昨日で議会が終わりました。今朝の新聞を読んでいたら、東電福島第一原子力発電所の1号機を「ミュー粒子」を利用して観測した結果、ほぼ全量の燃料が溶け落ちている状況が確認されたと書いていました。
SNSでは、「あまり騒がれないけど、大変な事態」のようなお話をされている方もいた。あまり大事態だと感じないのは、「あっ、やっぱり」の感が強いからかもしれない。もともと溶融していると、確信に似た考えを持っていて、それが確認されたにすぎないのだから。
しかし、中を見ることができたということは、収束に向けて一歩がすすんだということになるのも事実。科学技術の素晴らしさに感動を覚えると同時に、東電にも、国にもしっかりやってほしいと心から思います。
でもその、東電よ、国よ、しっかりしてくれ、の思いを再度抱いたのが、いわき市議会2月定例会の最中、17日に開かれた東日本大震災復興等別委員会原子力災害対策分科会でした。遅ればせながら振り返ってみたいと思います。
出席者は国から、内閣府廃炉・汚染水対策チームの現地事務所の野田耕一所長、資源エネルギー庁の原子力立地・核燃料サイクル産業課原子力損害対応室の山田哲也企画調整官他、東京電電力からは福島復興本社の新妻常正副代表、福島第一廃炉推進カンパニーの河合雅彦バイスプレジデント他で、廃炉に向けた取り組みや、汚染水漏れ問題、損害賠償問題について調査を行いました。
午前中、廃炉に向けた中長期ロードマップの進捗状況、第一原発の汚染水対策の現状と対応、損害賠償について、事前に提出していた質問への回答も含めて説明したわけですが、率直にいって、収束に向けた作業は何かしら進んではいるものの、それをすすめる組織の方は変わっていない、そんな印象を持ちました。
冒頭、野田所長から発言があり、事故の発生に対しては、「エネルギー政策をすすめてきた国としてお詫びします」とされたものの、別の機会には「第一義的には東電が対応」と、東電に収束作業を担わせ、国は点検と助言の立場からの対応を説明しました。
例えば、K排水路から2号建屋屋上の汚染水が外洋に流出していた問題では、その情報を事前にしっていたものの「開示の指導ができなかった」として、今後は国民や県民の目線でリスクを認識していくとのお話がありました。
また、東電復興本社の新妻副代表は、「2月13日に市長からの申し入れを受け、また17日にはいわき市議会の特別委員会の視察を受け入れている最中に、排水路の問題がおこり、不安や心配をかけて申し訳なく思っています。情報公開のあり方にいたらなさが起こしたものと考えています」として、情報公開のあり方を見直して3月末頃に公表するといいました。
こうしたおわびを何度聞いてきたことか。以前にも本ブログに書きましたが、地下貯水槽から汚染水が漏出していた問題が発生していた最中、市議会として復興本庁に要望書を届け懇談していたにもかかわらず、何の説明もされなかったことがありました。この時にも、情報公開のあり方について改善をはかると言っていたにもかかわらず、今回も同様の問題が起きてしまっているのです。
東電などのコメントに「思いが至らなかった」とありますが、これについて東電は次のように述べました。
「漁業者のみな様などが何を心配しているのかを受け止め、検討していきたいと思います。漁業者のみな様にも厳しい指摘を受けており、信頼が廃炉や復興に必要だと考えていますので、今後は包み隠さず、分かりやすく公表したい」
東電は、K排水路の汚染流出の公表をしていなかった反省から、姿勢の転換が必要と考えているとしました。そして「環境に影響がある水やダストなど、すべて公開する方向に基本方針を切り替える」と、その具体的な検討をしていることを説明しました。
以前にも改善を約束した経過がありながら、今回の情報公開の遅れが発生したことから私は不十分だと感じました。そのことを指摘しながら、第三者機関のようなものを作り、そこにすべての情報を出して、公開の是非を判断させる仕組みが必要ではないかと求めたのですが、はてさてどんな仕組みが出てくるのか、その公表を待ちたいと思います。
また2月22日に発生した汚染濃度の上昇を示すブザーが鳴ってから、海洋流出を防止するゲートが閉まるまで90分かかったとされる問題への対応では次のように説明しました。
「ただちにゲート閉鎖の支持を出し、作業員の選抜と作業手順の指示や装備の準備などで時間がかかり、85分後にゲートを閉めました」
報道では、「東電は汚染水が貯蔵されているタンクからの漏えいについての確認を優先。水位に変動がないことなどを確かめた後、同11時35分ごろに排水路の下流にあるゲートを閉め、港湾への流出を止めた」としており、若干の食い違いがあるのが気にかかりますが、この時、記事そのものを持っていなかったので、その点は確認できませんでした。
この説明から、第一原発での作業の厳しさを思い知ることになりました。一定の線量があるところでの作業となるために、対応するための装備が必要です。そのまま駆けつけて作業するという場所ではないということですね。今後は、作業手順の見直しや遠隔操作での開閉も考えるとしていたので、その抜本的な対策が求められると思います。
