『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1364

2018-09-06 07:33:46 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、ダックス、ごくろう!パリヌルス隊長の要請だが、完成している戦闘艇2艇の試走をやってほしい』
 オキテスがパリヌルスの要請をダックスに伝える。
 『解りました』
 ダックスがパリヌルスと顔を合わせる。
 『パリヌルス隊長、完成戦闘艇の試走ですね。了解しました。早速、準備に取りかかります』
 パリヌルスとダックスら一同が完成した戦闘艇が陸揚げされている所へと向かう。
 二人は波打ち際に立つ、海に目を移す、試走条件を確かめる、想定コースの沖を見つめる、風が西から来ている、海上に白兎が飛ぶ状況を見る。
 『パリヌルス隊長、いい条件だと考えられます』
 『準備ができたようだ。ダックス、行くぞ!』
 試走する戦闘艇が波を割り始める、パリヌルスは舵座に張り付く、操舵担当のカイクスの操舵と操舵効果の体感に神経をとがらせる、艇の航走状態のチエックについてはダックスに一任する。
 艇が小島の南端を過ぎる、西風を受けて北進する、パリヌルスがカイクスの操舵とその効果をチエックする、改造ヘルメス艇の走行、操舵効果が酷似している。
 彼は言葉にはせず、その状態にうなずく。
 『カイクス、東進への方向転換から俺が操舵する。直前で交替する。いいな』
 『解りました』
 艇は、西風を受けて小島の西を北上する、漕ぎかたの懸命の漕ぎ、カイクスの操舵、航走状態を体感する。
 方向転換点に近づく、操舵を交替する、操舵棒を握るパリヌルス。
 ダックスの指示が飛ぶ、艇が帆張り、東に向けて波を割る。パリヌルスが緩急をつけて、大きくジグザグ走行操舵をする、その効果を試す、結果を感受する、操舵感覚が予想していた通りに体に伝わってくる。
 舳先の波割り抵抗、艇尾の振れ具合を研ぎすませた神経に感じとる、声が自然に喉を突いて出る。
 『なるほど』次いで『この切れ具合、操舵効果、方向転換時の艇の状態、この状態こそ、走行に、方向転換に妥当なのだ!納得!』とうなずく。
 彼は一連の作業を終えて、舵の操作をカイクスと替わる。
 ダックスに声をかける。
 『ダックス、試作戦闘艇に比べて、この戦闘艇の走りはどうだ?』
 『はい。新しいだけに海との親和性が固く感じます』
 『ほう、船が新しい、海との親和性?なるほどな。そんなことも考えられるか』
 『船が新品である特徴です。これがなければ中古船になってしまいます』
 『解った。理解した。操船してみてどうだ?この艇に不具合があるかな』
 『はい、全く不具合はありません、全て万全です。注文主への引き渡しに一点の不備もありません』
 『ありがとう。もう、1艇のほうも試走を行う』
 『解りました』
 一行は浜に帰り着く、試走を終えた艇を点検整備して陸に揚げる。
 次に試走する戦闘艇を海に浮かべた。