21回目。文京区。
今回はお盆なのでお墓を巡ってみた。
夏目漱石の「坊っちゃん」を初めて読んだのはたしか小学5年の時だった。
軽快で流れるような文章。
爽快なまでに単純で真っ直ぐな主人公。
分かりやすい勧善懲悪のストーリー。
世の中にはこんなに面白い小説があるのか、と仰け反るほど感動した。
随所にユーモアが散りばめられ、一気にラストまで読み進められる名作だが、最後の一文で涙が止まらなくなる。
そう。あの井上ひさしさんが「日本文学史を通して、もっとも美しくもっとも効果的な接続語」(「自家製文章読本」より)と評した「だから」に続く一文。
「だから清の墓は小日向の養源寺にある。」
である。
実際の養源寺は小日向ではなく千駄木にある臨済宗妙心寺派のお寺(ちなみに我が家も臨済宗妙心寺派)。
絶対、裏路地にしか見えない(←ばちあたり?)参道を抜けると養源寺。
境内の自販機まで渋い↓
本堂裏の墓所に続く道の脇には江戸時代の石仏群が↓
その先に、あの清の墓↓
清のモデルは漱石に文学の道に進むよう助言した米山保三郎氏の祖母だと言われている。
なので、現実の清さんのお墓は米山家の墓である。
これ↓
横の墓誌は米山保三郎氏のものだ。
米山保三郎氏の号は「天然」。
そう。「吾輩は猫である」に出てくる「天然居士」のモデルは他ならぬ米山保三郎氏だ。
ちなみに、坊っちゃんのラストで清はこう言った。
「坊っちゃん後生だから清が死んだら、坊っちゃんのお寺へ埋めてください。お墓の中で坊っちゃんが来るのを楽しみに待っております」
坊っちゃんのモデルは漱石自身だから、臨終に際して清が入りたがったのは「坊っちゃんの家(=夏目家)の墓」ではなく、「坊っちゃん(=夏目家)のお寺」(の墓)である。
というわけで、当時、夏目家の墓があったお寺にも行ってみましょう。
養源寺からは直線で2.5kmほどの距離である。
東大赤門前を通って、
後楽園の横を抜け、
牛天神下を右に折れた先にある浄土真宗の本法寺。
そして、本法寺があるのは文京区「小日向」!
本法寺の境内には漱石の句碑
「梅の花 不肖なれども 梅の花」
もある。
本法寺境内の墓所を探してみたけど、残念、夏目家のお墓は見つからなかった(漱石自身の墓は雑司ヶ谷霊園にある)。
最後に養源寺で見つけた、スーパープリチーなお地蔵様(?)をどうぞ↓
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
子供の頃から文京区に住んでるのに養源寺には一度も行った事が無かったです^ ^
今度行ってみようかな^ ^