◆考古学 溶鉱炉雑感
◆季節風と溶鉱炉
中国では夏王朝に変わって殷「商」王朝が
台頭した。その原因とは一体何であろうか?
一説に殷王朝は当時の戦車「馬車」に用いる
銅製の車軸を作成し、単なる騎馬戦ではなく
銅製車軸の採用により騎馬で長躯遠征できる
システムを形成利用し中国の中央に進出した
騎馬民族であろうかと指摘する歴史研究家も
存在する。上記のイラストは焚口を持つ煙道
付き炉跡のものであるが、遊牧民は北風が強
く吹き抜ける遊牧に適した季節風の強い草原
に居住していたと思われる。草原の冬の季節
風を煙道と焚口へと長く継続集中して吹き付
ける事に成功すればそれは異常な高温が発生
し銅器や鉄器の原材料の金属類を精製可能な
溶鉱炉へ進化できる蓋然的可能性があるのだ。
殷王朝を滅ぼした周王朝も遊牧民も元来は西
に国土、つまり遊牧民を味方に付けた民族だ。
中国には今でも「南船北馬」なる言葉が残る。
◆世界の遊牧民の金属器
●スキタイ族
勇猛果敢な移動遊牧民とされるスキタイ民族の
場合、優美で豪華な金製品、銅製品を遺物遺品
として残している。彼等の金属器の精製も実は
草原に吹き抜ける季節風を利したものであろ?
●鉄器のヒッタイト族
突然鉄器を用いて一大帝国を創始したヒッタイト
族も北方から興った遊牧民と考えれている。強い
季節風を利用した製鉄技術と騎馬民族国家とも!
◆日本国の遊牧民的な考察と金属
滋賀県高島市から遊牧民しか用いないオルドス
型銅剣の鋳型が発見されている。日本に遊牧民
の好む銅剣の鋳型を作っても意味がない様にも
思うのだが!?
◆高島郡の地名と鉄穴伝説
古代日本において藤原仲麻呂が近江高島郡や近江
浅井郡に「鉄穴」を朝廷から賜った文献記録は有名
であるが、これも金属精製が権力と密接に関連して
いた事が類推されよう。高島郡では鞆結「ともゆい」
地名や「マキノ」「万騎野」の地名が騎馬を連想さ
せる。
◆滋賀近江季節風の強い場所と製鉄地名
冬期に北陸自動車道木ノ本インター付近
で季節風によるスリップ事故が発生して
いる。滋賀北部では、最も季節風が強く
吹き抜ける場所は旧伊香郡黒田村である。
北国街道が隘路になっておりその季節風
は強く長期的である。この狭隘地形には
「踏鞴地名」が広がってる。踏鞴タタラ
は金属を精製する溶鉱炉のタタラと言う
言葉が起源である。強い季節風を受ける
場所に穴や季節風を誘い込む為の溶鉱炉
が存在した可能性がある。黒田の小字に
は「穴師/あなし」なる地名が現在も残る。
◆溶鉱炉の呂とは「あな」なのか?
旧近江の国、伊香郡高月町東高田には
小字「穴津」が存在する事は既に述べ
いる。これは衝撃的な地名と言えよう。
◆遊牧民族と鞴/フイゴ
製鉄をする為には強力な空気を送り込む
為に牛馬の皮をジヤバラ状に作った道具
が不可欠だ。この牛馬の皮革を得る為に
は農耕民よりも遊牧民が有利と言えよう。
遊牧民と製鉄は身近な関係にあると言え
る。浅井郡には大嶽と書いて「おおずく」
と読む製鉄に関する地名が残り、金糞岳
なども製鉄関連地名である。古代浅井氏
には浅井直馬飼「あざいのあたいうまかい」
なる人も記録に残っている。
◆「ひょつこ」の語源
強い風を息吹きり力で風を送り込む製鉄作業者
の事。「ひょつとこ」は元来「火男」ひおとこ
◆追記「風の民俗学辞典」より転載
あい
海から種種の珍しいものを打ち寄せてくれる
海から種種の珍しいものを打ち寄せてくれる
好ましい風。神の恩恵(あえのもの)の意か。
北前船はこの風に乗り日本海を南下した。能
登半島では特にこの風に対する信仰が強く、
祭りの日には決まってあいの風が吹くという。
あなじ
「あな」は驚きを意味し、「じ(し)」は風。
「あな」は驚きを意味し、「じ(し)」は風。
悪風としての恐怖感を表す名称。あなじの八日
