アキレスの考えは、ヘクトルに奪われた鎧と兜、敵に奪われた楯のことであった。あの鎧の欠点は、えりの構造にあった。のど部分が露出するのである。楯にも、通常よりも堅剛さを望んでいた。そうこう考えている間に、へパトスの工房に着いた。アキレスは、工房の入口に立った。
工房では、10人余りの職工が汗をうかべて仕事に励んでいる、その中から、頭領と思われる男が、アキレスを認めて、入口の方へ歩んでくる、歩き方が少々ぎこちない。アキレスの方から、その男に言葉をかけた。
『やあ~、へパトスではないか。いつ、ここへ来た。』 アキレスは、親しい仕ぐさでへパトスの肩を抱いた。
『あ~、アキレス様では、如何がなされた。そのようなさみしい風情のアキレス様にお会いするのは初めてです。私は、このトロイの戦場には、10日前くらいに着きました。まあまあ、おくつろぎ下さい。』
『へパトス。俺の大切な友パトロクロスが逝った。まだ聞いていないのか。彼が、俺の軍装で戦場に出て、ヘクトルにやられた。ヘクトルに俺の鎧、兜が奪われた。明日から、友の敵討ちに戦場に出向く。鎧、兜、楯がいる。無理を承知で頼むのだが、明朝までに造って欲しい。頼みたい。引き受けてくれ。頼む。』
『判りました。やりましょう。お引き受けいたします。』 へパトスは、二つ返事で、これを引き受けた。
工房では、10人余りの職工が汗をうかべて仕事に励んでいる、その中から、頭領と思われる男が、アキレスを認めて、入口の方へ歩んでくる、歩き方が少々ぎこちない。アキレスの方から、その男に言葉をかけた。
『やあ~、へパトスではないか。いつ、ここへ来た。』 アキレスは、親しい仕ぐさでへパトスの肩を抱いた。
『あ~、アキレス様では、如何がなされた。そのようなさみしい風情のアキレス様にお会いするのは初めてです。私は、このトロイの戦場には、10日前くらいに着きました。まあまあ、おくつろぎ下さい。』
『へパトス。俺の大切な友パトロクロスが逝った。まだ聞いていないのか。彼が、俺の軍装で戦場に出て、ヘクトルにやられた。ヘクトルに俺の鎧、兜が奪われた。明日から、友の敵討ちに戦場に出向く。鎧、兜、楯がいる。無理を承知で頼むのだが、明朝までに造って欲しい。頼みたい。引き受けてくれ。頼む。』
『判りました。やりましょう。お引き受けいたします。』 へパトスは、二つ返事で、これを引き受けた。