1月16日『毎日新聞』1月16日付 経済欄コラム「経済観測」
【「あと9万人だって」
大山鳴動してネズミ一匹と言うが、1月10日水曜日のブッシュ大統領のイラク新戦略はそれ以下であった。
どんな劇的な手法かと期待していたのに、相も変わらず2万1000人の増派という。
確かにここで撤兵でもしようものならバクダッドは収拾のつかぬ混乱に陥り、現政府は亡命、殉教者フセインの銅像でも建ちかねない。
それでは現状維持かと言えば、3000人の墓標は増え、えん戦気分は深まる一方だろう。中間選挙はハッキリ民意を示した。
勇将の下、弱卒なしで、ゲーツ国防長官が大統領発言をカバーして「今後5年間に陸軍6万5千人、海兵2万7千人増強する」と勧告した。
ウム、まだ5年も続くのか。次の大統領選挙で政権が代わっても貫徹するのか。どちらにしてもゲーツ長官はいないのだから気楽なものである。
つくづく、この種の戦争の勝ち方、やめ方の難しさを知る。相手の主力軍は撃破したか。イエス。首都は制圧したか。イエス。敵の首謀者、フセインは処刑。民主的選挙による親米政府は。既に樹立ずみ。
それでも勝利宣言を唱える気分にはなれない。前述したように米軍が去れば、今の政府は蜃気楼みたいに消え、フセイン以来の宗教、部族間の対立のカオスに逆戻りするだろう。
9・11テロに対する報復感は分かる。テロに断じて屈せぬ勇気と支持されよう。だが、そのためにアフガニスタン、イラクに軍事行動をほとんど単独で(愚かな国が協力したが)仕掛けたのは賢明だったか。国際紛争解決のための国連の意義はどこへ。
気がついてみるとネズミ一匹どころか、孤立した米国だけとなっていた。親友コイズミも。 (三連星) 】
のせられて、ついていった国もお粗末であったよなあ。