吹き=陰暦十二月八日に荒れ模様になること。
穴師神社
大和、和泉地方で風の神を祀る神社。
大和、和泉地方で風の神を祀る神社。
雨風祭り
風祭の一つ。東北地方で人形を作って村境へ
風祭の一つ。東北地方で人形を作って村境へ
送り出す。
天御柱(あめのみはしら)神
延喜式によれば風の神は天御柱神と国御柱神。
延喜式によれば風の神は天御柱神と国御柱神。
御神楽荒れ
秋から冬にかけての大風の吹くといわれる祭日。
秋から冬にかけての大風の吹くといわれる祭日。
送南風(おくりまぜ)
盆の精霊(しょうりょう)を送ってから吹く南風。
盆の精霊(しょうりょう)を送ってから吹く南風。
貝寄風(かいよせ)
大阪湾に吹く冬の季節風(西風)のなごり。陰暦
大阪湾に吹く冬の季節風(西風)のなごり。陰暦
二月二十二日の大阪四天王寺の聖霊会(しょうり
ょうえ)の供養の飾り物は、竜神がこの風で難波
の浜に捧げた貝殻で作ると言い伝える。
風穴ふたぎ
風祭りの名の一つ。
風招き(かざおき)
風を呼び起こすこと。かぜおき。
風を呼び起こすこと。かぜおき。
風日待(かざひまち)
仕事を休み、村人が集まって飲食をする。八朔の
仕事を休み、村人が集まって飲食をする。八朔の
行事の一つ。
風祭(かざまつり)
作物に暴風の被害がないように祈願する行事。
作物に暴風の被害がないように祈願する行事。
二百十日前後に行うことが多い。新潟県弥彦神社
の二百十日の風祭や、兵庫県伊和神社の二百十日
の七日前の風鎮祭など神社の神事にもなっている。
風邪
「風」と同音。原因不明の体調悪化は風のように得体の知
「風」と同音。原因不明の体調悪化は風のように得体の知
れない悪霊の仕業と信じられたことから名付けられた。
風切り鎌
鎌は風の力を衰えさせると信じられた。群馬県や長野県で
鎌は風の力を衰えさせると信じられた。群馬県や長野県で
屋根に取り付けたり、富山県などで強風のとき竹竿の先
に付けて風に向けて立てる。法隆寺五重塔の上の相輪には
風切り鎌が取り付けてあるのが見える
。
風定め
陰暦十月十日に風向を見て一年の風や天候を占う行事。
陰暦十月十日に風向を見て一年の風や天候を占う行事。
風止め籠り
八朔の日などに村の神社にお籠りをする行事。風籠り。
八朔の日などに村の神社にお籠りをする行事。風籠り。
カゼの神送り
悪疫流行に際し、災厄除去にわら人形を作って焼き捨
悪疫流行に際し、災厄除去にわら人形を作って焼き捨
てるなどの行事。
風神祭(かぜのかみまつり)
竜田大社の祭り。675年に風神を祀ったのが始まりと
竜田大社の祭り。675年に風神を祀ったのが始まりと
いう。
風の三郎様
新潟県や伊豆諸島に伝わる風の神の名。新潟では旧暦六月
新潟県や伊豆諸島に伝わる風の神の名。新潟では旧暦六月
二十七日に小屋を作って祀り、風除けを祈る。
風の祝り(かぜのはふり)
「十訓抄」には、信濃の国は風早き所なので「風の祝り」
「十訓抄」には、信濃の国は風早き所なので「風の祝り」
という神職を置いて100日間忌み篭ることが記されて
いる。
風の盆
富山県八尾町。陰暦の盆踊り、ニ百十日の風除け、五穀豊穣
富山県八尾町。陰暦の盆踊り、ニ百十日の風除け、五穀豊穣
を願う行事の混交した祭り。
風の宮の祭り
熊本県阿蘇神社の祭り。竜田大社と同じ日に行い、風雨の害
熊本県阿蘇神社の祭り。竜田大社と同じ日に行い、風雨の害
を卜う。
風負け
熊本県天草地方。憑依状態になることをいう。
熊本県天草地方。憑依状態になることをいう。
神風
風は神が起こすものと信じられていたが、後世は特に蒙古襲
風は神が起こすものと信じられていたが、後世は特に蒙古襲
来時の暴風を指すことが多い。
神渡(かみわたし)
神立風(かみたつかぜ)ともいう。旧暦十月の神無月の神々
