伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

東京に避難しているお母さん方のお話を聞いてきました

2012年07月12日 | 原発
 昨日、東京に行き、いわき市から避難をされているお母さん方の話を聞いてきた。東京の区議と都議が結んで、避難後、要望などを聞いてきたというが、先月、懇談した際、いわき市の状況を知りたいなどの思いを思ってるため、上京して話してほしいという要請に応えたものだ。私自身も、市外に避難をされている方の思いを直接聞きたいし、いわき市の状況も伝えたいと思っていたので、ちょうど良い機会となった。

 午後から3時間ほどお話を聞き、また、疑問などに答えた。
 出された質問は以下のようなものだった。

 「学校給食の測定はされているのか」
 「土壌の調査はされているのか。またその結果の公表は」
 「甲状腺の検査はどうなっているのか」
 「ホールボディーカウンターの検査はどうなるのか」
 「高速道路の無料措置が終わり、夫が東京に来ることも、経済的に困難になった」
 「18歳以下の医療費無料化はありがたかったが、東京にいるといったん支払った後、請求する償還払いになる。窓口無料化にならないか」
 などなど。

 こうした疑問に、学校の給食食材の検査はベクレルモニターで行われ、問題がある食材は排除できる体制になっており、自家消費の食品の測定も始まり、畑で作られた作物ではセシウムの検出例が少ないことを答えた。

 また、甲状腺の検査はいわき市は来年度から始まり、時期を早めるよう要望していることと、全国に避難をしている方は46都道府県ごとに最低1箇所の指定医療機関を設け、測定できる体制作りがすすめられていること。一方、ホールボディーカウンターの検査は、現時点ではいわき市と茨城県のJAEA東海研究開発センターでしかできず、全国的にできるよう市が要望しているもののその動きは無いため、何かの折にいわき市に帰った際、担当窓口に検査の相談すれば実施できることを伝えた。

 医療費の窓口無料化は、自治体とそれぞれ該当する医師会等との協定で実施されており、いわき市外での窓口無料化は難しく、国が医療費無料化を全国的に実施するよう求めることが大切なことを話した。

 お母さん方は、私の話を聞いて「帰って来い」と言わないことにびっくりしていた。今までいわきから来た方は、それぞれ「帰って来い」と話したのだという。

 お母さん方は、低レベルの放射線被ばくの子どもへの影響について不安を抱えている。今は影響は出ていなくても、将来、不幸にして何かの病気を発症した時、「あのときにこうすれば」と生涯悔やみ続けなければならなくなることを恐れている。いわき市に夫を残しているため、いわきに帰りたいという思いを持ちながらも、子どものことを考えれば現状では帰れないという思いが強い。住宅ローンを抱え、夫婦で働いて返してきた方もいるが、仕事も失った上、二重生活で暮らしも厳しいという。いわき市の除染計画では、5年後に除染を終える計画でいることを伝えると、「5年がめどか。それまで東京に家賃無料で置いてほしい」という願いを語った。

 いわき市に残った市民も、避難をした市民も、放射線物質への不安を押し殺しながら生活している現実を考えれば、残って生活されている市民が安心して生活できるように、測定体制の充実や除染、医療体制を構築していくことが必要だし、避難をしている方が避難先で落ち着いて暮らすことを補償しながら、いわき市に帰ることを判断できる安心の種を一つ一つ大切に育てていかなければならない。こう思う。

  お母さん方は、原発の事故を引き起こした安全神話の問題や、原発をなくすことが大切だととらえており、金曜日の官邸周辺での集会も関心を持ってみていることを話すなど、社会的にも視野を広げてみるようになったことを話していた。

 このお母さん達が、子どもといっしょにいわき市に帰ろうと判断するために必要な一つの種は、いわき市長が明確に「廃炉」を求める立場を表明し、いわき市議会がこの意思表明を明確にすることもあるだろう。7月定例会で、そのことが一つでも実現できれば幸いだ。

 高速道路の無料化に変わりに、無料バスの運行で「ボランティアや週末避難を望む子ども達・避難家族の利用ができるようにしてほしい」という要望があったが、この点は研究課題ということにしておきたい。

      ◆

 朝の愛犬の散歩で、この花がきれいに咲いていた。ずいぶん前からあちこちで花をつけていたように思うが、いまが盛りという感じ。

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