『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY             第5章  クレタ島  129

2012-09-24 06:47:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 夜が明けていく、パリヌルスは、浜に立って昇りくる太陽を見つめ、空を眺めて思案した。
 たなびく雲が低い、朝焼けがやけに美しい。たなびく雲の底面が赤みを帯びて黄金色に輝いている。あまりにも美しい朝焼けに思案した。今日の天候の具合を深く思案した。
 『おっ!パリヌルス、おはよう』
 朝行事を終えてユールスの手をひいたアエネアスが声をかけた。その声に我にかえったパリヌルスが挨拶を返した。
 『あっ、統領、おはようございます』
 『おはようございます』
 オキテスが近づいてきた。アカテスも来た。彼らは浜に並んで、東の空の美しい朝焼けを眺めた。彼ら全員が今日を思いやる表情でこの景色を見つめた。
 『オキテス、どう思う。今日の空具合だ』
 『俺は、空を見て天候を深く考えたことはない。見当がつかん』
 『朝焼けと空模様、異国の海域で見る朝焼けだ、経験がないゆえの思案だ。昼過ぎまでのことだ、お前の予感を聞かせてくれ』
 『まあ~、考えさせろ』
 そこへセレストスが朝食の仕度が出来たことを知らせに来た。
 『判った、有難う。オキテス、めしを食べながら考えよう』
 彼らは、朝食の場に足を向けた。*