三流読書人

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ドングリ小屋住人 

度胸

2007年01月06日 20時23分53秒 | 教育 

『毎日新聞』1月6日付 コラム「発信箱」 
 「度胸」 渡辺 悟氏(論説室) 

 度胸
 主要120社アンケート(4日)を読んだ。多くの企業が07年も景気回復基調は続くとみているものの、好業績を雇用拡大や賃上げに結びつける動きは弱いという。
 それで後藤清一・三洋電機相談役(故人)に聞いた松下幸之助さんの思い出が浮かんだ。後藤さんは創業間もないころから26年松下さんに仕えた。聞いたのは次のような話だ。
 「おまえ自分で商売したがってるんと違うかと大将に聞かれたので、いいやと答えると、おまえの目は独立したがっている。けどな、自分の財布から給料を払う度胸があるか。それがなければ独立なんか出来へんでと言われてな」
 あの神様にして給料を払うには度胸が必要だったのかと妙に感心したものだが、むろん松下さんの度胸は「給料」にとどまらなかった。産業界のトップを切って週休2日を実施したのは1964年代。さらに65歳定年を目指す熟年ライフプランを打ち出し、ついには週休3日社会を夢見る。発想の中心に人間があり、社会があり、そこから経営が編み出された。
 120社アンケートからは過剰な雇用、設備、負債に苦しんできた企業がなお慎重に構えている姿が浮かび上がる。理解できるが、なんとももどかしい。業績回復と引き替えに多くの非正規労働者が生まれ、生きるのがやっとのいわゆるワーキングプアが層をなし始めた。個々の企業が社会の矛盾と無縁であり得ない以上「新卒採用を増やす」22%、「賃金水準を改善する」17%はいかにもさみし過ぎないか。
 もう一段の度胸、を期待したい。

 申し訳ないが、またも「発信箱}の拝借である。
 このコラムの表現は控えめであるし、「松下電器」の労務管理、労務政策をもろ手をあげて賛成することはできない。が、渡辺氏がいうように「発想の中心に人間があり、社会があり」というところに強く引かれる。
 今の政府、大企業の労働法制改悪の企みや、労働者に対する処遇をみるとき、人間も社会もなく、労働者はかねもうけの道具にすぎず、社会全体をも搾取の対象としか見ていないようだ。
 我々は闘う手段を持っている。憲法に保障されている。それを機能させなければならない。
 そこに憲法を変えたい人間たちとの闘いがある。。

※主要120社アンケート…07年の日本経済の見通しを探るため、『毎日新聞』が昨年末に国内主要企業120社を対象にアンケートを実施した。