パリヌルスから狭い浜の実情を聞いたイリオネスが漕ぎかたらに指示をする、四番船の右舷に船を横づける、オロンテスに声をかける。
『おう、オロンテス!聞きたい。食糧の準備状況と飲料水の件だ、どうなっている?』
『はい、パンの準備は、向こう2日分は準備しています。飲料水もそれに準じて用意しています』
『了解、解った!』
イリオネスはふたたび漕ぎかたらに指示をする。
統領が座乗している二番船に横づける。
イリオネスは、状況を統領に告げ、対処かたを話し合う。
『おう、軍団長!事情はよく理解した。これを我が航海の定めと受けとめる。この入江の浜で西への風を待つ、状況をふまえて、安全第一につとめて上陸せよ!そして、風を待つ!以上だ』
イリオネスは、統領と話し終えて、かたわらにいるオキテスに声をかける。
オキテスに浜の状況を伝える、安全第一につとめ上陸せよと指示を伝える。
『オキテス、解ったな!三番船にこの指示を伝えてくれ。なお、四番船にこの旨を伝えるよう指示をしてくれ』
『解りました』
イリオネスが狭い入江の浜への上陸要領を伝え終える。
一番船が浜へ船首をつける、それにならって二番船が浜に船首をつける、三番船、四番船がそれにならう、船団の者ら一同が浜に上陸する、夕食を終える、今日を終える、疲れた四肢をいたわり眠りについた。
両側を断崖に囲まれた入江は広くはない、広い海洋を旅する者にとって小さな入江としか目にうつらない。
入り江口が2分の1スタジオン(100メートル弱)、浜までの奥行きが3分の2スタジオン(約130メートル)くらい、浜といえば崖が両側に迫り、船を寄せる浜の幅が8分の1スタジオン(30メートル弱)と狭い。
船団は、この狭い入江の浜に停留して宿営を営んだのである。
期待する風の訪れがない、この浜で二日二晩を過ごす。
二日目である、オロンテスの動物的な勘はたらきがパン焼きを促す、船団の者らを総動員して、パン焼きかまどを浜に設けてパン焼き作業をする、都合三日分のパンを焼きあげる。
『なあ~、パリヌルス、不思議だ。勘の虫が俺にパンを焼けとかりたてる。わけが解らんがパンを焼いたということだ。まあ~それだけのことだ』
『そうか、そういうことか』
『断崖をつたって流れる水も飲料水として集めた。いつ何時、出航のチャンスが来ても大丈夫だ』
パリヌルスは、オロンテスの話を聞いて、何とはなしに首をかしげてその場を去る。
船団の者らが夕食を終えて寝につく、パリヌルスの眠りは深くはならない、少々もどかしい、目を閉じる、まどろむ。
夜半に到る、断崖にまばらに生えている樹々のざわめきに目を覚ます。
風が来ている、月明かりがない、星も見えない、暗い、『空に雲か』とつぶやく。
断崖の上の空を闇をすかして見あげる、木々がゆれている、小枝が入江の入口に向けてなびいている。
西に向けて風が来ている、彼は暁天を待ちわびた。
『おう、オロンテス!聞きたい。食糧の準備状況と飲料水の件だ、どうなっている?』
『はい、パンの準備は、向こう2日分は準備しています。飲料水もそれに準じて用意しています』
『了解、解った!』
イリオネスはふたたび漕ぎかたらに指示をする。
統領が座乗している二番船に横づける。
イリオネスは、状況を統領に告げ、対処かたを話し合う。
『おう、軍団長!事情はよく理解した。これを我が航海の定めと受けとめる。この入江の浜で西への風を待つ、状況をふまえて、安全第一につとめて上陸せよ!そして、風を待つ!以上だ』
イリオネスは、統領と話し終えて、かたわらにいるオキテスに声をかける。
オキテスに浜の状況を伝える、安全第一につとめ上陸せよと指示を伝える。
『オキテス、解ったな!三番船にこの指示を伝えてくれ。なお、四番船にこの旨を伝えるよう指示をしてくれ』
『解りました』
イリオネスが狭い入江の浜への上陸要領を伝え終える。
一番船が浜へ船首をつける、それにならって二番船が浜に船首をつける、三番船、四番船がそれにならう、船団の者ら一同が浜に上陸する、夕食を終える、今日を終える、疲れた四肢をいたわり眠りについた。
両側を断崖に囲まれた入江は広くはない、広い海洋を旅する者にとって小さな入江としか目にうつらない。
入り江口が2分の1スタジオン(100メートル弱)、浜までの奥行きが3分の2スタジオン(約130メートル)くらい、浜といえば崖が両側に迫り、船を寄せる浜の幅が8分の1スタジオン(30メートル弱)と狭い。
船団は、この狭い入江の浜に停留して宿営を営んだのである。
期待する風の訪れがない、この浜で二日二晩を過ごす。
二日目である、オロンテスの動物的な勘はたらきがパン焼きを促す、船団の者らを総動員して、パン焼きかまどを浜に設けてパン焼き作業をする、都合三日分のパンを焼きあげる。
『なあ~、パリヌルス、不思議だ。勘の虫が俺にパンを焼けとかりたてる。わけが解らんがパンを焼いたということだ。まあ~それだけのことだ』
『そうか、そういうことか』
『断崖をつたって流れる水も飲料水として集めた。いつ何時、出航のチャンスが来ても大丈夫だ』
パリヌルスは、オロンテスの話を聞いて、何とはなしに首をかしげてその場を去る。
船団の者らが夕食を終えて寝につく、パリヌルスの眠りは深くはならない、少々もどかしい、目を閉じる、まどろむ。
夜半に到る、断崖にまばらに生えている樹々のざわめきに目を覚ます。
風が来ている、月明かりがない、星も見えない、暗い、『空に雲か』とつぶやく。
断崖の上の空を闇をすかして見あげる、木々がゆれている、小枝が入江の入口に向けてなびいている。
西に向けて風が来ている、彼は暁天を待ちわびた。