『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章 築砦  1060

2017-06-23 06:58:31 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 軍船の点検と揚陸作業を終えたギアスら一同は、軍船を前にして隊列を整える、外敵との交戦に圧勝、そして、大過なくの帰着した感謝の意を礼として低頭する。
 『諸君らと四日間の航海を共にした。君ら全員が力を尽くして乗り切った航海であった。ご苦労であった。充分に身体を休めてくれ。なお、このあと浜において夕食会が催行される。全員出席のこと、これを伝えて解散する』
 『おうっ!』
 一同から返事が返る。
 ギアスは一同と握手を交わす、握り合う手のひらが感情を伝え合う、目頭が熱くなる、見つめ合う目が互いの気持ちを伝え合う、うなずき合う。
 握り合う手が熱い、櫂を握り、懸命に漕いだ手にはマメができている、ごつく硬い、沸々煮えたぎる感動が往き来する。彼らの感情が極まっていた。
 ギアスは、オキテス隊長に作業の終了を報告して役務を終えた。
 彼は、海上交戦において傷を負った二人を見舞う、二人の傷を見る、快方に向かっている、確かめて安堵する。
 浜では夕食会の準備が整いつつある、いつもながらの浜焼きスタイルの夕食会である。
 新艇の完売、納入完了、長途の航海、大過ない帰着の慰労、一族総参加の夕食会が催される。
 うまい肴に舌鼓を打ち、美酒を味わい、航海の話に花を咲かせて語り合う、彼ら一同が歓喜する夕べを過ごした。
  
 彼らの浜の朝が明ける、日常業が始まる。
 スダヌスは朝の第一便でキドニアに帰る。オキテスは、疲れもいとわずオロンテスと集散所へと向かう。
 『なあ~、オロンテス、お前、どう思っている?俺の想いだが新艇の完売、その終点が遠いと考えていたのだが、こうして終わってみると近かったと感じている』
 『そうだな、俺もお前の言うように、もっと時間と手間ヒマがかかると考えていた。案ずるより産むはたやすいのかなーーー』
 二人は艇上でうなずき合う。
 『もう、キドニアの船だまりか。今、思うとテムパキオは遠かったな。オロンテス、話すときが来ると思うが、パキオテ頭領のところの進水式だが、この身にとり肌がたつような進水式だった』
 『ほう、そうか。それは、聞きたい』
 キドニアの船だまりに着いて、オキテスはスダヌスを送っていく、オロンテスはパン売り場に向かう。
 『おう、スダヌス浜頭、このたびの航海でいろいろと世話になった、ありがとう、感謝感謝だ。朝の業務が落ち着いたらオロンテスとハニタスのところへ行く。浜頭も一緒に来るか?』
 『おう、そうする!呼びに来てくれ。昼めしは、ハニタスもよんでやるとしないか?』
 『おう、それはいい!パンは俺が持ってくる。つまむ肴はお前に任せる』
 『おう、承知!』
 オキテスは、パン売り場でオロンテスと話し込んでいる、スダヌスが疲れなどどこ吹く風といった元気な姿を見せる。