『お~いっ!操舵担当っ!右へ廻るのだっ!右方回頭、あの小島のかみが目当てだ』
『判りました!』
船は大きく傾いで回頭していく、降帆のタイミングがおくれていた。風を受けて左舷の船べりが海面と同じになる、波をかぶる、船は大きく傾いだ。その状態に輪をかけるように船上の者たちが左に寄せつけられる、積荷もよってくる、横転寸前までに傾いだ。
オキテスも左舷のへりに叩きつけられた。アミクスが大声をあげて何かをわめいていた。
『者ども右へよれっ!』『右へだ!』
目の色を変えての叱咤であった。危機の最中に何とか帆は降ろされていた。船は安定した航走姿勢を取り戻していた。
オキテスは大きなゆれから立ち上がった。
『おっ!アミクス!船の具合は?』
『何とか危機をしのげたようです』
『危なかった、全くだ。ご苦労、船内の整備に当たってくれ』
『判りました』
イリオネスがオキテスに声をかけてきた。
『おう、オキテス。ドキッとしたぜ、もう大丈夫か?』
『え~え、何とか危機をしのいだようです』
『そうか、安堵した。よろしく頼む』
『軍団長、あと、半刻くらいで停泊予定地に着きます』(この物語では、半刻は1時間くらいとしています)
『そうか、よし判った』
パリヌルスは、この情景を後方から見ていた。彼は回頭の前に降帆を指示していた。船団は回頭地点にさしかかった。全船に目をやり降帆を確認して、手信号で3隻の一斉回頭を指示した。
3隻は、揃って波を割り、回頭する。その様子は、右舷を少々沈め、傾げての回頭である。洋上における船の舞踊を見ている感があった。
パリヌルスは、頭のなかに敵と洋上で交わす決戦のイメージを描いていたのである。
『判りました!』
船は大きく傾いで回頭していく、降帆のタイミングがおくれていた。風を受けて左舷の船べりが海面と同じになる、波をかぶる、船は大きく傾いだ。その状態に輪をかけるように船上の者たちが左に寄せつけられる、積荷もよってくる、横転寸前までに傾いだ。
オキテスも左舷のへりに叩きつけられた。アミクスが大声をあげて何かをわめいていた。
『者ども右へよれっ!』『右へだ!』
目の色を変えての叱咤であった。危機の最中に何とか帆は降ろされていた。船は安定した航走姿勢を取り戻していた。
オキテスは大きなゆれから立ち上がった。
『おっ!アミクス!船の具合は?』
『何とか危機をしのげたようです』
『危なかった、全くだ。ご苦労、船内の整備に当たってくれ』
『判りました』
イリオネスがオキテスに声をかけてきた。
『おう、オキテス。ドキッとしたぜ、もう大丈夫か?』
『え~え、何とか危機をしのいだようです』
『そうか、安堵した。よろしく頼む』
『軍団長、あと、半刻くらいで停泊予定地に着きます』(この物語では、半刻は1時間くらいとしています)
『そうか、よし判った』
パリヌルスは、この情景を後方から見ていた。彼は回頭の前に降帆を指示していた。船団は回頭地点にさしかかった。全船に目をやり降帆を確認して、手信号で3隻の一斉回頭を指示した。
3隻は、揃って波を割り、回頭する。その様子は、右舷を少々沈め、傾げての回頭である。洋上における船の舞踊を見ている感があった。
パリヌルスは、頭のなかに敵と洋上で交わす決戦のイメージを描いていたのである。