報道によると、政府は、10月8日に都内で開いた第7回意見聴取会で、主要な関係者の意見聴取を終えたとして、関係省庁間の協議を経て結論を出す見通しとなっているという。
意見聴取会の座長を務めた経済産業副大臣は、これまっで意見を聞いたのは、地元自治体や農林水産団体、漁業者、経済団体などの29団体43人となり、「可及的速やかに」判断すると、早期の処分方針決定を示唆した。菅義偉首相は「出来るだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」としているという。
8日の意見聴取会では、全国漁業協同組合連合会(全漁連)と福島県水産加工業連合会が意見を述べ、「風評被害の発生は必須。我が国の漁業の所雷に壊滅的な影響を与えかねない。漁業者の創意として絶対反対だ」などと、処理水の放出に反対したという。
これまでも関係者は、放出に慎重な対応を求める意見が大勢を占め、農林漁業者など生産関係者からは放出に反対する意見が相次いだと記憶している。また、県内59市町村のうち44市町村が放出反対あるいは丁寧な意見聴取や風評対策を求める意見書や決議を採択している。こうした中で、政府がどのような処分方針を打ち出そうというのかが注目される。
気になるのは、経済産業副大臣が、「可及的速やか」な政府の判断とともに、風評対策については「走りながら確実に対応する」(論説欄に記載有り)とのべたとされる点だ。
もともと、処理水の対応が問題になったのは、2年後の2020年夏頃には保管タンクが満杯になり、廃炉作業に支障を来たすとされていたことにあった。放出等の対応の準備には2年程度がかかるとされており、このため今年の7月頃には政府としての処分方針が決定されるのではないかとされていた。
政府の小委員会は、処理水を薄めて海洋に放出するか大気放出が現実的という提言をまとめ政府に提出した。これに対して、関係者や自治体・議会から反対あるいは慎重な対応を求める声が上がり、政府はこれまで関係者等から意見聴取を続けていた。
いわき市議会としても、先の6月定例会に請願と意見書を採択している。「多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書」の内容はこうだ。請願も同趣旨を採択している。
多核種除去設備等処理水の処分方法の最終判断を行うに当たっては、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告のみを判断の根拠にするのではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け、多核種除去設備等処理水の安全に関わる情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは多核種除去設備等処理水の陸上保管を継続すること。
請願の採択を受けていわき市も同趣旨の要望を国に提出しているが、ここでは、①関係者や県民からの丁寧な意見聴取、②広く国民に向けた処理水の安全に関わる情報発信とあわせて風評対策の拡充・強化を示すことによる、関係者及び国民の理解と合意、③それまでの間は処理水の陸上保管の継続ーーを求めている。
ここで大切なのは、処理水の安全等に関わる国民の理解と合意が、処理水の対応実施の前提としている点にある。
もともと稼働する原発では一定の基準値内とはいえ、各種の放射性核種が放出されてきた。福島第一原発の場合、特別委員会では年間のトリチウムの放出基準値が20兆ベクレルで、実際の放出量は海に2兆ベクレル、大気にもほぼ同量、合計4兆ベクレルが放出されていたとされていた。
全国、また世界のどこの原発でも同様の実態があり、原発によっては福島第一よりはるかに多くの放射性核種を放出している。私は、市議会の委員会で第一原発など全国の原発で長期間にわたり核種を放出してきても、大きな影響が見られなかったので、事故後にトリチウムを含む水を放出をしても問題ないと思っているのだろうから、そのことを積極的に国民に説明することが、風評被害を起こさない上で大切なのではないかと意見を述べていた。
