『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY            第5章  クレタ島  87

2012-07-04 06:36:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 主だった者といっても6人くらいである。
 『おうっ,皆集まったか。オキテス』
 『はい、いま、副長を船に呼びに言っています。彼が来ると一同揃います』
 『そうか、揃ったところで声をかけてくれ。俺の方は揃っている』
 オキテスは、イリオネスの言葉を聞いて打ち合わせの場を整えた。程なく皆が顔をそろえた。
 『軍団長、皆揃いました。おいでください』
 『おう、揃ったか』
 アエネアスに続いてアカテス、イリオネスの三人が簡単にしつらえた場に腰を下ろして、打ち合わせが始まった。アエネアスが言葉が短いが心のこもった口調で昨夜の苦労をねぎらった。
 オキテスが木板に書かれたデロス島の略図を皆に見せながら説明にはいった。いま、自分たちがいると思われる地点とアポロンの神殿のあり場所を指で指し示した。神殿は、島の北西部にあることを示していた。
 『いま、我々がいる地点から神殿までは、12~13スタジオン(2.6キロ余り)くらいと考えられる。我々の歩く早さで、時間は小小半刻(30分余り)ぐらいと考えられる。統領に随行する者は、アンキセス、軍団長、とギネス、それとギネスの部下が2名の計6名である。刻を見計らって出発する。帰りは夕刻であろうと思う。留守を預かる者たちは、船の整備と補修、その他である。よろしく頼む』
 オキテスは、話を締めくくった。