2014年6月20日(金)
監督:木村大作
出演:松山ケンイチ、蒼井優、檀ふみ、豊川悦司
0点。
これは辛い。最後まで観ていられなかった(途中で退席させて頂きました。)。従って採点不能。
お世辞にも達筆とは言い難い(←穏当な表現)手書き文字の縦書きオープニングテロップからして40年前のセンスだ。
黒澤映画のリバイバル上映館にでも迷い込んだのか、と一瞬不安に駆られた私(しかも数10分後に黒澤映画の1/4のクオリティもない内容であることに気づき不安は憤懣に変わる。)。
どうにか観られるのは山岳シーンだけ。(美しい、というだけだが。幻想的な自然の神秘という意味では先日レビューを書いた「WOOD JOB」の森林シーンの方が私の中では遙かに上である。)
とにかく脚本が陳腐。
これだけの俳優陣を揃えていながら観るべきシーンは皆無(途中で出てきてしまったので後半いいシーンがあったのかもしれない。だとしたら関係者のみなさん、スイマセン。)。
脚本が陳腐な上に演出が下手くそなので役者の台詞が悉く上滑りしている。聞いてるこちらが切なくなるほどだ。
蒼井優さんはいい役者さんなのに、スクリーンの彼女は甲高いキンキン声ばかりが気に障る女だ。
松山ケンイチさんは大河ドラマ「平清盛」以来初めて拝見したが、相変わらず演技が・・・。いや、これは松山ケンイチさんの演技力の問題というより監督の演出力の問題だと信じたい。この作品で松山ケンイチさんを評価するのは可哀想すぎる。
「俳優」として何とか観られるのは檀さんと豊川さんくらいだが、演出が・・・(ごにょごにょごにょ)・・・なのでお二人のよさも半減(かそれ以下)。
(半分しか観ていないが)全編通してスクリーンから「これでもか」と押しつけてくる「善なる心」が鬱陶しくて鬱陶しくて仕方ない。
はい。私、性根が拗くれ曲がってますから。
以前にも書いたが、映画にしろ演劇にしろ小説にしろ、エンターテインメントという創造行為には悪魔の力というか「闇のスパイス」が必要不可欠である。
「善人の、善人による、善人のための映画」はDisneyに任せておけば宜しい。
(というか、Disney映画だって最近は程良い「闇のスパイス」を散りばめた佳作を作ってるぞ。)
監督の木村大作さんは黒澤映画ファンなら知る人ぞ知る名カメラマンである。「用心棒」(の画面)なんか、何度繰りかえし観ても身震いする。
しかし、名カメラマンではあるが名監督ではない。
本駄作の責任は、安易に「黒澤が評価した名カメラマン木村大作」にメガホンを取らせた製作会社とマスコミにあると思うぞ。
似たような映画(名カメラマンだから監督させてもいい作品作るんじゃないかと期待先行でメガホン持たせたら、とんでもない駄作になった映画)というのは洋の東西を問わない。
最近では「トランセンデンス」がその例。近日中にレビューをアップするけど、
「トランセンデンス」も私は映画館の椅子で仰け反りまくったぞ。つまらなすぎて。