『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY            第5章  クレタ島  89

2012-07-06 06:42:05 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 支度を終えた統領とアンキセスが待っていた。
 『統領、まいりましょう。軍団長以下、出発の準備が整っています』
 『おっ、そうか。行こうか、父上まいりましょう。ギアス、そこの包みを舟艇に積んでくれ。貢物だ』
 『判りました』
 彼らは一行の待つ浜へと向かった。
 イリオネスとギアスの部下2名が旅支度を終えて待っていた。浜に着いた統領をイリオネスが迎えた。
 『統領、出発しましょう。刻もいい頃合です。ご両人とも足ごしらえ大丈夫でしょうか。この島の石は角が立っていて取れていません。充分に気をつけてください。どうも海沿いで行くほうがいいように思われます。道のりでいうと山裾を目指していくより、ちょっと、遠回りになりますが、いいと思います』
 彼はいい終えると身体をギアスのほうに向けて声をあげた。
 『ギアス、出発だ』
 彼ら6人は浜をあとにした。浜にいる者たちはアポロンの神殿に向かう彼らを見送った。

 話はミコノス島の南の海域を西へと進路をとって進んでいるパリヌルスの船団の状況に戻る。
 今日の航海も終わりに近づいていた。彼らは宵闇の海を進んでいる。彼らの目指す浜はミコノス島の西南端の細くくびれた先にある、北から南に向けて細く長く伸びた浜である。パリヌルスの予想では停泊については船の陸揚げのしやすい浜であるはずであった。彼は、この海域については詳しくはないが知っていたのである。