伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

いわき市議会6月定例会一般質問Vol.2_トリチウム水対応の結論急ぐな

2020年06月11日 | 市議会
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2 東京電力福島第一原子力発電所のトリチウムを含むALPS処理水の国の対応方針決定について
(1)国が対応方針を定めるまでのプロセスで住民の意見を繰り返し聞き十分反映させるよう自治体として意見を提出することについて


伊  藤
 2月定例会の代表質問で市長は、「処分方針を決定していくにあたっては、まずはトリチウムが人体に与える科学的性質や国内外における処分実績等について、国民のみならず、世界に対する情報発信を強化すべきだ」と答弁されておりますが、私もその通りだと考えております。

 説明をして、理解を広げ、トリチウムが入っていても必ずしも人体への影響は大きいものではないという理解を国民的に広げることで風評被害が発生しにくい土壌を全国に作っていくことなしに、この問題の解決の道が開かれることはない。私はそのように考えております。



 市議会は、資源エネルギー庁との間で、政府が設置したALPS小委員会の報告書についての文書による質問を2度に渡って行ってきました。しかし、そこで明らかになった一つは、この間の取り組みで国民への安全に関する説明がまともにされてきたのか、という問題でした。

 市議会と資源エネルギー庁の文書質問において、トリチウムの安全性に関する説明の取り組みは、ほとんど福島県内及び県のイベントの場で、一般的に国民に向けられたものはホームページに掲載された記事に止まっているということが分かりました。

 市長は、このような状況が続いてきたことに関して、どのような所見お持ちでしょうか。


危機管理監
 アルプス処理水の取り扱いにつきましては、市民のみな様への影響はもとより、観光などの経済活動にも大きな影響を与える問題であると考えておりますことから、
これまでも、国の廃炉・汚染水対策福島評議会において、トリチウムの化学的性質や人体への影響等について、国内外に対する情報発信を強化するよう求めてきたところであります。

 しかし、未だトリチウムに対する科学的な安全性や、風評被害を懸念する声があることを踏まえれば、国及び東京電力の取り組みが十分とは言えないと考えておりますことから、
市といたしましては、国が去る4月13日に開催した「関係者の御意見を伺う場」において、改めて、
市長自ら、「トリチウムを含む放射性物質の化学的性質や、国内外での放出実績とその安全性について、全国、全世界に対して正確に情報を発信し、理解していただくこと」や
「これまでの風評被害対策の効果を振り返り、今後とるべき対策とその効果を明示すること」等について求めたところであります。


伊  藤
 説明が十分とは考えていないというお話でありました。

 資源エネルギー庁は、「政府が方針を決定する前に方針案を示し、関係者・住民と意見交換を重ねながら、その意見を方針決定に活かす考えはあるのか」、こういう再質問に対して、
「まずは、これまでに伺った意見を政府として受け止め、引き続き、幅広い関係者のご意見をお伺いした上で、アルプス処理水の取り扱いについて責任を持って結論を出していきます」と、アルプス小委員会の報告への意見聴取を踏まえて、一気に方針決定とする考えを示しており、この経過には丁寧さにかけると考えます。

 政府が対応の方針案を示し、その説明及び意見徴収をするなど、県民・国民への理解を広げて方針決定をすることを求める必要があると考えますが、市長のご所見はいかがでしょうか。


市  長
 アルプス処理水の取り扱いにつきましては、現在、国におきまして、地元自治体や関係者の意見を聞くとともに、
浜通り地域の市町村議会へ説明するほか、
書面にて一般の方々からの意見も募集しているところであり、
今後も、幅広い関係者から意見を聞いた上で方針を決定するとしております。

 このような中、当該方針の決定に向けましては、国が幅広い関係者に対して丁寧に説明するとともに、理解を得ながら、前面に立ち責任を持って対応することが重要であるとの考えのもと、4月13日に国が開催しました「関係者の御意見を伺う場」において、私自ら、「関係者のみならず、一般の方々、さらには国内外からも広く意見を聞き、理解を得ること」や、
「将来の国民に禍根を残すことがないよう、拙速に結論を出すのではなく、あらゆる可能性を検討し、その検討結果をあらためて説明し、理解を得ること」等について、強く求めたところであります。


