『アカテス、お前、今日の天気だが、どう思う?』
『今日の空模様か、朝焼けの空を見て、今日の空模様か。トロイとは条件が違う、俺は何も言えん。トロイでは陽は山から昇った。そう言うわけだ』
『そうか、エーゲ海の北の海と比べて、海の水の温度が違う、これだけ南に来ると海が暖かい。考えの及ぶかぎり考えよう』
言葉を交わしながら堅パンをちぎってほおばった。
一陣の風が頬をなでて吹きすぎる。冷たかった、これからの季節にアジア大陸から吹き降ろしてくる風であった。
パリヌルスは彼なりの決断を下した。
『カイクス、船長、副長たちを集めるのだっ!急げ!』
『判りました』
『オキテス、出航を急ごう。昼過ぎには天気が崩れる。朝のうちは風が船を押してくれそうだ。しかし、そのあとは判らん』
『おう、いいだろう。俺の勘もそんなところだ』
パリヌルスは、船長、副長たちに短く状況と考えを述べたあと、即刻、出航を指示した。彼らは、パリヌルスの檄に応えた。
朝食の場があわただしく動いた。瞬時といっていいくらいの間に出航の準備が整った。パリヌルスは、各船を念入りにチエックしながら、注意事項を与えて離岸させていった。船団編成はエノス出航時の状態の順に戻していた。
『帆をあげっ!櫂をおろせっ!漕ぎかた始めっ!』
木版の打つ音が響く、船団は泡立つ航跡を引きながらパロス島の浜を去った。
『今日の空模様か、朝焼けの空を見て、今日の空模様か。トロイとは条件が違う、俺は何も言えん。トロイでは陽は山から昇った。そう言うわけだ』
『そうか、エーゲ海の北の海と比べて、海の水の温度が違う、これだけ南に来ると海が暖かい。考えの及ぶかぎり考えよう』
言葉を交わしながら堅パンをちぎってほおばった。
一陣の風が頬をなでて吹きすぎる。冷たかった、これからの季節にアジア大陸から吹き降ろしてくる風であった。
パリヌルスは彼なりの決断を下した。
『カイクス、船長、副長たちを集めるのだっ!急げ!』
『判りました』
『オキテス、出航を急ごう。昼過ぎには天気が崩れる。朝のうちは風が船を押してくれそうだ。しかし、そのあとは判らん』
『おう、いいだろう。俺の勘もそんなところだ』
パリヌルスは、船長、副長たちに短く状況と考えを述べたあと、即刻、出航を指示した。彼らは、パリヌルスの檄に応えた。
朝食の場があわただしく動いた。瞬時といっていいくらいの間に出航の準備が整った。パリヌルスは、各船を念入りにチエックしながら、注意事項を与えて離岸させていった。船団編成はエノス出航時の状態の順に戻していた。
『帆をあげっ!櫂をおろせっ!漕ぎかた始めっ!』
木版の打つ音が響く、船団は泡立つ航跡を引きながらパロス島の浜を去った。