三人の昼食が終わる、アエネアスにぺリオスの館を辞去する時がおとずれる。
ぺリオスがアエネアスに声をかける、避けることのできない時の訪れである。
三人が立ちあがる。
『アエネアス!別れの時か。引き止められない。別れか、悲しい、情があふれる』
アンドロマケがアエネアスの肩を抱く、二人は、互いを抱く、強く抱擁する、アンドロマケの目に涙があふれている、こぶしを握る、アエネアスのぶあつい胸を打ちたたいてつぶやく。
『こんな時がこなければいいのにーーー』
アンドロマケがつきあげてくる慟哭にむせぶ、情景に見入るぺリオス、彼は、会った時すでにこの時の来たるを予期していたのである。
三人は、門前に立つ、別れの言葉を交わす。
『アエネアス、出航の時が来たれば連絡を頼む。ここ二、三日は、館にいるか、港湾の幕舎に詰めている』
二人が目線を交わす、胸に感情がこみあげてくる、肩を抱き合う、肩に手をかけたまま言葉を交わす。
『うちの者が君を浜まで送る。車上のものは、俺からの心づくしだ受け取ってくれ。この大釜は『ドード―ナの大釜』というものだ。まかない作りに使う大釜ではない、天上の神に見えざる手を借りたいときに叩き打ち鳴らして知らせる時に使う大釜だ。お前の危難を救うと心得よ!めったやたらに助けを乞うことはならんと心せよ。また、釜の中の銀塊は、俺からの餞別だ、納めてくれ。お前には本当に世話になった厚く礼を言う、ありがとう。君と船団の者らが力を合わせての成功を祈ってやまない、加えて、航海の無事を祈る』
『おう、俺もお前の行く末の幸せを祈ってやまない。アンドロマケの幸せもあわせて祈る、尚、腹中の未来を大切に育てよ!お前と俺、生涯において会いまみえることはかなわないと考えている。今生の別れだ、くれぐれも達者でな。俺は行く!』
アエネアスは、想いを断ち切る、きびすを返す、ぺリオスの館をあとにする、車引くぺリオス配下の者と連れ立って停留の浜へと歩を運び始める。
ぺリオスの館の門前に漂う、惜別のクラウドを振り返り見た。
歩きはじめて程なく停留の浜に着く、浜にいる者らが帰ってきた統領を迎える。
アエネアスにとって情報収集に明け暮れた三日間は長かった。
軍団長をはじめ一同に迎えられて、一瞬にして己のスタンスにたち戻る。
『おう、軍団長、戻った、船団の状況はどんな具合だ?』
『はい、状況は、順調な仕上がりに作業がはかどっています。只今、オロンテスの四番船に荷の積み込みの真っ最中です』
『ほう、そうか、重畳!安心していいな?』
『はい、安心してください。全般の作業が終わり次第、各船の責任者を招集します』
『解った。ぺリオス領主から身に余る選別をもらってきた。受け取ってくれ。車を引いてきてくれた彼らを充分にねぎらってくれ』
『了解しました』
イリオネスは、アエネアスが餞別としてもらってきた品々に目を通す。
『すごくでっかい釜ですな。何かいわれがある釜ですかな?』
アエネアスを迎えた者らの手を借りて荷を受け取る。
イリオネスは、車を引いてきてくれたぺリオス方の者らをねぎらった。
ぺリオスがアエネアスに声をかける、避けることのできない時の訪れである。
三人が立ちあがる。
『アエネアス!別れの時か。引き止められない。別れか、悲しい、情があふれる』
アンドロマケがアエネアスの肩を抱く、二人は、互いを抱く、強く抱擁する、アンドロマケの目に涙があふれている、こぶしを握る、アエネアスのぶあつい胸を打ちたたいてつぶやく。
『こんな時がこなければいいのにーーー』
アンドロマケがつきあげてくる慟哭にむせぶ、情景に見入るぺリオス、彼は、会った時すでにこの時の来たるを予期していたのである。
三人は、門前に立つ、別れの言葉を交わす。
『アエネアス、出航の時が来たれば連絡を頼む。ここ二、三日は、館にいるか、港湾の幕舎に詰めている』
二人が目線を交わす、胸に感情がこみあげてくる、肩を抱き合う、肩に手をかけたまま言葉を交わす。
『うちの者が君を浜まで送る。車上のものは、俺からの心づくしだ受け取ってくれ。この大釜は『ドード―ナの大釜』というものだ。まかない作りに使う大釜ではない、天上の神に見えざる手を借りたいときに叩き打ち鳴らして知らせる時に使う大釜だ。お前の危難を救うと心得よ!めったやたらに助けを乞うことはならんと心せよ。また、釜の中の銀塊は、俺からの餞別だ、納めてくれ。お前には本当に世話になった厚く礼を言う、ありがとう。君と船団の者らが力を合わせての成功を祈ってやまない、加えて、航海の無事を祈る』
『おう、俺もお前の行く末の幸せを祈ってやまない。アンドロマケの幸せもあわせて祈る、尚、腹中の未来を大切に育てよ!お前と俺、生涯において会いまみえることはかなわないと考えている。今生の別れだ、くれぐれも達者でな。俺は行く!』
アエネアスは、想いを断ち切る、きびすを返す、ぺリオスの館をあとにする、車引くぺリオス配下の者と連れ立って停留の浜へと歩を運び始める。
ぺリオスの館の門前に漂う、惜別のクラウドを振り返り見た。
歩きはじめて程なく停留の浜に着く、浜にいる者らが帰ってきた統領を迎える。
アエネアスにとって情報収集に明け暮れた三日間は長かった。
軍団長をはじめ一同に迎えられて、一瞬にして己のスタンスにたち戻る。
『おう、軍団長、戻った、船団の状況はどんな具合だ?』
『はい、状況は、順調な仕上がりに作業がはかどっています。只今、オロンテスの四番船に荷の積み込みの真っ最中です』
『ほう、そうか、重畳!安心していいな?』
『はい、安心してください。全般の作業が終わり次第、各船の責任者を招集します』
『解った。ぺリオス領主から身に余る選別をもらってきた。受け取ってくれ。車を引いてきてくれた彼らを充分にねぎらってくれ』
『了解しました』
イリオネスは、アエネアスが餞別としてもらってきた品々に目を通す。
『すごくでっかい釜ですな。何かいわれがある釜ですかな?』
アエネアスを迎えた者らの手を借りて荷を受け取る。
イリオネスは、車を引いてきてくれたぺリオス方の者らをねぎらった。
