『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第11章  権謀術数  40

2008-05-02 08:06:23 | アルツハイマー型認知症と闘おう
 軍団が引き揚げたあと、自軍の将兵のいなくなったスカイア門辺りの城壁の下に二人の男がいた。オデッセウスとデオメデスである。彼等は、今日の激戦で倒れた戦死者中に自分たちも戦死者を装って、夜の更けるのを待った。二人にとって、待つことこそ闘いであった。長い宵闇も真っ暗闇の夜と変わっていく、今宵は月はない、忍び込みに、もってこいの条件であった。夜は深くなった。(今様時間にして夜の10時ごろと思ってください。)二人は周囲に気を配って、むっくりと起き上がった。オデッセウスは、石垣の低いところを知っていた。二人は、その地点より城市内に潜入した。パラデオンの神殿に急いだ。
 難なく神殿に忍び入った。ヘレンは、神殿の女官に眠り薬の入った蜂蜜を飲ませ、眠らせ、二人の来るのを待っていた。パラスアテナの神像は三体あり、そのうちの一体だけが本物である。ヘレンは、それを知っていたのである。ヘレンなくして、この作戦の成功は有り得なかったのである。
 オデッセウスとデオメデスは、神像の盗掠に成功した。トロイ市民の民意を削いで、萎えさせ、動揺を与えて、市民感情を奈落の底に突き落とす。彼等は、もうトロイの明日はなくなると思い、民意は萎えるであろうと予想していたのである。


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