『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1410

2018-11-09 13:02:02 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 


























 
 













































 
 オキテスがスダヌスの売り場に着く、朝の挨拶を交わす。
 スダヌスは身支度を整えて待っている。
 同道してキドニス浜頭の屋敷へおもむく。
 オキテスはやや緊張している。
 『オキテス、そのような緊張はすてろ!』
 『俺の立場では、緊張はやむを得ん!お前と俺が話しするようなわけにはいかん』
 キドニス浜頭の屋敷に着く。
 キドニス浜頭は、二人を快く迎えてくれる、三人は話し合いのテーブルに就く。
 オキテスはキドニス浜頭に手みやげとして持参した堅パンののケースを渡し来意を告げる。
 船舶の建造事情を話す、集散所暦の10月1日よりスタートする船舶の売り出しについて話をする。
 売り出しの販促用に作成した販促ツールを手渡す、手にとって見入るキドニス浜頭、スダヌスにも手渡す、スダヌスも見入る。
 『ホッホウ、これはこれは!』と言って、キドニス浜頭が船談義を語る。
 『オキテス殿、この木板だが船の話が相手に伝わりやすい。結果に結びつくか、結びつかないかは、いま、ここでは答えられない。スダヌス浜頭とも話し合い、船について聞かれたら私なりの協力を約束する。それでいいかな?』
 『結構です。いい返事をいただいてありがとうございます』
 『おう、なんの、なんの!』
 三人の話し合いが終わる、オキテスは丁重な言葉で話を結ぶ。
 二人は、キドニス浜頭の屋敷を辞する。
 スダヌスがオキテスに話しかける。
 『おう、オキテス、話が落ち着くべきところに落ち着いたな。キドニス浜頭との話、重畳と言わねばなるまい』
 『スダヌス、ありがとう。俺もお前が言うように受け取っている。これで安心して事前打ち合わせの旅に行ける。礼を言う』
 『これでマリアに向けて出港するのか。道中の安全を祈る、幸先のいい結果を期待している』
 『ではな、行ってくる!』
 『おう、うまい肴をとりそろえて、お前の帰りを待っている』
 二人は手を固く握り合う。
 オキテスは、船だまりの岸壁へと歩み始める。岸壁に着く、薄雲を通して光をふりおろす太陽を見あげる、漕ぎかと一同に声をかける。
 『おう、昼めしは洋上で食べる、いいな。直ちに出航する。ダックス、出航だ!』
 『了解しました!いい西風が来ています』
 『そうか、それは願ってもいない、いい兆候と言えるな』
 艇が船だまりの岸壁を離れる、外洋に出る、ダックスが帆張りを指示する。
 風をはらむ全帆、洋上には白うさぎの飛び跳ねを見る、艇は、ほどいい船速で波を割り始める、しぶきが艇上の漕ぎかたらの顔を洗う。
 艇は、レテムノンに向けて、我が意を得たと航走した。