伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

ウクライナ侵攻・ロシア・プーチン政権の横暴

2022年02月25日 | 平和・戦争
 ロシアのウクライナ侵攻は、閉幕した北京冬季オリンピックに代わり、ニュースの大きなスペースを占めた。

 もともと親ロシア派からNATO加盟をめざすウクライナ政権が発足するとロシアは、加盟に反対し、昨年4月と10月に、ウクライナとの国境付近に軍を派遣し、今年の北京オリンピックを開催前・中に軍事訓練のためと増派し、訓練後も派遣を継続していた。こうした状況を見ていて、オリンピックが終わったら進行するのではないかという観測も流されたし、私も「オリンピックが終わったら攻め入るんじゃないの」などと話していた。

 しかし、他の国のすることが気にくわないから攻め入るなどという蛮行が、現代社会においてやられて良いはずがないし、G7を構成するするような国がするはずがないというかすかな思いもあって、まさか、侵攻が現実のものになるとは思っていなかった。最初にニュースを聞いたとき、ため息がもれる思いだった。

 どうしてロシアがウクライナにちょっかいを出すのか。あらためて関係報道等を読んでみた。
 
 この間の報道で、今回のロシアの行動の背景に、ウクライナのNATO加盟めざす方針があるようだ。
 1991年にソビエト連邦から独立したウクライナでは、以降、歴代大統領のほとんどが親欧米派でしめられ、かねてからNATO加盟を求めていた。

 ところが、ロシアは、同国のNATO加盟によって米軍基地がのど元に進出しかねず、同国の安全を脅かすと懸念した。以前にも、同国の軍事上の要衝となるクリミア半島にロシアの唯一凍らないセヴァスポトリ軍港があり、ウクライナがその権利の一部をしたことから、クリミア自治共和国とセヴァスポトリ特別市(本来ウクライナ政府直轄市だという)でロシア編入の住民投票を実施し、多数をえたとしてクリミア自治共和国の独立を承認した上で、ロシアに編入した前歴がある。

 今回も同様に、親ロシア武装勢力が独立したと自称するウクライナ東部の州「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」をロシアが国として承認し、「人民の保護」を理由に侵攻を開始した。

 たしかに冬季オリンピックの閉会前後以降だったと記憶しているが、同州で砲撃などの事件の発生が伝えられていた。その犯人が、親ロシア派なのか、ウクライナ系住民なのかははっきりしない。いろいろ読んでいると、ウクライナ東部をめぐってロシアとの紛争後に結ばれたミンスク合意後も、両者の間で紛争状態は続いていたようだ。力で問題を解決しようとすることには問題があると思う。

 しかし、ウクライナ国内におけるロシア系住民とウクライナ系住民のあり方の問題は、あくまでもウクライナ国内問題だ。その問題に他国が、どんな形にせよ関与することは許されるはずがない。ウクライナが独立国である以上、同国の国民が民主的手段を積み重ねながら解決しなければならない。

 ロシアは攻撃の対象は軍事施設だけだとしている。しかし、ウクライナの発表では、軍人の他、一般の市民も犠牲になっていることを伝えている。こうした犠牲をこれ以上増やさないために、ロシアはただちに軍事行動を中止し、ウクライナから撤退すべきだ。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して欧米各国、また日本は、経済制裁の強化で圧力をかけることにしている。
 わが国でも、今朝、岸首相が記者会見に臨み、欧米と足並みを揃え、
1つには、いわゆる2つの共和国(「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」)の関係者の査証発給停止と資産凍結、
2つ目はいわゆる2つの共和国との輸出入の禁止措置の導入、
3つ目に、ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行・流通の禁止などの措置をとるとした。
 また、今後、事態が悪化する場合には、G7を始めとする国際社会と連携して、更なる措置を速やかに進めるよう取り組むとした。

 会見では記者から、様々な質問がされた。しかし、どの質問にも首相は今後の国際社会との連携を答えるばかりだった。

 印象に残った2つの質問がある。1つはどこかの海外通信社だろうか、尖閣問題などを抱える日本に、仮にウクライナ同様の事態が発生した場合、経済制裁だけで効果があると考えるかという質問だ。これに首相は、「仮定の問題に答えるのはふさわしくない」と回答を拒否しながら、ここでも重ねて国際社会との連携を繰り返した。

 もう1つはフリーランスのジャーナリストの質問だった。経済制裁にとどまらず、中国がロシアに侵攻中止を進言するよう求めるなど、日本が独自の役割を果たすよう求めた。近年、中国とロシアの接近が見られる中、軍事侵攻したロシアを孤立化させ、国際的に足並みを揃えて圧力をかけることから考えれば、非常に良い質問だったと思う。痛いところを突かれる質問だったのか、首相はたまらず経済制裁の先は「何も考えていない」と吐露した。

 米国などの顔色に足並みを揃えることしかしないという、日本の外交戦略の貧弱さが露呈した答弁だったと思う。この答弁が、考えはあるものの、状況を踏まえて手の内を明かすことが良策ではないというものだったら良いのだが、「何も考えていない」という答えは本音としか思えない。

 「恒久の平和を念願」する日本国憲法の下、自国の平和と安全のみならず、その前提として世界の平和と安全を追い求めているのがわが国だと思う。それは、他の国との連携はもちろんだが、独自の外交と、その外交を世界の標準とするよう努力することが求められていると考える。

 その決意が見えない会見には、やはりがっかりだ。

 ウクライナ侵攻という、民族自決権を侵害する行為を許せないのはもちろんだが、この権利侵害を真正面から糾弾できない日本政府のあり方もやるせない。政府には、独自の視点を持った対応をしてほしいものだ。


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