『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1409

2018-11-08 06:33:03 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスがレフカオリ山(2452m)の山頂を振り返る、山からおろしてくる風は微風である、凪いでいる静かな海をキドニアへと進んでいく。
 オキテスは、朝、浜で交わしたアエネアスの言葉を想い起している。
 『お前らがやる結果が見える、信じている。俺が待つのは、お前らが無事に帰ってくる姿だ!それ以外にない!行って来い!』
 民族の長たるアエネアスの人を思いやる心情を繰り返し思い起こす、そのような心境でありながら、頭中の思考は、ネクストステップに移っている。
 『この期に及んで思案はしなくともいい。思うところを為すのだ。いいな!』と自分自身を叱咤する。
 視界にキドニアの船だまりが見えてきている、オロンテスがオキテスの到着を岸壁上で待っている姿を見とめる。。
 『おう、オロンテス、待っていてくれたのか。キドニアにおいての仕事だが、まず、集散所の用件を済ませる。それを終えて、スダヌス、キドニス両浜頭と話し合う。昼前には終わる』
 『解った』
 『それが終わったら、レテムノンに向かう。今夜はレテムノンに停泊して、テムノス浜頭と話し合う』
 『了解!』
 オロンテスがオキテスの行動予定を承知する。二人は、集散所の詰め所に向けて歩き出す。  
 詰め所は多忙の時である、担当のトミタスがオキテスら二人の来訪に気がつく、二人を迎えるハニタス。
 『ハニタス殿、おはようございます』
 『はい!、オキテス殿、オロンテス殿、おはようございます。今朝は早いですな』
 四人が顔を合わせる。
 『事前打ち合わせに出発される朝ですな。この季節、ときならぬ海の荒れに気を付けて行ってきてください。帰られて状況を聴かせていただければ幸いです』
 『10月1日からの売り出しに幸先のいい話を持ち返りたいと思っています』
 『朗報を待っています』
 『新しい販促のツールを持参しました。役立てていただければ幸いです』
 『解りました。引き合いの発掘に最適のツールだと考えています。活用します。あ~あ、それから、マリアの集散所によろしく伝えてください。売り出し関係の事項は私の方から伝えてはいますが』
 ハニタス担当との打ち合わせが終わる。
 オキテスはスダヌスのところに向かうとする、オロンテスはパン売り場へと向かおうとしている、オキテスが引き止める。
 『おう、オロンテス、これから、スダヌス、キドニスの両浜頭と会って、俺らがやる営業の業務に力を借りる話をつめておく』
 『了解した』
 『それを終えたら、俺はレテムノンに向かう』
 『おう、了解した。安全航海を第一にして行ってきてくれ』
 『おうっ!』
 オロンテスは、オキテスの無事帰還を祈って背中を見送った。



 *お詫びいたします。11月6日の投稿で掲載番号を間違えました。
 1406  を  1407  と訂正いたします。
                          山田秀雄