K排水路の問題の後におきたH4タンク群からの汚染水流出問題についても質問しました。以前、外壁をボルトでつないだフランジ型タンクからの漏水事故をおこしたタンク群ですが、ここでは漏水に対応できるよう周辺の堰を嵩上げするなどの対応をとったところです。
今回の漏水は、タンクを囲った内側の堰と外側の堰の間にたまった雨水が、地面を覆った樹脂に不具合が生じ、漏れが生じたというもので、雨水を汚染した汚染源はいまだ分かっていないというものです。この場所は地下水バイパスで水をくみ上げている井戸の上流部にあたり、地下水への汚染拡大が懸念される場所です。
東電は、地下水バイパス用の井戸の間に観測用の井戸があり、その井戸の監視をしっかりやっていきたいと答えましたが、汚染が拡大することがないよう、ただただ祈るばかりです。
損害賠償についても質疑がされました。東電は「相当な因果関係」があるものに賠償するという考えです。では「相当な因果関係」とは何か。
東電は、「原因と結果との間に、前者がなければ後者がないという因果関係があり、かつその原因があればその結果が発生するということが社会通念上相当である場合と考えています。具体的には各種統計資料・指標等を勘案しまして、ご請求者様の特別の事情をよくお伺いした上で判断させていただきます」と説明しました。
少し、むっとする説明ですね。つい先だって、「洗濯物を外に干すようになりました」というお話を聞いたばかりです。外に干して放射性物質に汚染をされて、子ども達に悪い影響がでないか不安という思いから、ずっと洗濯物を外に干さないできたのですね。飲み水や料理用の水は水道水を避け、ペットボトルの水に頼っている家庭もいまだにあるという話を聞きます。市民に不安を与えているのは何か。事故で放出された放射性物質です。
先だっての市民福祉常任委員会の質疑で、ホールボディーカウンターの運用状況を質疑する中で、少ないものの数値の高い人がおり、その原因は春には山菜や秋にはキノコを食べた人という回答でした。こうした方々で良く聞くのは、「どうせ先は長くないのだから」という言葉です。ここにも市民に余計な気苦労をかけている原発事故の影響があります。
こうした市民を救う道はどこにあるのかというと、おそらく一律の賠償を2011年4月22日で打ち切るのではなく、応分の期間において続けることです。国の指針にもとづいて実施していると一律の賠償は打ち切っている東電は、「結果と原因」などといいながら、それがはっきりしていても賠償しないという対応をとっているわけです。
改善を求めましたが、現状ではなかなか難しいでしょう。
原発事故の収束作業は、まだまだ緒についたばかり。事故から4年が過ぎた現在の実態だと思います。今後も議会として市民の声を届け、改善させる役割を担わなければならないと思います。
SNSでは、「あまり騒がれないけど、大変な事態」のようなお話をされている方もいた。あまり大事態だと感じないのは、「あっ、やっぱり」の感が強いからかもしれない。もともと溶融していると、確信に似た考えを持っていて、それが確認されたにすぎないのだから。
しかし、中を見ることができたということは、収束に向けて一歩がすすんだということになるのも事実。科学技術の素晴らしさに感動を覚えると同時に、東電にも、国にもしっかりやってほしいと心から思います。
でもその、東電よ、国よ、しっかりしてくれ、の思いを再度抱いたのが、いわき市議会2月定例会の最中、17日に開かれた東日本大震災復興等別委員会原子力災害対策分科会でした。遅ればせながら振り返ってみたいと思います。
出席者は国から、内閣府廃炉・汚染水対策チームの現地事務所の野田耕一所長、資源エネルギー庁の原子力立地・核燃料サイクル産業課原子力損害対応室の山田哲也企画調整官他、東京電電力からは福島復興本社の新妻常正副代表、福島第一廃炉推進カンパニーの河合雅彦バイスプレジデント他で、廃炉に向けた取り組みや、汚染水漏れ問題、損害賠償問題について調査を行いました。
午前中、廃炉に向けた中長期ロードマップの進捗状況、第一原発の汚染水対策の現状と対応、損害賠償について、事前に提出していた質問への回答も含めて説明したわけですが、率直にいって、収束に向けた作業は何かしら進んではいるものの、それをすすめる組織の方は変わっていない、そんな印象を持ちました。
冒頭、野田所長から発言があり、事故の発生に対しては、「エネルギー政策をすすめてきた国としてお詫びします」とされたものの、別の機会には「第一義的には東電が対応」と、東電に収束作業を担わせ、国は点検と助言の立場からの対応を説明しました。
例えば、K排水路から2号建屋屋上の汚染水が外洋に流出していた問題では、その情報を事前にしっていたものの「開示の指導ができなかった」として、今後は国民や県民の目線でリスクを認識していくとのお話がありました。
また、東電復興本社の新妻副代表は、「2月13日に市長からの申し入れを受け、また17日にはいわき市議会の特別委員会の視察を受け入れている最中に、排水路の問題がおこり、不安や心配をかけて申し訳なく思っています。情報公開のあり方にいたらなさが起こしたものと考えています」として、情報公開のあり方を見直して3月末頃に公表するといいました。