こうした現実を踏まえて、トリチウムの問題を国民的に考えることが、一つには風評被害の根本にある放射性核種への漠たる不安を解消することにつながる、もう一つは原発の現実を知ることが今後のエネルギー政策の議論に影響をもたらすことにつながると考えたからだ。今後の原発事故の処理とエネルギー政策に政府や東京電力が責任を持つ上で、彼ら自身がこの取り組みをすることが大切だと考えていた。
ところが、この委員会でのやりとりがあってから4年かな・・が過ぎても、国としてこの取り組みを積極的に進めた形跡がない。今年4月から市議会として行った国との文書による意見交換で確認したところ、国民的な説明は、ホームページへの掲載で、直接、何らかの説明をする機会は、福島県がらみのイベントなどにほぼ限られていることが確認できた。風評被害を根本的になくすための努力を十分しないままに、廃炉作業を進めるために処理水の処分方針を決めなければならないと、被災者や国民を半ば〝脅迫〟してきたわけだ。
こうした現実を受けながら、市議会の意見書で、処理水対応の前提に、広く国民に安全に関わる情報発信と国民的な理解と合意を前提に据えたことは、大きな意義を持っている。これまで国としてサボってきたことを、これからしっかりやることを求めたわけだ。そして、理解と合意がなるまでの間は陸上保管を求めた。つまり、これらを段階的に進めることを求めている。説明→理解と合意→処理水の対応実施となるわけだ。
経産副大臣が、風評対策については「走りながら確実に対応する」としたこととは明らかに異なることを求めている。こうした市議会の求めと違う状況で、進めようという国の考え方。これには意見書の立場からしっかり意見をしていくことが必要だろう。「走りながら」となれば、処分対応の実施ありきで、その前提条件が軽視されることにつながりかねないのだから。
先の論説記事のわきの記事で、平沢勝栄復興大臣は、「どの処分方法でも風評被害は避けられない」と語っている。そうだろうと思う。それだけに、より根本のところで国民の理解を深める取り組みを前提におくことが必要だと思う。
国は被災地の声にしっかりと応えるためにも、手を抜くことなく、対応方針実施の前提条件を作るための取り組みを、すぐにでも進めるべきだと思う。
意見聴取会の座長を務めた経済産業副大臣は、これまっで意見を聞いたのは、地元自治体や農林水産団体、漁業者、経済団体などの29団体43人となり、「可及的速やかに」判断すると、早期の処分方針決定を示唆した。菅義偉首相は「出来るだけ早く政府として責任を持って処分方針を決めたい」としているという。
8日の意見聴取会では、全国漁業協同組合連合会(全漁連)と福島県水産加工業連合会が意見を述べ、「風評被害の発生は必須。我が国の漁業の所雷に壊滅的な影響を与えかねない。漁業者の創意として絶対反対だ」などと、処理水の放出に反対したという。
これまでも関係者は、放出に慎重な対応を求める意見が大勢を占め、農林漁業者など生産関係者からは放出に反対する意見が相次いだと記憶している。また、県内59市町村のうち44市町村が放出反対あるいは丁寧な意見聴取や風評対策を求める意見書や決議を採択している。こうした中で、政府がどのような処分方針を打ち出そうというのかが注目される。
気になるのは、経済産業副大臣が、「可及的速やか」な政府の判断とともに、風評対策については「走りながら確実に対応する」(論説欄に記載有り)とのべたとされる点だ。
もともと、処理水の対応が問題になったのは、2年後の2020年夏頃には保管タンクが満杯になり、廃炉作業に支障を来たすとされていたことにあった。放出等の対応の準備には2年程度がかかるとされており、このため今年の7月頃には政府としての処分方針が決定されるのではないかとされていた。
政府の小委員会は、処理水を薄めて海洋に放出するか大気放出が現実的という提言をまとめ政府に提出した。これに対して、関係者や自治体・議会から反対あるいは慎重な対応を求める声が上がり、政府はこれまで関係者等から意見聴取を続けていた。
いわき市議会としても、先の6月定例会に請願と意見書を採択している。「多核種除去設備等処理水の処分決定に関する意見書」の内容はこうだ。請願も同趣旨を採択している。
