パレードのあと、同級生は事務所に戻りました。明日のセレモニーに備えるためのブースの後片付けと帰陣式の参加のためでした。
帰陣式が終わると事務所の雰囲気は、一部緊張感を残しながらも全体としては安堵の空気に包まれ支援者の顔には笑顔がありました。
事務所の奥には間仕切りがありその向こう側がスタッフや支援者の食事や休憩場所となっていました。さらに壁を挟んだその奥は建物全体の倉庫で臨時の炊出し場所として使用されていました。入口はシャッター式でしたが、そこはいつも開かれた状態で寒風が吹き込む中、候補のお母さんをはじめとるする炊出しの女性ボランティアスタッフの方がいつも忙しなく働いていました。
我々同級生の多くは、選挙戦の期間中は極力そこで食事は頂かなかったのですが、その日の夜は炊出しの年配女性の労いのこもった強い勧めで食事を摂ることにしました。その日の夕食は勝利にちなんだトンカツで温かい汁物も振るまって頂きました。我々同級生は心のこもった食事をありがたく頂きながら今日までの戦いぶりを賑やかに振り返っていたのでした。
大きいテーブルを囲んだその中に選挙長の松村先生もいました。松村先生は、現状はまだ厳しくそのことを野球の試合に例えて我々に話してくれました。最終回まで来たけど現状は1-1の同点、これからが最後の勝負時、終わってみれば5-1になってる試合をやろうじゃないか。そのようなことを語ってくれました。一方、そのときK団長は食事も摂らず後片付けに専念していました。また、後輩諸君の何人かは夜の活動に向けて繁華街に戻っていきました。パレードに参加していた多くの後輩諸君も繁華街に残って最後の活動をしていると聞いていました。
食事が終わり安堵の表情でいると、ブースの影から厳しい表情で我々を見つめるK団長の姿がありました。
「ヤバっ、雷が落ちるぞ」
案の定でした。K団長は一堂をブースに呼ぶと、まだ我々には出来ることがあるのではないか、同級生に最後のお願いだってできるし、知人友人にだって電話ができる、トニカク、投票箱が閉まるそのときまで、やれることは全部やろう、そのような檄を我々に飛ばしたのでした。そして、K団長は自分の頭をカリカリと掻いたのでした。こうやって毛が抜けていくんだろうなぁと思いましたが、あるとき、K団長が言ったことも思い出していました。
「ニシ、オレ、できることは全てやりたいんよ、負けて悔いが残ることだけは絶対にしたくないし、マジで負けたくないとたい」
同級生に対する檄は言いにくかったことと思います。しかし、K団長にとっては、言わなかったことで後悔したくない気持ちと「言えない」自分に負けたくないという二つの思いがあったのだと感じました。ですので、K団長の檄に関しボクはあんがい平気で聞くことができたのでした。そして、正面でションボリとなっていたS藤さんを笑わせようと自分の鼻をプクプク広げて見せたのでした。
続く、、、
帰陣式が終わると事務所の雰囲気は、一部緊張感を残しながらも全体としては安堵の空気に包まれ支援者の顔には笑顔がありました。
事務所の奥には間仕切りがありその向こう側がスタッフや支援者の食事や休憩場所となっていました。さらに壁を挟んだその奥は建物全体の倉庫で臨時の炊出し場所として使用されていました。入口はシャッター式でしたが、そこはいつも開かれた状態で寒風が吹き込む中、候補のお母さんをはじめとるする炊出しの女性ボランティアスタッフの方がいつも忙しなく働いていました。
我々同級生の多くは、選挙戦の期間中は極力そこで食事は頂かなかったのですが、その日の夜は炊出しの年配女性の労いのこもった強い勧めで食事を摂ることにしました。その日の夕食は勝利にちなんだトンカツで温かい汁物も振るまって頂きました。我々同級生は心のこもった食事をありがたく頂きながら今日までの戦いぶりを賑やかに振り返っていたのでした。
大きいテーブルを囲んだその中に選挙長の松村先生もいました。松村先生は、現状はまだ厳しくそのことを野球の試合に例えて我々に話してくれました。最終回まで来たけど現状は1-1の同点、これからが最後の勝負時、終わってみれば5-1になってる試合をやろうじゃないか。そのようなことを語ってくれました。一方、そのときK団長は食事も摂らず後片付けに専念していました。また、後輩諸君の何人かは夜の活動に向けて繁華街に戻っていきました。パレードに参加していた多くの後輩諸君も繁華街に残って最後の活動をしていると聞いていました。
食事が終わり安堵の表情でいると、ブースの影から厳しい表情で我々を見つめるK団長の姿がありました。
「ヤバっ、雷が落ちるぞ」
案の定でした。K団長は一堂をブースに呼ぶと、まだ我々には出来ることがあるのではないか、同級生に最後のお願いだってできるし、知人友人にだって電話ができる、トニカク、投票箱が閉まるそのときまで、やれることは全部やろう、そのような檄を我々に飛ばしたのでした。そして、K団長は自分の頭をカリカリと掻いたのでした。こうやって毛が抜けていくんだろうなぁと思いましたが、あるとき、K団長が言ったことも思い出していました。
「ニシ、オレ、できることは全てやりたいんよ、負けて悔いが残ることだけは絶対にしたくないし、マジで負けたくないとたい」
同級生に対する檄は言いにくかったことと思います。しかし、K団長にとっては、言わなかったことで後悔したくない気持ちと「言えない」自分に負けたくないという二つの思いがあったのだと感じました。ですので、K団長の檄に関しボクはあんがい平気で聞くことができたのでした。そして、正面でションボリとなっていたS藤さんを笑わせようと自分の鼻をプクプク広げて見せたのでした。
続く、、、