アヱネアスら三人は、黙したままギアスのやっていることを見ていた。スダヌスとイリオネスは小声で話を交わしている。
ギアスがアヱネアスらにことわりを入れた。
『少しの間ですが、ヘルメスの走りを風に任せますので』
彼は漕ぎ座の一同に声をかけた。
『一同よく聞いてくれ!俺たちがこの航海の往路において、追い風に恵まれ、櫂を使うことが少なかった。気づかなかった俺もバカであったのだが、ヘルメスで使っている櫂は、舟艇で使っている櫂とは少々構造が違っている。そのことに気が付いた。これから説明する』
ギアスが一同と目を合わせる。漕ぎかたの者たちの目線が櫂を見つめた。
『いいな、櫂を見たか。違いに気が付くはずだ。櫂の握り方、使い方でヘルメスの走りが違ってくると考えられる。先ず握り方を点検する』
彼は、艇に積んでいる予備の櫂を手にして櫂の水掻き部分を指さした。
『君らも見てわかると思うが、この部分が工夫された構造になっている。従来の櫂に比べて水つかみがよくなるように工夫されている。その分、櫂漕ぎの時に水の抵抗感を少々大きく感じるが櫂操作の支点を考慮して軽く感じるようにしている。判るな!』
一同を見渡した。
『この水掻き部分の水に入る角度によって、この工夫を生かす櫂操作をしなければならない。そのための握りを点検する。今は、櫂を水からあげている、櫂の水掻き部分がこの角度になるように握るのだ。判ったら握ってみてくれ。俺が見る!』
『おう、君はそれでいい!』
『君はこの角度になるように握るのだ。いい角度で水に入るかやってみろ!』
『一同、これを見て、正しい握りをしているか。確かめろ!』
『おう、お前!それでいい!』『よっしゃ!』
彼は、丹念に漕ぎかたたち櫂の握りを点検した。
『さあ~、漕ぎを始める!俺の合図で一斉に漕ぎかた始めだ。準備はいいな!漕ぎかた始め!』
彼は手を打った。一斉に漕ぎかたが櫂操作を開始した。泡立つ海づら、風力走行に力が加わる、ヘルメスが加速する、櫂の水掻き効果が感じられる。漕ぎかた一同がギアスの手拍子に同調して漕ぐ、ヘルメスが快調に波を割った。
ギアスは櫂の改良効果を体感した。
ギアスがアヱネアスらにことわりを入れた。
『少しの間ですが、ヘルメスの走りを風に任せますので』
彼は漕ぎ座の一同に声をかけた。
『一同よく聞いてくれ!俺たちがこの航海の往路において、追い風に恵まれ、櫂を使うことが少なかった。気づかなかった俺もバカであったのだが、ヘルメスで使っている櫂は、舟艇で使っている櫂とは少々構造が違っている。そのことに気が付いた。これから説明する』
ギアスが一同と目を合わせる。漕ぎかたの者たちの目線が櫂を見つめた。
『いいな、櫂を見たか。違いに気が付くはずだ。櫂の握り方、使い方でヘルメスの走りが違ってくると考えられる。先ず握り方を点検する』
彼は、艇に積んでいる予備の櫂を手にして櫂の水掻き部分を指さした。
『君らも見てわかると思うが、この部分が工夫された構造になっている。従来の櫂に比べて水つかみがよくなるように工夫されている。その分、櫂漕ぎの時に水の抵抗感を少々大きく感じるが櫂操作の支点を考慮して軽く感じるようにしている。判るな!』
一同を見渡した。
『この水掻き部分の水に入る角度によって、この工夫を生かす櫂操作をしなければならない。そのための握りを点検する。今は、櫂を水からあげている、櫂の水掻き部分がこの角度になるように握るのだ。判ったら握ってみてくれ。俺が見る!』
『おう、君はそれでいい!』
『君はこの角度になるように握るのだ。いい角度で水に入るかやってみろ!』
『一同、これを見て、正しい握りをしているか。確かめろ!』
『おう、お前!それでいい!』『よっしゃ!』
彼は、丹念に漕ぎかたたち櫂の握りを点検した。
『さあ~、漕ぎを始める!俺の合図で一斉に漕ぎかた始めだ。準備はいいな!漕ぎかた始め!』
彼は手を打った。一斉に漕ぎかたが櫂操作を開始した。泡立つ海づら、風力走行に力が加わる、ヘルメスが加速する、櫂の水掻き効果が感じられる。漕ぎかた一同がギアスの手拍子に同調して漕ぐ、ヘルメスが快調に波を割った。
ギアスは櫂の改良効果を体感した。
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