多核種除去設備等処理水の処分方法の最終判断を行うに当たっては、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告のみを判断の根拠にするのではなく、政府の処分方法案を公表するとともに、それに対する本県の各産業関係者や県民からの丁寧な意見聴取を行うこと、また、新たな風評を生じさせないよう、広く国民に向け、多核種除去設備等処理水の安全に関わる情報発信を行った上で、風評対策の拡充・強化を併せて示すことにより、関係者及び国民の理解と合意を広げること、さらに、それまでは多核種除去設備等処理水の陸上保管を継続すること。
請願の採択を受けていわき市も同趣旨の要望を国に提出しているが、ここでは、①関係者や県民からの丁寧な意見聴取、②広く国民に向けた処理水の安全に関わる情報発信とあわせて風評対策の拡充・強化を示すことによる、関係者及び国民の理解と合意、③それまでの間は処理水の陸上保管の継続ーーを求めている。
ここで大切なのは、処理水の安全等に関わる国民の理解と合意が、処理水の対応実施の前提としている点にある。
もともと稼働する原発では一定の基準値内とはいえ、各種の放射性核種が放出されてきた。福島第一原発の場合、特別委員会では年間のトリチウムの放出基準値が20兆ベクレルで、実際の放出量は海に2兆ベクレル、大気にもほぼ同量、合計4兆ベクレルが放出されていたとされていた。
全国、また世界のどこの原発でも同様の実態があり、原発によっては福島第一よりはるかに多くの放射性核種を放出している。私は、市議会の委員会で第一原発など全国の原発で長期間にわたり核種を放出してきても、大きな影響が見られなかったので、事故後にトリチウムを含む水を放出をしても問題ないと思っているのだろうから、そのことを積極的に国民に説明することが、風評被害を起こさない上で大切なのではないかと意見を述べていた。
こうした現実を踏まえて、トリチウムの問題を国民的に考えることが、一つには風評被害の根本にある放射性核種への漠たる不安を解消することにつながる、もう一つは原発の現実を知ることが今後のエネルギー政策の議論に影響をもたらすことにつながると考えたからだ。今後の原発事故の処理とエネルギー政策に政府や東京電力が責任を持つ上で、彼ら自身がこの取り組みをすることが大切だと考えていた。
ところが、この委員会でのやりとりがあってから4年かな・・が過ぎても、国としてこの取り組みを積極的に進めた形跡がない。今年4月から市議会として行った国との文書による意見交換で確認したところ、国民的な説明は、ホームページへの掲載で、直接、何らかの説明をする機会は、福島県がらみのイベントなどにほぼ限られていることが確認できた。風評被害を根本的になくすための努力を十分しないままに、廃炉作業を進めるために処理水の処分方針を決めなければならないと、被災者や国民を半ば〝脅迫〟してきたわけだ。
こうした現実を受けながら、市議会の意見書で、処理水対応の前提に、広く国民に安全に関わる情報発信と国民的な理解と合意を前提に据えたことは、大きな意義を持っている。これまで国としてサボってきたことを、これからしっかりやることを求めたわけだ。そして、理解と合意がなるまでの間は陸上保管を求めた。つまり、これらを段階的に進めることを求めている。説明→理解と合意→処理水の対応実施となるわけだ。
経産副大臣が、風評対策については「走りながら確実に対応する」としたこととは明らかに異なることを求めている。こうした市議会の求めと違う状況で、進めようという国の考え方。これには意見書の立場からしっかり意見をしていくことが必要だろう。「走りながら」となれば、処分対応の実施ありきで、その前提条件が軽視されることにつながりかねないのだから。
先の論説記事のわきの記事で、平沢勝栄復興大臣は、「どの処分方法でも風評被害は避けられない」と語っている。そうだろうと思う。それだけに、より根本のところで国民の理解を深める取り組みを前提におくことが必要だと思う。
国は被災地の声にしっかりと応えるためにも、手を抜くことなく、対応方針実施の前提条件を作るための取り組みを、すぐにでも進めるべきだと思う。
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