、皆が草木のない岩石だらけの浜に顔をそろえた。
『軍団長、いかがです。この島の様相は?』
オキテスがイリオネスに話しかけた。
夜の明けきらない薄明の中を舟艇が、大きな砂利の浜近くの浅瀬に船上の者たちを運んでいる。彼らの日常の活動は、半年を過ごしたエノスの生活が基準であった。異国の地にあっても癖になっている朝行事を事情の許すかぎり欠かすことはなかった。
『おいっ、風が少々暖かく感じないか』
『そうかな、言われて見ればそのようでもある』
『海の水も温かく感じられる』
『おっ、そうかそうか』
彼らの会話はたわいなかった。そのような会話が交わされているところへアエネアスの一行が姿を見せた。
陽が昇って、夜の明けきった島を海上から眺めて
『この島には一木一草も見当たらないようだな。そのうえ、建物もこの辺りに見えないが。耳にはしていたが島として姿が荒涼としている。イリオネスどう思う』
『はい、言われるとおりです。私も岩石だけが目立つこの海岸を見て、驚いているところです。昨夜、停泊の場所を探すのに、オキテスたちが難儀したであろうと考えていたところです』
『そうであろうと俺も察している』
船に数人の者たちを残して、皆が草木のない岩石だらけの浜に顔をそろえた。
『軍団長、いかがです。この島の様相は?』
オキテスがイリオネスに話しかけた。