こうしたおわびを何度聞いてきたことか。以前にも本ブログに書きましたが、地下貯水槽から汚染水が漏出していた問題が発生していた最中、市議会として復興本庁に要望書を届け懇談していたにもかかわらず、何の説明もされなかったことがありました。この時にも、情報公開のあり方について改善をはかると言っていたにもかかわらず、今回も同様の問題が起きてしまっているのです。
東電などのコメントに「思いが至らなかった」とありますが、これについて東電は次のように述べました。
「漁業者のみな様などが何を心配しているのかを受け止め、検討していきたいと思います。漁業者のみな様にも厳しい指摘を受けており、信頼が廃炉や復興に必要だと考えていますので、今後は包み隠さず、分かりやすく公表したい」
東電は、K排水路の汚染流出の公表をしていなかった反省から、姿勢の転換が必要と考えているとしました。そして「環境に影響がある水やダストなど、すべて公開する方向に基本方針を切り替える」と、その具体的な検討をしていることを説明しました。
以前にも改善を約束した経過がありながら、今回の情報公開の遅れが発生したことから私は不十分だと感じました。そのことを指摘しながら、第三者機関のようなものを作り、そこにすべての情報を出して、公開の是非を判断させる仕組みが必要ではないかと求めたのですが、はてさてどんな仕組みが出てくるのか、その公表を待ちたいと思います。
また2月22日に発生した汚染濃度の上昇を示すブザーが鳴ってから、海洋流出を防止するゲートが閉まるまで90分かかったとされる問題への対応では次のように説明しました。
「ただちにゲート閉鎖の支持を出し、作業員の選抜と作業手順の指示や装備の準備などで時間がかかり、85分後にゲートを閉めました」
報道では、「東電は汚染水が貯蔵されているタンクからの漏えいについての確認を優先。水位に変動がないことなどを確かめた後、同11時35分ごろに排水路の下流にあるゲートを閉め、港湾への流出を止めた」としており、若干の食い違いがあるのが気にかかりますが、この時、記事そのものを持っていなかったので、その点は確認できませんでした。
この説明から、第一原発での作業の厳しさを思い知ることになりました。一定の線量があるところでの作業となるために、対応するための装備が必要です。そのまま駆けつけて作業するという場所ではないということですね。今後は、作業手順の見直しや遠隔操作での開閉も考えるとしていたので、その抜本的な対策が求められると思います。
K排水路の問題の後におきたH4タンク群からの汚染水流出問題についても質問しました。以前、外壁をボルトでつないだフランジ型タンクからの漏水事故をおこしたタンク群ですが、ここでは漏水に対応できるよう周辺の堰を嵩上げするなどの対応をとったところです。
今回の漏水は、タンクを囲った内側の堰と外側の堰の間にたまった雨水が、地面を覆った樹脂に不具合が生じ、漏れが生じたというもので、雨水を汚染した汚染源はいまだ分かっていないというものです。この場所は地下水バイパスで水をくみ上げている井戸の上流部にあたり、地下水への汚染拡大が懸念される場所です。
東電は、地下水バイパス用の井戸の間に観測用の井戸があり、その井戸の監視をしっかりやっていきたいと答えましたが、汚染が拡大することがないよう、ただただ祈るばかりです。
損害賠償についても質疑がされました。東電は「相当な因果関係」があるものに賠償するという考えです。では「相当な因果関係」とは何か。
東電は、「原因と結果との間に、前者がなければ後者がないという因果関係があり、かつその原因があればその結果が発生するということが社会通念上相当である場合と考えています。具体的には各種統計資料・指標等を勘案しまして、ご請求者様の特別の事情をよくお伺いした上で判断させていただきます」と説明しました。
少し、むっとする説明ですね。つい先だって、「洗濯物を外に干すようになりました」というお話を聞いたばかりです。外に干して放射性物質に汚染をされて、子ども達に悪い影響がでないか不安という思いから、ずっと洗濯物を外に干さないできたのですね。飲み水や料理用の水は水道水を避け、ペットボトルの水に頼っている家庭もいまだにあるという話を聞きます。市民に不安を与えているのは何か。事故で放出された放射性物質です。
先だっての市民福祉常任委員会の質疑で、ホールボディーカウンターの運用状況を質疑する中で、少ないものの数値の高い人がおり、その原因は春には山菜や秋にはキノコを食べた人という回答でした。こうした方々で良く聞くのは、「どうせ先は長くないのだから」という言葉です。ここにも市民に余計な気苦労をかけている原発事故の影響があります。
こうした市民を救う道はどこにあるのかというと、おそらく一律の賠償を2011年4月22日で打ち切るのではなく、応分の期間において続けることです。国の指針にもとづいて実施していると一律の賠償は打ち切っている東電は、「結果と原因」などといいながら、それがはっきりしていても賠償しないという対応をとっているわけです。
改善を求めましたが、現状ではなかなか難しいでしょう。
原発事故の収束作業は、まだまだ緒についたばかり。事故から4年が過ぎた現在の実態だと思います。今後も議会として市民の声を届け、改善させる役割を担わなければならないと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます