伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

保育士配置の規制緩和に反対しました/ベルベットのような質感の雪

2016年03月10日 | いわき市
 常任委員会3日目。

 きょうはこども未来部に関連する議案を終日審議し、夕方4時半過ぎ、全ての同部の議案全ての審議を終えました。

 同部は保育所、幼稚園、放課後児童クラブなどの事務を担っており、認定保育園の6ヶ所の整備にかかる補助金や放課後児童クラブの3ヶ所の整備分などとともに、「いのちを育む教育推進事業費」に新たに「いのちを育む教育推進協議会」設置の費用などが含まれています。

 望まない妊娠や性感染症を防いだり、命の大切さを学ぶ教育プログラムを作ることをめざし、新年度に設置され、翌年度以降にモデル校を選定し、事業を展開したいと考えているといるといいます。

 望まないままに妊娠をする不幸なことがおこらないように、この事業が成果を発揮することが望まれますね。

 もうひとつ目立ったのが、保育所等の改修事業が、入札不調などの影響で実施せず、新年度に繰り越されて実施したいという提案がされたこと。予定される工程に間に合うように入札が実施されているというのですが、入札不調が繰り返され随意契約に変更して、着工しようとしたものの、年度内の施工は難しかったのだといいます。

 震災後の復興需要で建設業者等が繁忙を極める中で、手間がかかる事業に手を出にくい状況があるようです。

 同部の提出議案のうち、保育所等で子どもが少ない時間帯の保育士配置を2名以上と規定している配置基準を、「当分の間」、このうち1人を「保育士と同等の知識及び経験を有する者」に置き換えることができるよう規制緩和をはかることなどを内容とする条例改正案には、討論をし反対をしました。

 ここでいう「経験を有する者」は、子育て支援に関する講習会を受けたり、保育所などに1年以上の勤務経験がある無資格者を言い、単独で業務を行うのではなく、有資格者の監督下で業を行うため、保育の質などは一定確保できるものと考えているようです。そしてこの措置を導入することによって、早番、中番、遅番というシフト制をとっている保育所で、保育士の勤務ローテンションを緩和し、労働を軽減できる効果があるといいます。この無資格の保育者を、とりあえず代替保育者と呼ぶことにしましょう。

 それはそれで、効果はあるでしょう。問題は「当分の間」ということにあると考えました。

 「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。」で始まる、保育所の不足を強く批判するブログがニュースで大きく取り上げられているように、保育の需要は高まっているものの、保育士を確保出来なため、十分に保育需要に応えられてないという現実があります。

 この事態は、保育士の賃金が20万円程度で、他の職種と比べて10万円程低いなど、きつい労働の割には労働条件が劣悪という問題から引き起こされており、この問題を解決しなければ改善することは難しいだろうと、容易に想像がつきます。

 今回の無資格者でもOKという規制緩和は、目の前でおこっている保育士不足に、背に腹は変えられないとばかりに導入されるもののようです。しかし、これが暫定措置になる保証はどこにもありません。

 国の有識者検討会は、子どもの受け皿拡大のために、保育の質を落とさず人員確保の柔軟化を図ろうとこの措置の導入を提言し、合わせて国に勤務改善につなげる措置を求めました。自公政権は、待機児童解消加速化プランの中で、民間保育所の保育士の処遇改善策として賃金の5%アップ分、年間で約11万円分を民間保育所に交付する事業を始めていますが、これでも処遇改善にはまだまだ不十分。保育士の育成策も合わせてすすめようとしていますが、保育士の働きがい、生きがいに頼って人材を確保する現実が変わらないかぎり、資格をとっても長期の勤務を確保することは難しいのではないかと心配される内容です。

 保育士不足を抜本的に解消するためにも、潜在化している有資格者を保育の現場に引き戻すこと。そのためには賃金の抜本的改善など、労働条件を引き上げることに、国が責任をもって取り組むことが必要でしょう。

 ところが、「当分の間」がどの程度の期間を指すのかは全く不明。執行部は、「本市で保保育士確保ができるようになれば、独自に有資格者の配置に切り替える」とはいいます。しかし、その保証はどこに。肝心の国の考えは、女性活躍社会のスローガンのもと、女性の就労が急速に進む中で、必要な保育士の人材確保ができるまでいうところだろうと説明するのがやっと。国の保育士の処遇改善を抜本的に図る策について、執行部も自信をもって説明することもできない状況です。

 これでは「当分の間」がやがて「恒久化」するのではないかという危惧が大きくなってくるのです。

 いや、この部分で「恒久化」にとどまればまだ良い方かも。保育士の資格を取るために多くは4年生大学、短期大学、あるいは専門学校に通い、資格を取得しています。逆にいえば、それだけの学ぶ期間が保障されるからこそ、保育士としての力量が高められているということができるでしょう。しかし、それには多額の費用がかかっています。

 ところが今回の規制緩和は、大学等で学ばなくても保育の仕事に着くことができることから、同じ仕事ができるなら、わざわざ大学等で学ぶ必要がないという傾向を生み出しかねないのではないか。もしそんなことになったら、代替保育者が担う範囲が拡大しかねない。そんな懸念も浮かびあがってきます。

 これは保育の質の低下をもたらしかねない問題につながり、結果として子どもたちのより良い育ちを保証できなくなるのではないかと思われるのです。

 当初は、“背に腹は変えられない措置でやむを得ないか”とか、“抜本的処遇改善を強く求めて規制緩和の早期解消をめざす姿勢があれば賛成しても良いか”とも考えたりしたのですが、やはり、そのことと引き替えにできない大問題が根っこにあると思わざる得ませんでした。仮に賛成するにしても、たとえば国が「5年間で賃金格差を始めとした抜本的な処遇改善を達成する」などという、明確な方針と展望を示されなければとても無理、そんな判断をせざるを得ませんでした。

 執行部に対する質疑の他、委員の間で意見交換も行われ、その矛先は反対の立場らしい私に質問等が集中するという感じになり、それはそれで大変なのですが、この議論を通じて、自分の問題意識も鮮明になってきます。そういう意味では大切な時間。自分への質疑では、これまで書いたような懸念を回答することで同調を求めたわけですが、最終的な採決で反対は少数。委員会としては条例改正案は可決することになりました。

 議会最終の本会議に向け、論だてもしっかりして、条例反対への同調を求めなければなりません。

 さて、昨夜降った雪は、今朝は止んでいました。ベタ雪でしたが面白い景色を見ました。



 まるでベルベットの布のような質感。このまま保管しておきたいような景色です。

 犬の散歩をしているとシジュウカラ、ヤマガラ、などがいまいしたが、山の枯れ木の方から大量の鳥がヒヨヒヨとさえずり交わすざわめきが聞こえてきました。先だってから気にかかっていたんです。この鳥はなんだろうって。

 声をする方向をみると木の上に50羽程の群れがあらわれ、上空を一周すると、小山の向こうに消えていきました。もう一団、やはり50羽程の群れが姿をあらわし、枯れた松の枝にとまりました。



 デジタルズームも使って倍率を上げ撮影してみると、あぁ、なるほど、マヒワでした。黄色の体色がきれいなのです。もっと近くで撮影できるといいのに、と思っています。

 夕刻、自宅に帰る時、西の空に糸のように細い月が見えました。

 


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