伊  藤
 拙速に結論を出すなという市長の求めがですね、政府が一発回答で結論だけを出すというふうなことが好ましくないということを表現したものだと思いますが、いずれにしましても、いま意見様々聞いておりますけど、この意見をきいたことをもって、夏ごろと言われている時期に政府がもう方針案を決定しましたよということになれば、結局、今行われているのはガス抜きにすぎないのではないか、こういう疑念を広げることになりますので、さらにですね、やはり、丁寧さの中身としては、方針案についての意見もあらためて求めることが必要なんだと、明確な形で求めていただきたいと思います。

 さて、アルプス処理水の対応について国は、「時間をかけて検討するものではない」「スケジュールありきで進めるものではない」としていました。

 アルプス処理水放流に対する県民の理解状況から考えればこの二つの考えは全く相反する考えですが、どちらに重きを置くのかとの再質問に対しては、資源エネルギー庁は、「いずれかに重きを置いて対応するといった考えはありません」として、再度、同じ回答を繰り返してよこしました。

 「スケジュールありきで進めるものではない」との言明に責任を持つのであれば、少なくとも関係団体等の多くが放出に反対している状況では、国としても放出という対応方針を出すべきではないと求める必要があると考えますが、市長のご所見はいかがでしょうか。


市  長
 アルプス処理水の取り扱いにつきましては、時期ありきではなく、国が幅広い関係者や一般の方々から丁寧に意見を聴き、理解を得ながら方針を検討することが重要であると考えておりますことから、「関係者の御意見を伺う場」において、先ほども言いましたが、私自ら、その旨を強く求めたところであります。

 現在、国におきましては、幅広い関係者から意見を聴いた上で方針を決定するとしておりますが、市といたしましては、今後の国の動向を注視するとともに、国が責任をもって前面に立ち、本市を含めた幅広い関係者や一般の方々からの意見を真摯に受け止め、具体的な風評対策を示し、理解を得ながら方針を決定するよう、機会をとらえて、強く求めてまいりたいと考えております。

伊  藤
 私自身は、必要によっては処理水を放出するということもありうるんだろうとは考えています。しかし、そこに至るまでには、関係者、住民、そして国民の合意を得て進めていくというプロセスが大事だ。このように考えています。

 その意味で、考えた時に、市議会の今回の資源エネルギー庁に対する質問で浮き彫りになった問題点、
一つは、風評被害払拭に向けて、稼働する原発からトリチウムを含む放射性核種を放出してきたし、その放出には問題がないと考えている歴史的、科学的な理由の説明をして国民の深い理解を広げることをしていないこと、、
二つに、政府の方針決定は一発回答という方式の決め方ではなく、方針案の公開と説明、これに対する意見交換を踏まえて必要な修正を加え、方針として固める丁寧な手順で結論を導くということが必要なこと、。

こうしたことはやはり最低限国として実施する必要があるんだと思います。

 それを、「時間をかけて検討するものではない」「スケジュールありきで進めるものではない」、どっちが本音と聞いても、同じ回答を繰り返して煙にまこうとする。ご飯論法という言葉がはやりましたが、まさにご飯論法で答えがあったというような状況です。

こういうやり方をしていれば、今の意見聴取はガス抜きなのか、先ほども申しましたが、こういう疑いの目を向けられてしまいますし、質問のやり取りには、国の不誠実さを感じるだけでありました

 政府が方針を決定するにあたっては、丁寧に住民の意見を聞いて、その意見を反映したものとできるように、決定までのプロセスも丁寧に進め事が大事だと考えます。改めて、市長には、先ほどの答弁でも強く求めていきますというようなことをおっしゃっていましたが、しっかりと対応をしていただきたいということをお願いして、次の質問、会計年度任用職員の採用状況について、お伺いします。



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