『隊長っ!』
『おっ、アミクス来たか。帆をあげる指示を出すのだ。風だ!いい風が来る』
アミクスは、展帆を指示した。まだ、櫂をあげるところではない。漕ぎかたは漕いでいる。3スタジオンくらい進んだ。風が頬をなでて通った。オキテスは風をはらみ始めた帆に目をやった。
『隊長っ!いい具合に風を捕らえています』
『漕ぎかたを止めろ!帆走のみで進む。全員に伝えろ。この海峡にはいい風が吹いている。アミクス、風が吹いていることを後続の船団に松明信号で伝えろ。以上だ。すぐかかれ』
『判りました』
アミクスはオキテス隊長の勘働きに舌をまいて感服しながら作業をこなした。
この海峡海路に常にといっていいくらいに風のあることを船団の誰も知ってはいなかった。この風は船団にとって思いがけない幸運であった。
この海峡海域には、日頃強めの風が吹いており、現在、ウインドサーフインを楽しむ人たちで賑わうゴールデンポイントでもある。
ナクソス、パロスの両島の海岸はなだらかで広い。ナクソス島には、南北に連なる山地が島の中心より東側にあり、パロス島の山は低いながらも島の中央部にひとつある。ナクソス島はキクラデス諸島の中でも最大級の島であり、その面積は430平方キロメートルと広い。水資源の乏しいキクラデス諸島の中にあって、とってもといっていいくらいに水に恵まれている島なのである。そのうえ島の地は肥沃であり、畜産と並んで、オリーブ、オレンジ、レモン、イチジクとともに多くの種類の野菜、果物、農作物で島の経済が支えられている。また、大理石の産地でもある。山脈ともいえるくらいのやまの連なりが北から南にかけて島の3分の2くらいまで連なり、その連なりの終点にこの諸島で一番高い『ザス山(1004メートル)』がある。この山の連なりに雲が集まり、恵みの雨をこの島に降らすのである。この産地から海峡に面する西海岸に向けて広く平野が広がっているといった地勢の島である。
『おっ、アミクス来たか。帆をあげる指示を出すのだ。風だ!いい風が来る』
アミクスは、展帆を指示した。まだ、櫂をあげるところではない。漕ぎかたは漕いでいる。3スタジオンくらい進んだ。風が頬をなでて通った。オキテスは風をはらみ始めた帆に目をやった。
『隊長っ!いい具合に風を捕らえています』
『漕ぎかたを止めろ!帆走のみで進む。全員に伝えろ。この海峡にはいい風が吹いている。アミクス、風が吹いていることを後続の船団に松明信号で伝えろ。以上だ。すぐかかれ』
『判りました』
アミクスはオキテス隊長の勘働きに舌をまいて感服しながら作業をこなした。
この海峡海路に常にといっていいくらいに風のあることを船団の誰も知ってはいなかった。この風は船団にとって思いがけない幸運であった。
この海峡海域には、日頃強めの風が吹いており、現在、ウインドサーフインを楽しむ人たちで賑わうゴールデンポイントでもある。
ナクソス、パロスの両島の海岸はなだらかで広い。ナクソス島には、南北に連なる山地が島の中心より東側にあり、パロス島の山は低いながらも島の中央部にひとつある。ナクソス島はキクラデス諸島の中でも最大級の島であり、その面積は430平方キロメートルと広い。水資源の乏しいキクラデス諸島の中にあって、とってもといっていいくらいに水に恵まれている島なのである。そのうえ島の地は肥沃であり、畜産と並んで、オリーブ、オレンジ、レモン、イチジクとともに多くの種類の野菜、果物、農作物で島の経済が支えられている。また、大理石の産地でもある。山脈ともいえるくらいのやまの連なりが北から南にかけて島の3分の2くらいまで連なり、その連なりの終点にこの諸島で一番高い『ザス山(1004メートル)』がある。この山の連なりに雲が集まり、恵みの雨をこの島に降らすのである。この産地から海峡に面する西海岸に向けて広く平野が広がっているといった地勢の島である。