神立風(かみたつかぜ)ともいう。旧暦十月の神無月の神々
の出雲への往還のときには大風が吹くと伝えられ、お籠りなど
をする。
ごさい(御祭)
夏の土用のなかば過ぎに、一週間ほど吹く北東風。陰暦六月
夏の土用のなかば過ぎに、一週間ほど吹く北東風。陰暦六月
一六・一七日に伊勢神宮の祭があることからの名という。御祭風。
級長津彦命(しなつひこのみこと)
志那都比古神、級長戸辺(しなとべ)命。男の風神。イザナギノ
志那都比古神、級長戸辺(しなとべ)命。男の風神。イザナギノ
ミコトが吐いた息が神様になったもの。女神とともに風の神とし
て多くの神社に祀られる。
志那津比売命(しなつひめのみこと)
志那都比売神。女の風神。
志那都比売神。女の風神。
大師講吹き
旧暦十一月に行われる大師講の日(冬至前後)に吹く風。
旧暦十一月に行われる大師講の日(冬至前後)に吹く風。
「ダイシサマ」という神が吹かせる。
竜田大社
奈良県三郷町。崇神天皇のとき建てられたといい、天御柱神と
奈良県三郷町。崇神天皇のとき建てられたといい、天御柱神と
国御柱神を祀る。六月二十八日~七月四日の風神祭(風鎮祭)
は天武朝の創始という。農業、航空、船舶、漁業など風に関係
する職業の人たちの信仰を受けている。
竜田祭
風神祭(かぜのかみまつり)。
たま風
「たま」は霊魂のことで、悪霊の吹かせる風の意。船乗りに
「たま」は霊魂のことで、悪霊の吹かせる風の意。船乗りに
恐れられる。
天吹(てんぷく)
鹿児島県。笛を吹いて風を呼ぶ呪術。
鹿児島県。笛を吹いて風を呼ぶ呪術。
トウセンボ
風祭りの一つ。風を通さないという意味か。
風祭りの一つ。風を通さないという意味か。
二百十日
立春から数えて210日目。九月一日前後。暴風が吹きや
立春から数えて210日目。九月一日前後。暴風が吹きや
すいといわれる。稲の穂ばらみ期であるので重要視された。
二百二十日
二百十日と同趣旨。
二百十日と同趣旨。
涅槃西風(ねはんにし)
陰暦二月十五日の涅槃会のころに吹く北西季節風のなごり。
陰暦二月十五日の涅槃会のころに吹く北西季節風のなごり。
彼岸西風(ひがんにし)、彼岸荒れ。
八朔
旧暦八月一日の節日。収穫を前にしたさまざまな行事が行わ
旧暦八月一日の節日。収穫を前にしたさまざまな行事が行わ
れる。風祭りの日ともされる。二百十日前後に当たる。
八朔の荒れ
風の厄日の一つ。二百十日前後。
風の厄日の一つ。二百十日前後。
比良の八講荒れ(ひらのはっこうあれ)
琵琶湖西岸の白鬚神社(比良明神)の比良八講という法会の
琵琶湖西岸の白鬚神社(比良明神)の比良八講という法会の
ころ寒気がぶり返し、比良山地から琵琶湖西岸へ吹き降りる
強風。比良八荒(ひらはっこう)。
広瀬神社
奈良県河合町。竜田大社の風神と縁故があり、古くは風神祭
奈良県河合町。竜田大社の風神と縁故があり、古くは風神祭
を行った。
風穴神社
洞穴を風が吹いてくる元と見て祀ったもの。愛媛県伊予三島市
洞穴を風が吹いてくる元と見て祀ったもの。愛媛県伊予三島市
の豊受神社そばの洞穴ほか。
風神
風の神を祀った神社は奈良の竜田大社、熊本の阿蘇神社、伊勢
風の神を祀った神社は奈良の竜田大社、熊本の阿蘇神社、伊勢
神宮内宮別宮の風日祈宮、外宮の風宮、長野の諏訪大社および
その末社ほか多数。仏教では千手観音の眷属である二十八部衆
に加えられることが多い。裸で風袋をかつぎ、天空をかける姿
で描かれる。
風鎮祭
竜田大社で七月四日に行われるものが代表。
竜田大社で七月四日に行われるものが代表。
風神堂(吹かん堂)
不吹堂とも書く。富山県西部の平野地帯に多くある風災除けの
不吹堂とも書く。富山県西部の平野地帯に多くある風災除けの
小祠。
八日吹き
旧暦師走八日に吹くといわれる風。祭日。
旧暦師走八日に吹くといわれる風。祭日。